108.二重人格?
イザベラ視点
「二重人格?」
私の言葉に死神は頷く。
「そう。封印してる十年分をどうするかによっては…そうなりうる」
うーん…聞いていた話と違う。
「育てていけばその可能性は薄まってくって」
「それは楽観的に見れてた頃の予測。今ではどんなに育てたところで、そうなるのは決まってるようなもの」
死神は平坦な声でそう言う。
「じゃあ…どうすれば?」
転生でもさせるのだろうか。
「神になるまで走りきらせる。次の受け入れ先はもう無いから、ここで何とかするしかない。
逆に言えば、神になるまで走りきらせれば、封印された部分なんて『置いていく』だろうから、私達の勝ち」
指を組んで死神はそう言う。
「うーん…なんというか…緊張するわね。私達が明かさずとも、他の誰かが偶然、貴女の名前を発しても…」
そう本音を言う。
「だから、私はオリビアとは会ってない」
…そうだ。死神はオリビアとも交流があるんだった。
「で、これからはどうするの?こうなれば、神になるまで数年すら待てないわよね」
そう聞く。
「とりあえず…まずはダンジョン巡りかな。私達の縮地魔法でパパッとやらせよう」
死神はそう言う。
「…でも…その際に、あんたの事を覚えてるやつの記憶石を呑ませてしまったら…思い出しちゃうんじゃない?そもそも記憶石は呑ませないの?」
「いや、記憶石は食べさせる………ってあれ?オリビアの記憶石って…?」
そう死神は聞いてくる。
…そういえばダンジョン攻略の際に呑ませた記憶はある。
「……呑ませたけど」
…何か問題が…?
「…………っはぁ…っはぁ…っはぁ…な、なんで…私のことを覚えていない?」
死神は、急に過呼吸になる。
…!?
「あんたまさかっ!」
「うん…私は神化前のオリビアに会ったことがある。それも…そこそこの回数。なんで…思い出されていないんだろう……いやっ…そ…うん?もしかして……彼女は…最初に会った時から知っていて…!」
死神はパニックになったようにそう発する。
「それは無い。あんた、今の姿を見てみなさいよ」
死神は今、◆◆◆◆の12歳頃の姿。
本来の姿でアイツの前に現れているわけではない。
「………あぁ…そっか。初めは揶揄うつもりで用意してたんだけど…これが無かったらダメだったってこと……」
「とりあえず、あんたの協力は十分要るけれど、それはそれとして、本来の姿で再登場…みたいなことはしないで。絶対に走りきるわよ」
「……わかった。やっぱり頼りになるね、イザベラ」
…死神は、真面目な時は基本『ちゃん付け』をしない。




