107.ミオの様子がおかしい
最近、ミオの様子が少し変。
屋敷に来てくれることは前より増えた…けど、その時の距離感が、前より近い気がする。
「ねぇソフィア姉〜手冷たいよ?昔からそうだけど、これが普通なの?」
そう言うミオは私の手を掴んで、自分の両頬に当てている。
…ミオの頬は見た目の引き締まりの割に柔らかく、暖かい。
ミオは赤い目を細める。
「んー頬を揉まないでー」
「あ、ごめん」
無意識のうちに揉んでいたらしい。
「えへっ、大丈夫」
そう言ってミオは私に抱きつく。
…こういうところは変わってない。
ミオは不老不死になって以来、飲み物をよく飲むようになった。
…少なくともそんな気がする。
今も、両手でコップを掴みながら、クピクピと苺の果実水を飲んでいる。
「ミオ、最近、多めに水を飲むようになった?」
「……っん…ぅ…。飲むようになったかも」
コップを置いて、ミオはそう言う。
「そっか。もっと作っておく?」
果実水に目を向けつつ、そう聞く。
「…んー…お願いー」
ミオは少し考えたあと、そう言った。
「何か好きな種類とかある?」
「苺の果実水が良い」
「わかった。…ちなみに、理由とかある?」
可能なら苺の果実水を改良して、ミオの好きな感じを再現したい。
「えと…その…ソフィア姉の血に…似てて」
ミオは両手の指先を合わせながら、そう言う。
……なるほど。あ〜…なるほど?
事情が大体、読めてきた。
「ミオ、もしかして吸血衝動を抑えるために果実水を飲んでる?」
そう仮説を投げかけてみる。
「へっ?な、なんで」
…これは…どっちの反応?
「あ、いや…間違ってるのならそう言ってくれて良いんだけど…その…飲む?」
そう言って、自分の首筋を指差す。
…ミオは分かりやすく唾を飲み込んだ。
どうやら本当に吸血衝動が強いらしい。
多分、昔のレナよりも強め。
「あ、あ…うぅ…ごめん!ソフィア姉」
歯を食いしばっているミオは、吸血衝動に抗っているようで、分かりやすく過呼吸になり、ぎゅっと目を瞑って、指を震わせている。
「ま…まだ…大…丈夫…耐え」
その言葉を言い終える前に、ミオはあらゆる動作をピタリと止めた。
次の瞬間、ミオの雰囲気が一気に変わった。
呼吸が浅くなって、震えていた指は滑らかに動く。
視線は私の首筋に釘付け状態で、口角は上がっている。
「…ねぇ…ソフィア姉…飲んで良い?」
雰囲気の変わったミオはそう言い、第1ボタンを外し、ネクタイを緩める。
「良いよ」
元々、ミオが選択した道とはいえ、私が不老不死にした事実は変わらない。
その弊害として吸血衝動があるのなら…ミオの気が済むまで、血を飲ませてあげるのも私の役だろう。
「ふふふっ…ソフィア姉は優しいんだね」
そう言いながら、ミオはゆっくりと私の方へ歩いてくる。
「…?」
ミオの目はもはや私ではなく、私の首筋だけを見ている。
ミオは私の目の前で立ち止まり、私の身体を滑らかに触る。
「じゃあ、いただきます」
ミオはそう言うと、丁寧に、素早く私の服をはだけさせて、私の首筋に噛み付いた。
かぷっ




