お散歩に行こう
「ヒオ、ヒオ、もうお昼だぞ。一度休みなさい」
雪からそう声がかかって、僕は手を止める。
集中していたので、数えてはいなかったが、僕の周りには30を越えるケースが並んでいた。
「もう、そんな時間なんだね」
僕は伸びをしながら身体を解す。
「はぁ、楽しかった」
「そうか、まぁヒオが楽しいなら良いがな」
「それより、ヒオお昼だニャ」
「えー毛玉は寝てただけじゃないの?」
「そんな事はないニャ、ヒオ、このケース見るニャ」
毛玉がそう言って、僕が作ったケースの1つを手で前に押し出す。
そこにはヒオが作ったケースの上の花の飾り、その花の飾りの周りがガラスを溶かして流したように緑色のグラデーションが出来ていた。
「うわぁ、毛玉これ綺麗だね」
「そうでしょう」
毛玉が自慢気に顔をツンとあげる。
「僕の火魔法で、ここにヒオが転がしていたガラスをくっ付けて溶かしたんだよ」
「凄い毛玉。とっても綺麗だね」
僕が絶賛していると毛玉は少し恥ずかしそうに、それでも自慢そうに鼻先を上げた。
「ヒオも毛玉も良く魔法を練習しているな。どのケースもとても良い。これならば悲しみに震える人々も癒されるであろう」
「本当?雪」
「本当だ。良い品だよ」
「「やった」」
僕と毛玉は嬉しくなりハイタッチした。
そして、嬉しい気分のまま、お昼に行こうとする・・・が、まだあの2人は起きてこない。
「ねぇ雪、僕と毛玉と雪だけでお外に行っても平気かな?」
「ふむ、そうだな・・・まぁ、我が一緒におるゆえ危なくはなかろう」
「やった。じゃあお昼に行こう」
こうして僕達は二日酔いで酔いつぶれている2人を再び置いてお昼ご飯を食べに出かけた。
お宿から出た僕達、毛玉が匂いを嗅ぎつつ案内してくれて、街の広場まで来た。
そこは昨日弔い祭に来ていたような屋台が沢山並んでいて、どの屋台も美味しそうな匂いがしている。
そして、沢山の街の人達が並び、自分の順番がくるのを待ちつつ話しをしてる
「うわぁーいろんな屋台かあるんだね、毛玉どれにする?」
「僕はね、僕はね」
毛玉がどれにしようか迷うように、あっちを見たり、こっちを見たり、フラフラしてる
「毛玉、あぶないよ」
そんな毛玉を抱っこしてあげようと思ったんだけと、
いざ手を出してみるが、僕が抱っこしても後ろ足が地面についてる。
「あれ?毛玉大きくなった?」
「そうニャ、毛玉は大きくなったのニャ」
フフンって顔をされたよ。
なんか悔しい。
僕だって、僕だって・・・大きくなるもん。
まだ、ちったいけど
ちょっといじけたけど、僕達は最初に毛玉が行きたがった鳥のタレ焼きの屋台に行った。
「おじちゃん、その鳥さんを雪には10本、毛玉には3本、僕には1本下さい」
「あいよ。それぞれに入れるのかい?」
「ううん。後で出すお皿は持ってるから、まとめて袋に入れて」
「あいよ。全部で14ルキだ」
28ルキって事は1400円ぐらいって事か
僕は雪が首から下げてくれているマジックバッグからお金を入れているポーチを出してお金を払った。
僕が自分のウサギさんリュックからお金を出したら、悪い人に狙われちゃって僕ごと拐われちゃうといけないってなって、雪にバッグを持ってもらって、そこからお金を出すことにした。
「はい。おじちゃん」
「おっ、小さいのに偉いな。ちゃんと買い物できて」
「エヘヘ。ありがとう」
「じゃあ、これはオマケだ。ほら皆、口を開けな」
おじちゃんはそう言うと、鳥のツミレのようなタレ焼きを1つづつ口の中に入れてくれた。
「おいち」
「そうか、そうか。ありがとうな」
僕達はおじちゃんにバイバイして次の屋台に向かった。
次の所では雪が牛肉のようなお肉の鉄板焼を選んで、最後に僕がお肉とかを挟んで食べたら美味しそうなパンを買って、
「ねぇ、雪、毛玉、このままお散歩に行こう」
「お散歩?」
毛玉が首をかしげる。
「そう、お散歩。歩きながら公園でも探して、そこでご飯食べよう」
「お散歩」
毛玉が嬉しそうにしっぽをピンと立てて歩き出した。
「あっ、その前に飲み物も買わなくちゃ」
「僕、ミルクのむニャ」
「僕はジュース」
「我は水で良い」
「「えー」」
僕と毛玉は笑いながら屋台に向かって走りだした。
そこからの僕達はいわゆるウィンドウショッピング。
気になる商品を見つけては走って行って、近くでみて、また見つけては走って行ってを繰り返す。
この街の特産品は木工品らしくて、木で作ったドレッサーやラグ、椅子などの大きなものから、所謂、寄せ木細工のようなボックス、なんと、ネックレスやピアスとかの装飾品まである。
そして、しばらく行くと、その特産をいかした東屋を見つけたので、そこでお昼にした。
「ここも凄いね。天井も太い木と細い木とを組み合わて、とっても綺麗だ」
テーブルも木の木目をわざと見せるように削ってある。
椅子はただ平らではなく、少し奥に向かって丸みを持たせて凹ませてある。長くゆっくりするには人に優しくなってる。
僕達はここで食事をする事にして、それぞれのお皿に買ってきた食べ物を出していく。
雪や毛玉の皿にもちゃんとパンでお肉を挟んで出した。
即席のハンバーガーだ
「いただきまーす」
皆で一緒にかぶりつく。
「おーいしー」
雪も毛玉もバクバク食べる
「ここの街もお料理美味しいね。お肉が多いけど」
「ここはまだ山の方が近い。だから肉の方が多いのだ。たまに川魚が手に入る事はあるようだがな」
そうか、確かに川でもなければ魚はないよな。
そんな話しをしながら僕達は食事をすませて、ひとごごちつく。
「散歩には少し遠いが我の知る川がある。行ってみるか?」
「いいの?ラクスト達は?」
「あやつらが寝こけているのが悪い。我らは散歩に行くだけだ」
「やった。お散歩に行こう」




