22.S級ダンジョン攻略①
「せっかくだからS級ダンジョン攻略したら?」
何かメリットあるの?
「美味しい肉がたくさん手に入るの。人肉よりずっと美味しいのがね」
じゃあ行こう。
「即決ね…」
飛行魔法を駆使してノネトリ村まで行って、そこから飛びながらダンジョンの警備役らしき部隊を探す。
「あった」
…結局、ダンジョン膨大な魔力の雰囲気を感じ取って、そちらに飛んでいったらあった。
森のせいで見えなかったらしい。
「あ、言い忘れてたわ。ダンジョン周辺は森が自然発生するから」
「もっと早く言って欲しい」
「はいはい、わかったわよ」
そこは紫色を基調とした、複数色の層が見られる大きな穴だった。
濃密な魔力を感じて、何か…本能が剥き出しになるような感覚を覚える。
『食べたい。もっと沢山の死体を』
『食べたい。もっと強い者の死体を』
『食べたい。自分で殺した死体を』
「だ、大丈夫?」
「……大…丈夫。慣れたから」
多少食欲が増えた程度で、いつもと大して変わらない。
「適応早…」
ダンジョンの周りには少数の警備兵がいるくらいで、あまり厳重な印象は無い。
「Sランク冒険者も軍もそれほど多く派遣されてないし、Sランク冒険者が探索している時でも無ければこんな程度の警備しかないんでしょ」
「じゃあ侵入するなら今のうち?」
「そうね」
サッと移動して、警備兵の目を掻い潜ってダンジョン内に侵入した。
「隠密得意なのね」
いや、むしろ苦手な部類かも。
「なんでできるのよ」
中へ入ると巨大な地下空間が現れた。
上を見ると夜空のように暗闇と、綺麗な光の点達が見える。
「S級ダンジョンと分類されてるここは4層で構成されてる。で、ここは第1層。大した魔術生物もいないわ」
んー…少しここで狩って食べよ。
「そういえば食欲が増えてるのね」
そう。お腹空いた。
食欲に身を任せて歩いていると、体長1mの兎がいた。
「大兎ね。人間なら苦戦するだろうけど、あんたならアイツなんか簡単に殺せるわ」
そうなんだ。
…そういえばここの空気って魔力濃いよね。
「そうね」
血液魔法の延長として空気の制御があったよね。
「あったわね。飛行魔法とか」
魔力濃い分、かなり強い攻撃出せるんじゃない?
「………そう…ね?あんたもしかして、いつの間にかダンジョン特効みたいな特性を得てたってことになるのかしら?」
そうかも。濃くなればなるほど威力上がるし。
「完全にダンジョン特効ね!血液魔法って携帯できる血液の総量が少なかったり、展開するのが面倒だったりが欠点なのに、ここだと完全に克服してるわ」
じゃあ早速狩ろ。
大兎の首を一太刀するイメージを考え、指で一振り。
ガチュッグチョッ……
「首が捻れたわね」
どうやら傷が浅く、かつ極めて速い速度だったせいっぽい。
まあ何であれ食料が手に入った。
『人間が苦戦』するってことは人間より強い、つまり人間よりたくさん魔力を内包してると考えて良いよね?
「そうね」
そう聞いた瞬間、身体を抑えられなくなって、私は狩った大兎の解体と捕食を始めた。
甘い。そして濃い。回復薬なんかのチープな甘みとは比べられないほど濃い。
『食べたい。自分で殺した死体を』
___いつの間にか全部食べてしまっていた。
レナの分も狩りにいかないと…あと私も…もうちょっと食べたいかも?
「あ、ああ…戻ったのね」
珍しく神様が震え声でそう言う。
?
「…ほんと、気をつけなさいよ…ものすごい速度で頭が回っているのにあんた物騒なことしか考えてないじゃない…」
…?
「いや、気にしなくて良いわ」
そっか。
ガチュッグチョッ…
ベッガチャガチャッ…
グチョッグチョッグチョッ…
ベチョッガチャッ…
ガシュッ…
5匹ほど狩って、4匹食べて、1匹収納した…気がする。
少なくとも1匹は収納した。
「段々…安定してきたみたいね」
安定?
「本能の制御よ」
そうなんだ。
「…まぁ、成長してきてるってことよ」
それは良かった。




