呼び出されました
翌日の早朝と言ってもいい時間の事。
ワードローブを頼んだ親方から工房に来て欲しいと呼び出しがきた。
僕は今日はアレスと共に、まずはギルマスの所にケースを届けてから工房へ出向いた。
「おはようございます」
「おっ、ヒオ来たか?奥まで来てくれ」
工房の奥から声が聞こえる。
歩いて行く僕の後からアレスが興味深そうについてくる。
「親方?」
「おう、ヒオ早速で悪いがちょっと蝶番を見てくれ」
「えっ、蝶番できたの?」
僕は驚いてテーブル横の椅子によじ登る
「まだ、出来たというには早いがな」
ハマスさんがそう言って渋い顔をする。
ハマスさん、目の下にでっかいクマが出来てるよ。大丈夫?
僕はちょっと引きながら、渡された蝶番を見る。
そこには昨日僕が伝えた蝶番が4つ出来ていた
ワードローブ用なので約10センチ程の長さのある蝶番だ
稼働もスムーズたし、問題があるようには感じないが?
「これを固定するには釘の長さが足りない。強度がおちるんだ」
強度が足りない?
・・・あっ、そうか僕、釘と思ってたけど、釘じゃなくてネジなのか。
「ハマスさん、ごめんなさい。僕が間違ってたみたい。ここは釘ではなくネジじゃないといけないみたい」
「ネジ?」
「うん。えっとねネジっていうのは」
そこから僕は、紙にネジの形状を描いていく
ただ描きながら、これを手で作っていくのは難しい気がしてしまう。
でもハマスさんは僕の絵を見てフムっと顎に手をあてると、なるほどと言いながら僕の絵を持って自分の工房へ戻っていった。
「えーっと」
戸惑っていると、今度はネルンさんが話しかけてきた。
「ハマスはほっとけ。自分の考えに沈んじまうと他の声は聞こえないんだ」
「ネルンさん、おはようございます」
「おはよう」
わぁ、ネルンさんも目の下にクマが出来てるよ。
「俺の方はまあ四角の箱だからな。見てみるか?」
「いいの?」
ネルンさんは先にたって歩きだし、親方の工房へ行く
そして向かった先には扉はまだついていないが、ワードローブがあった。
上部には1本の棒か取り付けられており、その棒のとめてある根元の下側には強度の補強の為に半円状の金属が取り付けられていた。
「ヒオ、これは?」
アレスがそれを見て僕の方に視線をおくる。
「これはねワードローブって言うんだよ」
「ワードローブ?」
「うん。あのねシワになって欲しくないお洋服をハンガーにかけて収納する物なの」
「シワ」
「うん。皆が人がたの洋服を着せる物を持ってる訳ではないでしょう。だけどこれだったら人がた程ではなくても畳んでチェストに入れてるよりはシワにならないから」
「なるほど」
アレスはそれだけ言うと、じっとワードローブを見てい
る。
「これがあれば、ドレスなど長さのある服も人がたよりも場所を取らずに収納できると・・・」
「うん。ハンガーにかけて収納するんだよ」
「ハンガー?これかい?」
アレスがワードローブの棒にかけてあったハンガーを手に取る。
「なるほどね」
するとアレスは親方の方に向かって話しかける。
「親方、例えばなのだが」
アレスは少し周りを見回して壁際にいくと
「この壁にこの棒を取り付ける事は可能だろうか?どのぐらいの長さまでなら可能?」
「ふん、そうだな、棒だけを付けるのは可能だが耐久性に問題が出てくる。途中に間仕切りを入れるか縦にも途中で棒を入れるかすれば壁の端から端までいけると思う」
「なるほど」
あっ、そうか家に置こうと思ったら、特にアレスのような皇族や貴族の奥様、お嬢様はワードローブ1つよりもウォークインクローゼット全体に棒があった方がいいのか。
あっ、それなら
「ドレスの横にそのドレスに必要なバッグや靴、アクセサリー、手袋とか置ける棚があると便利たね」
「何?」
僕の一言で親方までが考えに沈んでしまう。
「確かにヒオの言うように、関連付けて置いてあると便利だね。親方どうですか?」
「棚の強度等合わせて考えると、その方がいい」
親方もそう言う。
「作れますか?」
「あぁ、棚はどうにでもなる、棒も幅は見てからじゃないと決められないがな」
「ワードローブも欲しいし・・・」
あれっこのパターン前にもトイレで・・・
まさかね。
「僕のテントの部屋にも欲しいな。親方、まず先にワードローブを3つ、いや5つ」
えっテントの部屋?5つ?
僕のビックリ顔にアレスが笑って
「僕の部屋に3つ、ラクストに1つ、ヒオに1つ」
「僕、かけるようなお洋服ないよ。昨日チェスト買ったし」
「そうなの?服は僕が持ってるよ」
アレスか笑いながら答える。
アレスが持ってるってどういう事かな?
「何かあった時の為にヒオの分まで僕が持ってたんだよ。ところでヒオが買ったチェストってどれ?」
アレス、チェストにも興味あるみたい
僕は昨日買ったチェストの前までアレスを連れていって、組み立てられる事も教えたの
「あぁ、いいね。僕は横の深い色味の方のチェストがいいな。飾りもいい」
そう言ってアレスはチェストを2つ、扉が開くタイプを1つ買った。奥にもっと高級そうなの有ったけど・・・
その後、アレスは親方にワードローブもこの色味に揃えて欲しいと伝えてたよ
まだワードローブできあがってないのにね
この日、アレスは僕を宿まで送ると用事ができたって出かけていった。




