遊園地の完成 その1
ガシェーラル国の鍛治屋には今、マイケルが在住しており、島に住む者達の暮らしを支えている。それに加えて、ノームと共に遊園地の乗り物を作成していく。
ガンテツ、ケルアン、シャインは、ユゼフィランで、通常の依頼を受けながら、平行して遊園地のパーツ作りを続けていた。
仕事量は増えていたが、コロネから特別給与が支給されるので、休日返上で楽しくパーツ作りに着手している。
特別給与も大事だが、それ以上に大きな乗り物が動くのをみたい気持ちでいっぱいだったからだ。
島で暮らす者の中にも鍛治仕事に関心がある者が見学に来て、その中の数人は弟子入りを果たした。荷運びから材料集め、特には設計図の説明を受けて、目を輝かせている。
そして定期的にリオニオンと共にガンテツ達が訪れた時、機動部分の接続と機材の組み立てをしていくのだ。
そして1年をかけて、漸く乗り物は出来上がったのだ。
「何とも風変わりの物が完成したが、まずは安全性を確認せんとな」したり顔のノームが言うと、
「そうだな。まずは製作者で確認するかの?」とガンテツがニヤリと笑い、
「俺も乗りたいです」
「僕も」
「俺も確認したいです!」と、ケルアン、シャイン、マイケルのワクワクする様子が窺えた。
「大事な職人は守らないとね」
ジェットコースターの乗り込む者達に、ラディッシュから外的の衝撃から守護されるペンダント型の魔道具を渡される。
笑顔で自分の作製した、売れ筋商品を惜しげもなく無料で与えたラディッシュ。でもこれはガンテツ達にあげた訳ではなく、今後乗り物に乗車する者が身に付けることになるオプションだ。
残念ながら、シートベルト等がないからだ。
定員10名の少人数版ではあるが、路線は長くくるっと1回転し、登り坂からの急カーブの下りが息も吐けず繰り返し、ドキドキしっぱなしだ。
「ギャー、うわぁ~」
「ウオ~、これは!」
「わー、早い、スゴいや!」
「うわっ、おわっ、ギャーー!!!」
「ウッショー、設計通りだぜ!」
ジェットコースターから絶叫が聞こえる。みんなは騒ぎながらも、初めての経験に何となく嬉しそうだ。
「安全性の為だ。もう一度確認しよう!」
「「「「賛成!!!」」」」
端からだと、とてつもなく怖そうな乗り物だが、ガンテツ達を見ているとそうじゃないと分かる。
(楽しいんだね)
(機会があれば。いや、そうじゃなくても乗ってみたい)
(合法的に大声を出せて、とってもスッキリできそう♪)
一番の難易度、ジェットコースターの試乗が完了した。
他の乗り物の一つである観覧車は、周囲の国や島が見え、そこで生きる者への実感が湧きそうだ。海と空に囲まれたシチュエーションも良い。
ゴーカートの一本だけの操縦棒を動かし、時速10kmで宝の箱まで操縦するゴーカート競争で、勝つと商品が貰える区画。木馬で作りで、タバサが色塗りと馬の顔や体を描いたメリーゴーランドも完成した。
夜にはノームと火の妖精ラランの合作、大花火大会の予定だ。
簡易的な舞台では、司会をしたり歌ったり、演劇を出来るスペースがある。外からみんなに見えるように、建物内ではなくその部分だけが設置され、使わない時は水やホコリを弾く効果のあるシートがかけられている。
全体的に配置を見回し、屋台の場所や出し物について意見を交わす。
「演劇披露は難しくない?」
「難しいものではなくても、童話程度なら可能じゃないかしら?」
「じゃあ、立候補者いるのかしら?」
「「「「はい!!!」」」」
ピーンと手が伸びる、元隠密達が言う。
「演じると言うか、他者を騙して貶める仕事もしていましたので。延長線上の役割だと割り切れると思いまして」
「私はよくターゲットと観劇しに行ったから、少しだけなら演じられそうかなって」
「わたしは単純に興味があるわ。人の為になりそうなことなんて、島に来るまで知ろうともしなかったから。みんなが喜ぶ顔を見る為に、やってみたいの」
そんな言葉を聞いて、コロネは息を呑んだ。
「みんなが眩しいわ。演劇は、是非やりましょう。好きなお題があれば出して下さいね」
「「「ありがとうございます。頑張りますから!」」」」
他にも多数、演劇に興味がある者から反応が寄せられ、参加人数は大幅に増加した。ワイワイ、ザワザワと、彼らの話し合いは白熱している様子。
コロネは反省していた。
最悪の場合、人形劇でも良いやと思った自分が、一番後ろ向きだったのではないかと思い。
そして気合いを入れ直したのだった。
「次は食べ物のテントよ。どれが遊園地に合うかしら?」
ただ単純に食べ物が絡み、活気が出た可能性も否めないが、スタートダッシュは良好のようだ。




