11.唐突に国軍の身分を手に入れてしまった。
ガタガタと馬車に揺られていると、街道上に幾人かの武装した兵士が見える。誰も構えてないらしく、
「止まってくれ!」
と一番偉そうな服を着た人間がこちらに手を振っている。
指を2回鳴らし、止まったところで馬車から飛び降りて、指示役人形を引き連れつつそちらへ向かう。
人形達には指をクルクルと回して周囲警戒を継続するよう指示した。
「こんにちは!こんな所でどうかしたんですか?」
できるだけ馬鹿な令嬢のように振る舞う。
「ああ、こんにちは。あなたがあの部隊の指揮官かな?」
部隊?人形達のことだろうか。話を合わせる。
「はい。この子達は私の部下です!」
「登録の方は?」
?
「『辺境防衛特別法第6条に基づく特別防衛部隊に相当するため登録はしておりません』って言って」
神様がサポートしてくれた。
「この部隊は辺境防衛特別法第6条に基づく特別防衛部隊に相当するものであるので、登録はしていませんね」
あくまで馬鹿っぽく、でもスラスラと言う。
「…な、なるほど。であれば都合が良い。そちらのお嬢様、今からでも国民軍に登録しませんか?」
「あら、エストブルクに近いしてっきり統一王国軍かと思ってたのだけれど」
?
「国軍に相当する…一般的な軍隊に位置付けられているのが統一王国軍。で、彼らは二線級の防衛部隊として存在する国民軍。国民の保護が存在理由。前者は主要都市、後者は辺境に多いの」
ふーん…登録すべきなのかな。
連れてきた指示役人形と相談してる風に身振り手振りしつつ、神様の話を聞く。
「登録すべきね。せっかくの機会よ」
指示役人形と話し合った感を出しつつ振り向き、
「わかりました。登録しましょう」
「ありがたい。これで定数が満たせる…」
「…?」
「あ、いや。一応お名前を伺っても?」
「ソフィア・シヴグラード…Bランク冒険者をやらせていただいておりますわ」
そう言って令嬢風に礼をする。
「おお、尚更良い。では、本日から諸君を第23旅団第6国民猟兵大隊第1中隊第1小隊に任命、またソフィア殿には大尉の階級を与え、部隊内の人事裁量は、権限が及ぶ限り大尉に任せるものとする。なお、第6大隊は司令部要員が現在おらず、暫定的に第6大隊内最高位であるソフィア大尉に大隊長代理を務めてもらう」
「大隊長代理…ですか」
「ああ、あくまで書類上な。大隊長会議等に参加する必要は無い。君達を縛る気は無いし、そもそも任務なんて来ないだろう」
「しかし…私みたいな者がそんな大事な役目をやって良いのでしょうか…試験とか無いんですか?」
「では幾つか口頭試問を行おう。どちらにせよ採用はするので楽にやってくれ」
「相当カツカツらしいわね」
「了解しました」
「問1。国民軍の役目は」
…頭の中で答えを組み上げる。
「我らが統一王国に住まう国民達を、その1人も見捨てることなく救うことです!」
「よろしい!問2。敵戦闘部隊の食い止めのため、後方で我々がやる役目は」
「国民の保護、避難と、治安維持。また必要に応じての焦土作戦展開による敵兵站状況の悪化促進です!」
「うわっ…こわ…」
「…そうだな。かなり冷静な視点で……正解だ。問3。我々は平時において、統一王国軍の上を行く役目がある。それは何か」
「治安維持だと思います!」
「正解だ。完璧なようだ。ようこそ第23旅団へ!」
「全問正解まじ…?あんたどれだけ上手いのよ」
国民軍の人がその場で用意してくれた階級章を肩にかけていた黒いジャケット付けて、用意してくれた軍人手帳を貰ったことで、ちゃんと社会的地位を得られた。ちなみにあの喋った人間は大佐?らしく、その人名義で手帳は発行されていた。
銃殺隊が歴とした正規部隊になったので、堂々とエストブルク?という目的地の大都市に入れそう。
肩書き的に高めでも国民軍は統一王国軍より下なので実際大尉と言っても統一王国軍少尉相当くらいでしょうかね。




