10.魔術生物?
鹿っぽい生き物を見つけたら『アレは魔術生物ね。あんた達でも美味しく食べれるわよ』なんて神様に言われた。
「魔術生物なんているんだ」
「あんた自身が魔術生物でしょ」
「そうだった」
「んん…お嬢様?」
「あ、起こしちゃった?」
「あ、いえ…自然と目が覚めまして」
「そっか…あ、せっかくなら銃杖の使い方覚える?」
「はい」
「じゃあこれ持って」
肩にかけていた銃杖を差し出す。
「はい」
「それあんたが自分でずっと持ってたやつじゃない」
別に思い入れとかないし。
「えっと、どう構えるんでしょうか」
「とりあえず馬車の上だと不安定だから降りようか」
指を2回鳴らすと人形達が止まってくれた。
「私も欲しいわねそんな従順な子」
寝起きのレナをちゃんと支えて降ろし、改めてレナに銃杖を構えてもらう。
その前に指示役人形を呼び出し、レナに見られないようにしつつ人差し指を上に立ててクルクルと指を回した。
人形は指示を理解したようで他の人形達に伝えて周囲警戒を始めた。
いつ襲われても大丈夫なように。
「それだと肩が痛くなるから、こう」
私自身はレナに銃の構え方を教えた。
密着して姿勢を徹底的に教え込む。
飲み込みが早いようで、すぐ撃ち方を覚えた。
「あんたの血を飲んでるからでしょ」
そんな効果あるんだ。
カチン…バンッ
魔術生物は胴体を撃たれ、倒れ込んだ。
「やりました!」
「よくできたね。今日のお昼はあれにしよっか」
そう言ってレナを撫でる。
「はい!」
「その銃杖あげる。今日から好きに使って良いよ」
「えっ…でも…お嬢様の…」
「現状レナの手に一番馴染む銃杖だから。あげる」
「…!ありがとうございます!」
倒れた鹿っぽい生き物を運んで、その場で解体する。
収納から解体道具を出そうとしたところ、神様がアドバイスをくれた。
「あんたみたいな血蛆系列の生物の特殊能力で血液魔法っていうのがあるのだけど、これは『水魔法の上位互換に相当する』らしいのよ。で、水魔法は水でできた武器を作れるのだけど…」
つまり血で武器を作れるから、それで解体したらってこと?
「そういうこと」
解体する予定の鹿っぽい生き物の銃創付近に触れながら軽く頭でイメージを出す。
すると血が集束して1本のノコギリになった。
「…はぁ…もはや感服するわ」
人形達と血でできたノコギリで鹿っぽい生き物を解体する。
思った以上に簡単に終わった。
早速レナに振る舞うための調理準備を人形に指示。
私自身は使えそうなものを荷物の中から探すことにした。
ちなみに馬車の中にはレナの荷物の他に、幾らかの調味料、食材が入っている。
私が口にしたり使用したりする分に関しては好きに魔法で収納するものの、レナの分は分けてあった。
…まぁ、こういうのは完全に自己満足なのだけれど。
出来上がったのは簡単な鹿肉スープだった。
隠し味に体力強化薬の元となる葉っぱを細切れにして入れていて、味見するとピリ辛で美味しい感じに仕上がっていた。
鹿肉は確か脂が少ないと聞いたことがあるので、それに合わせて結構あっさりとしつつもコクがある味付けにした。
「今日狩ってくれたやつをスープにしてみた。良かったら食べて」
「本当ですか!?ありがとうございますお嬢様!」
早速食べるようで、レナは口を付けると驚いたような表情をした。
「サラリと飲めるのにコクがあるというか…すごいですこれ!美味しいですお嬢様!」
「良かった。おかわりもあるからね」
「はい!」
私も口を付けてみる。
最初薄味かと思ったら、段々濃くなっていく感じがする。魔力が下に溜まってる?
少し混ぜて食べると確かに、サラリと飲めて、それでもピリっと辛く、肉らしい旨味があって美味しい。
「はぁ…羨まし…あっいや…」
神様が何か言っている。




