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ワードローブが欲しい

僕の部屋に置くチェストを選んだ僕達。

他にも素敵な物が多くてラクストと店内の奥の方まできてる。

奥の方はラクストの胸のあたりまである大きいタンスみたいなモノまであって縁には金属の飾りがほどこしてある。

ラクストはそれをチラッと見てはいたが、こんなに入れる物がないなーと笑ってる。

確かに、僕もないなー、季節が進めば洋服も増えていくだろうけど。

それよりもハンガーにかけるようなワードローブってないのかな?

僕がキョロキョロしていると奥から厳つい顔をしたおじさんが出てきて、僕に声をかけてきた。

「何か探してるのか?」

僕はビックリしてさらにキョロキョロしてしまう。


「えっと、あのねハンガーにかけて収納するようなワードローブはないのかなって思って」

「ワードローブ。なんだそれは」

えっ、ワードローブ自体がないのかな?

どうしよう、この世界にはないんだ。

話していいのかな?

僕が迷っているとラクストがやってきた。

「ヒオ、どうした?」

「ラクスト、あのね・・・」

僕達は叔父さんから少し離れて話しをする。



「あのねラクスト、僕の前の所にはワードローブって言うのがあってね、畳んでチェストに入れるとシワになってしまうお洋服とかをハンガーにかけて収納するのがあったの。それがあったらアレスのお洋服とかはシワにならなくて便利なのにって思って」

「なるほど、それで?」

「うん。でもここにはないみたいだから、言ってもいいのかなって」

「あぁ、なるほどな。またトイレみたいになると」

「う、うん」

ラクストは暫く考えると、いいんじゃないかって、だから僕はさっきの叔父さんに話してみることにした。



「あのね、おじちゃん僕ね欲しい家具があるの」

「ふん?ここにはないのか?」

「うん。ワードローブって言うのが欲しいの」

「ワードローブ?なんだそれ」

そこから僕はワードローブの説明を始める。



紙を準備して、まず絵を描いていく。

「えっとね。こんな感じで四角くて、ラクストの身長ぐらいで、開けると、ここに横に棒があってね」

おじちゃんは僕の簡単な絵をじっくりと見る。

「こんな棒しかないもんをどうするんだ」

「うん。あのねこの棒にねハンガーっていうのにかけた洋服を入れて収納するの。シワになって欲しくない洋服とかあるでしょう?」

「ハンガー?」

「うん。ハンガーはね」

僕は別にハンガーの絵を描いておじちゃんに見せる。

おじちゃんは暫く黙って僕の書いた絵を眺めている。

まだ眺めている。


「・・・なんで俺は・・・」

「おじちゃん?」

「こんなに簡単なシステムなのに、何で俺は思い付かなかった・・・?」

そうブツブツ言った後におじちゃんは急に僕に向き直り頭を下げてきた。

「おじちゃん?どうしたの?」

「坊主、これは他の誰かが作ってる物なのか?」

その質問にはラクストが答えた。

「いや、俺はいろんな地方に廻ってきたが、そんなのは聞いた事がない。それはヒオが思い付いた物だよ」

「そうか・・・では坊主、いやヒオと言ったか、このアイデアを俺に作らせてくれないか?」

その言葉に僕は嬉しくなって笑顔になる。

「作ってくれるの?」

「作ってもいいか?」

「うん。勿論。よろしくお願いします」

こうしてワードローブが新たに作られる事になった。


そこからはまるでトイレを作ってる時みたいだったよ。

おじちゃん・・・親方だった。親方は僕とラクストを後ろの工房に案内してくれた。

そこには30人程の職人さんがいて、それぞれ自分の家具を作っていた。



その工房の一番奥の広い場所まできた。

ここは親方の工房らしい。

「おい、ネルン、ハマスちょっといいか?」

親方が声をかけたのは、直ぐ近くで作業をしていた2人のおじちゃん。

「ヒオ、さっきのワードローブはこの2人と一緒に作って行こうと思う」

「うん。よろしくお願いします」


「ワードローブ?」

「あぁ、ちょっと2人共、見てくれ」

親方はさっき僕が書いた絵を2人に見せて話し始める。

板の種類や固さ、長さ、厚み等、専門的な話しになってしまい、僕はそこにあった椅子に腰掛けて話しが終わるのを待ってる。

「ねぇラクスト、僕、必要?」

「んーまぁ、まだ聞きたい事もあるんだろう」

「そう・・・」

でも、もうほとんど話したけど、何かあるかな?



親方の説明は暫くかかって、その後に僕はネルンさんとハマスさんに質問される事になった。

「ヒオでいいか?俺はこの工房で働くネルンだ。早速なんたが、このワードローブは正面の扉はどうなつてる?」

「えっとね、僕の知ってるのは、真ん中から扉で開くようになってるの」

言葉での説明は難しくて、また絵を描いて説明する

「なるほど、だがそうすると、この扉のこの部分は・・・」

ネルンさんはそこまで言うと、自分の思考の世界に入ってしまった。

そう扉を明け閉めする時の蝶番、あれがない。

さっきチェストの扉に付いていたのは蝶番ではなく木を組み合わせて止めてある職人の技といえる金具を使わない使用の物だった。

でもワードローブを作るにあたって僕は蝶番が作れたらと思ったのだ。

何故か?それは、あの職人の技を使ったワードローブだと、技術と緻密さと時間とで商品が高額になってしまうと思ったから。

もし、蝶番がつくれたら、他の物にも応用できて便利になるのではないかと思って。


ネルンさんが自分の世界に入ってしまうと、今度はもう一人のハマスさんが話しかけてきた。

「ヒオ、よろしくな。俺は金具やほかの細工物を作ってるハマスだ」

「えっ、凄い。じゃああのチェストとかの飾りもハマスさんが作ってるの?」

「あぁ、そうだ。それよりヒオ、このハンガーってやつについて教えてくれ」

「うん。あのね、この洋服がかかる部分は人の肩のように婉曲していて、この中央の棒に下げる部分は金具で作って欲しいの。そうじゃないと洋服をかけたときに一番負担がかかるのがこの部分なんだ」

「全部、金具じゃダメなのか?」

「うーん、金具でもいいかもしれないけど、洋服を掛けるには、ある程度の幅かあった方が綺麗に掛けられると思うの。でもそれを鉄で作ったら、重くなると思うの。でもそれを、軽くて強い木で作ったら女性でも無理なく使えるた思うの」

「うーん。なるほどなー」

「あっ、ハマスさんに1つお願いがあるの」

「なんだ?」

そこから僕はハマスさんに蝶番の説明をした。

「そんな物が・・・」

この時代というか、この世界で同じ大きさの蝶番を複数個作るのは可能なのか、僕にはわからないけれど、でもこの世界には魔法があるから、てきる・・・かもって思って。

だって蝶番を作ったら、それを留めるための釘が必要になるよね。

ここのチェストは所謂、釘を使わない細工物たから釘もないのだ。



そこからはネルンさんもハマスさんも、そして親方までも自分の世界に入ってしまったので、僕とラクストは今日は一度宿に帰る事にした。


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