30.開戦
メアリー視点
『本日、ノイエ王国政府は、中央帝国の再興を目的としてフーロイ=ゼン統一王国に対し宣戦を布告しました______』
そんな事が書いてある新聞を閉じ、冷めた紅茶を飲み干す。
香りがないし、苦い。
…相変わらず揺れが酷い。馬車ってこんなに揺れるんだ。
「大丈夫ですかメアリー様」
「ちょっと辛いかも〜」
「じゃあ休憩しましょうか」
戦争が始まっても結局ただ進んでるだけ。
日が傾き始めても、何も変わらない。
戦闘はないし、客用馬車で運ばれてるだけの私は退屈。
…もう帰りたいかも。
馬車を降りるとそこには廃村が広がっていた。
なにかのせいで燃えた後らしく、灰となった家の残骸が積み上がっていた。
「メアリー様、残念ながらこの感じだと家を徴用してベッドで眠るといったことは今日はできないようです」
「んー……わかったよ」
…つらい。
客用馬車の硬めの長椅子で眠ることになるのだろうか。
「ここでは何も得られなさそうだ…くそっ統一王国の連中なんて野蛮なんだ…『奪われそうだから焼く』なんて」
そこら辺の兵士のそういう嘆きが聞こえてきた。
大変そう。
『___ツーツ ツツー ツツツ___』
硬い長椅子で一夜を過ごし、早朝…
ズン…ドンッ…
ズン…ドンッ…
ズン…ドンッ…
何かの爆発する音が複数聞こえてきた。
最初に遠くから何か低い音が鳴り、少し経って爆発…
途端に私の寝ていた客用馬車が動き出す。
『___ツーツツツ ツーツーツー___』
何故かUターンして撤退を始めた。
窓から顔を出して、操縦をしている侍女に言葉を投げる。
「何があったの?」
「敵襲です!しかし敵がどこにも見当たりません!奴ら多分、視界外から滅茶苦茶に砲を撃ってきてるんです!そうじゃなかったら、もしかすると空から爆弾を降らせてきたのかもしれません!」
『___ツーツーツツー ツーツツー___』
耳鳴りのような…少し甲高い音がさっきから少し聞こえる。
…えっ、もしかしてモールス信号ってやつ?
やば、そんなの前世で全然覚えてないんだけど。
「とりあえず逃げるよ!敵はどこにいるかわかる?」
氷魔法で何とか対処できれば良いんだけど。
周りを見渡すと混乱した味方が走り回っていたり、爆発の黒い跡があったりした。
「わかりません!とりあえず今は下がりましょう!」
「わかった!」
しばらくすると連続爆発の場所から逃れられたので、一旦停車して、現状を確認することとなった。
逃げられたのは私達2人だけ?
…もしかして先鋒部隊、今のでやられちゃったのでは?




