104.革命家の日記IV
ウーリャ視点
『新聞ナロート
大飢饉!原因は政府の無策か!?
___日、本紙の独自調査により浮かび上がった______各地の農村が飢饉により崩壊しており__連鎖によって農業生産能力が___パンは無くなる______取材に応じた政府幹部は「政府の責任だ」と___残念ながら我々は、政府に踊らされ___本紙は政府の夢想に過ぎない言葉を鵜呑みにし、発信__しかし、これからは人民のために_____その責任があると___』
『新聞ペルラリア
飢饉!飢饉!飢饉!』
『カラサータ新聞
政府の巨大な詐欺!我々は被害者である!』
なんと酷い…どんでん返しなのでしょう。
これまで語られてきた工業化の夢は…嘘でした。
明日には働かなくてもパンを食べられる…そんな甘い話は吹き飛んで、明日には働いてもパンが食べられないという…苦い話に置き換わってしまいました。
ま、仕組んだのは私なんだけど。
今回は色んな新聞社に掛け合って、新聞ナロートの独自調査を渡し、『真実を人民に伝える』よう依頼した。
結果、かなりの新聞社が私の『熱狂的な愛国心』に惹かれてか、依頼を受けると表明。
そこからはもう簡単。
『同時に記事を出すため』とそれら新聞社を『小麦委員会』という臨時設置した民間委員会に招き、囲いこんで幾らかの"紙面"を"掌握"しつつ、『同時に記事を出す』調整も行い、一石二鳥の戦果を得て、本日に至るってわけ。
レーニンはロシア革命を主導するにあたり、重視したのは『全国的政治新聞』であるとされている。
大衆を扇動できるよう、革命家同士が集まり、組織化できるよう…資金を獲得できるように。
次は実際に革命を起こすための非合法武力組織を用意する必要がある。
幾ら扇動しようと、自ら動く大衆はそういない。
『ペンは剣よりも強し』とよく言うが、ペンを一番強くするのは剣である。
既に策は講じている。自作農の連中から幾らか拾い集めた『元農奴』に武器とパンを与え、組織化し、『出稼ぎ労働者』として都市に輸送できるよう、準備は着々と進んでいる。
…あぁ、読者諸賢に一度お聞きしてみたい話題がありまして。
『奴隷を買い上げて解放する存在』ってどう思いますか?
確か某A国の教育機関が過去に『奴隷商人から奴隷を買って解放してあげることで、奴隷を減らそう』なんてプロジェクトをやったことがありましてね。募金を集めて、実際に実行したのだそう。
結果、奴隷は減ったのでしょうか?
…私の記憶では、結果は逆でした。
まぁ単純な話です。奴隷商人からすれば『なんか沢山買ってくれる人がいる』というだけで、つまり需要が増えている…というだけなので、『供給』を増やそうとするわけです。
奴隷商人は奴隷を苦しめるために仕事をしているのではなく、金を儲けるために仕事をやっているのです。
…あぁ、これは分かりやすく話すため、簡略化した話でして、あくまでうろ覚えです。
決して鵜呑みにしないでくださいね。
あくまで一説に過ぎないので。
改めて問いましょう。『奴隷を買い上げて解放する存在』をどう思いますか?
私は、どうも思っていません。
そういう人もいるんだな…って程度。




