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弁えすぎた令嬢  作者: ねこまんまときみどりのことり


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22/75

一回りして、戻ってきたお金

「お父様、チェルシーハニーを使ったケーキと、プディング美味しいわ」

「本当ね。上品なお味で私達にピッタリ」



「そうだろう? これは数も少なくて極上だから、値段も高いんだ。でも公爵家の人間としては味を知っておかないとな」

「噂では、コロネが作った商会だと聞いたわ。それ本当なの、お父様?」


「まさか。あんな子供に何ができる。大方父上(セサミ)にねだって譲って貰ったのだろう。小狡い奴め、俺達の資産を減らそうとするなんて」

「ええー、そうなの。賢い子だと思ってたのに。じゃあもう、私達ももっと贅沢して良いでしょ?」


「好きにしなさい。ここは俺の家だ。当然あんな子供よりも、俺に権利があるのだ」

「旦那様、格好良い♡」

「お父様、大好き♡」



 それを聞いてセサミへの報告書を、怒りを抑えながら書きなぐる使用人達。アルカイックスマイル(張りつけた笑顔)しか、この場には存在しなかった。



「やはりこの公爵家の血筋は、叔父様の方が豪胆で丁度良いのかしら。一度はお祖父様に報告しようとしたけど……。資金回収の目処も立ってきたから、このまま様子をみましょう」

「ちょっとお嬢様。変なことは考えないで下さいね」


「変なことって?」

「……いや、良いんです。忘れて下さい(何か言っても、絶対悪い方に思考が働くもの)」



 トホホッと肩を落とすアンナと、新たな商売の可能性を探すコロネ。



 王室だとて特別なこと(記念日や、隣国の王族や大使の訪問など)がなければ、使用しないチェルシーハニー。

 それをちゃんと調べず、食べ続けたクリム一家。一貴族で売る量の制限はあるので、ストッパーがあり命拾いした形だ。


 今回クリムが依頼し購入した蜂蜜は、王家が行事で頼む量と同じくらい(1kg)だった為、ワッサンモフ公爵家は大赤字。

 けれどもセサミに忖度した王家が、御用達のブランドをコロネに与え、さらに希少価値(高値)が付いた。

 王家には元の値段での取り引きなので、高値だが懐はそれほど痛まない仕組み。


 結果的にコロネには多くの収入が入り、赤字に充てることになるのだ。





◇◇◇

 セサミはただ、コロネが降参するのを待っている。他に面白そうな玩具達も、同時に観察しながら。



「別れた元妻、ロベリーが訪問したいって? きっと一度は縁切りしたようなクリム達が、公爵家で豪遊している噂でも聞いたのだろう。あいつの洗脳はクリムが5歳になって、もう良いかと解いてから本性が戻り、案の定浮気して離縁したんだよな。慰謝料もタップリ渡したのに。母子(クリムとロベリー)揃って馬鹿だなぁ」


 悪い顔で微笑んでいるセサミに、勘弁してよと顔をしかめる家令のバジル。

 この二人は、戦地も共に駆け抜けた大親友でもある。セサミは彼を信頼しいろんなことを任せるが、最近年齢のせいかバジルの方は面倒になってきた。

 

 幼子(コロネ)を屈服させ(と言うか困らせ)、頼られたいと言う面倒くさい願望が目に余る。彼もセサミかコロネかと問われれば、コロネ一択だ。


 昔セサミが「こんな爺にはなりたくない」を、既に地で行っており、気付かないので更にイラッとする。




 程ほどにしないと、バジルに見切られちゃうよ。






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