26.進化
「…何してたんだっけ」
「緑龍と戦って、食べてたのよ。緑龍と戦っている途中はまだ理性が残ってたみたいだけど、勝った瞬間に堕ちてたわね」
「そう…だったかも」
戦っている時の感覚と記憶は思い出せた。
「あんた、進化できるようになってるわよ」
「ほんと?」
「嘘つくわけないでしょ」
進化…確か魔力を循環させる感覚を…できた?
「できてるわよ」
前よりも成長している感覚が薄い。
段々眠くなる。
「おやすみ」
______んん…ん?朝?
「残念。ダンジョンの中よ」
そっか。
バッと立つと、前より少し背が高くなった気がする。
180cmギリギリないくらい?
…下腹部に違和感。
服を捲ってみる…あれ、腹筋が割れてる。
「…人間的な身体成長に繋がったのね」
なんで…?
「ほら、あんたの身体、普通は成長も衰弱もしないでしょ?」
そうだね?そんな感覚はある。
「成長の代替となるのが進化なんじゃない?あと、多分あまりに通常の血蛆の食事からかけ離れたせいで、肉体的には血蛆系統でもかなり人間っぽい見た目に、勝手になるようになったようね」
じゃあ私の今の種族って?
「亜人の分類じゃない?」
そっか。
ダンジョンの最奥には小さな緑色の宝石みたいなものがあった。
「食べて良いわよ。それ」
食べれるのこれ。
「食べれるわよ」
じゃあ…
と、口の中に放り込む。飴みたいに甘くて溶ける感覚があった。
「じゃ、帰りましょ」
はーい。ちなみにこれって?
「オリビアが神になるのに際して残していったもの」
どんな?
「アイt…あの方のことだから多分人間用の発明道具のアイデアとか、秘密の場所の位置とかでしょ。そのうち、そういうのを思い出せるようになるわ」
今アイツって言おうとした?
「……なんのこと?」
んーま、いっか。
ダンジョンの外に出ると人が沢山いた。
これからダンジョンに入るらしい。
まぁ…国民軍の将校を装って突破できるか。
ダンジョンから出るところだけは誰にも見られないようにしつつ、そこら辺から出てきた感を出して、堂々と出る。
番兵が敬礼をしてきたので軽く返し、去る。
「…上手いわね」
嘘をつく時こそ堂々としないとね。
空を見上げるとすっかり夜だった。
そのまま飛行魔法でエストブルクまで飛び、屋敷に帰る。
「ただいまレナ」
「あ、おかえりなさいお嬢様」
「何も無かった?」
「はい、特には…お嬢様、少し身長が伸びましたか?」
「腹筋も付いたらしい」
パッと服を捲り見せる。レナは腹筋を見たきり、固まった。
「………!な、なんでもありません。お気になさらず…」
レナは私の顔を見て、そう言う。
疲れているのだろうか。
「そっか…疲れてる?休んでいいんだよ?」
「あ、いえ、まだ全然大丈夫です」
「今日の夕食は私が作るから、少し休んでて。とっても美味しい肉が手に入ったから」
「は、はい!」
今日の夕食は大兎の肉を使った簡単なステーキとなった。
「これ、臭みがなくて、甘くて、すごく柔らかいですね…すごく美味しいです」
「そう、良かった。おかわりも沢山あるからね」
「はい!」
夕食を終える。
「あ、あの…お嬢様…本当に…本当に申し訳ないのですが…吸血させてもらうことって…できますか?」
レナは目を泳がせながらそう言う。
「あ〜そういえばそういう吸血鬼の特性あったわね」
『強い者の血を吸いたい』みたいな?
「そうそう」
じゃあ…
「良いよ。たくさん飲んでね」
「…!!ありがとうございます!えっと…!ちゃんと飲みます!」
がっつく勢いで距離を詰めつつそうレナは言った。
いつになく積極的。
カプッ。
段々本能に抗えるようになってきたのか、涙を流しながら、『ごめんなさいお嬢様』なんて言うようになり始めた。
「大丈夫、私が『良いよ』って言ったからそうなっただけだから。本能なんでしょ?レナは何も悪くないからね」
「はい…はい…ありがとうございます…」
そう言ったきり、スっと寝てしまった。
「吸血鬼は一度に吸える魔力には限度があるのよ。だからいつも途中で寝ちゃう」
なるほど…ベッドに運んでおこ。




