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弔い祭

オークの溜まりから皆が戻り、日の暮れるころに僕達もギルドの前にやってきた。

今から弔い祭があるんだって。

会場にはテントが張ってあり、テーブルや椅子も準備してある。

そして、もう1つテントが張ってあって、そこには大きなクリスタルの女神像が準備してある。

そこで神官様が皆に祈りを捧げてくれるんだろうな。

とっても綺麗な女神像です。

僕は近寄っていつて女神様の前に膝まづき祈りを捧げました。横には毛玉がきて一緒に座りました。

前の世界の祈りのスタイルだけどいいよね。



「ヒオ」

「はーい」

「ちょっといいかい?」

アレスが呼んで、そちらを見るとギルマスと一緒にいます。

「こんばんは、ギルマスさん」

「よお、こんばんは。で・・・アレス話しって言うのは?」

「はい。ギルマス、個室が開いていますか?」



「で・・・ご用件は」

個室に入るとギルマスの口調が改まった。

「ギルマス、どうぞ気にしないで下さい。ヒオ、ケースを出してくれるかい?」

「うん」

僕はウサギさんリュックから、ケースを1つ取り出す。

「これは?」

「ギルマスさん、これに遺品を入れて遺族の人に渡して欲しいの」

「遺品を?」

ギルマスはケースを手に取り、蓋を開けて中まで確認した。

「ヒオは、自分でも何か出来ないかと考えて、このケースを作ったようなんです。遺品をそのまま渡すのではなく、そしてそのまま置いて置くのでもなくケースがあれば大事な人の思い出として飾っておけるのではないかと。そして、これを受け取った遺族が癒されて欲しいと・・・、亡くなった人の魂が癒されて欲しいと」

「そうですか・・・それは有難い。ですが今回の犠牲者は多い」

ギルマスが残念そうに、そう言った。

今回、犠牲者が多い為に、数の準備が出来ないだろうと思っているのだ。

「ギルマス、そこは大丈夫です。ヒオは雪様の加護を受けています。1日で全てを作るのは無理ですが、私達はヒオがある程度の数が作れるまで、数日この街に滞在する予定です。ヒオの気持ちを大事にしたいので」


そう僕が数を作れる理由を皆と話しあって雪の加護がある事にしたの。雪の神力が流れている事は言わないでおこうって。

人である僕に神力が流れているのは言わない方がいいだろうと。

ギルマスには国からの通達で雪がフェンリルである事やアレスが王子である事は伝わってきているが、僕の事までは詳細は明かしていないの。

だから今回は僕は雪の加護があって魔力が多い事にしたの。


「なんという・・・ありがとうございます」

ギルマスさんが深々と頭を下げました。

「ギルマスさん、僕、頑張って作って持ってくるね。今日は20個しかないけど」

そう言ってテーブルの上にウサギさんリュックからケースをどんどんと出す

「えっ?はっ?20・・・」

「えっ?今日渡す分に足りない?」

僕が悲しそうな顔になって言うと

「と、とんでもない。十分だよ」

ギルマスさんはそう言って、今度は僕の顔に手を置いて撫でてくれた。

大きくて優しい手だったよ。


僕達は個室を後にして、雪やラクスト、毛玉が待つテーブルに帰ってきた。

「ヒオ、全部渡してきたか?」

「うん、ラクスト。全部渡してきたよ」

「良かったニヤ」

ラクストに抱かれた毛玉が尻尾をゆらゆらと揺らしながらそう言った。

「うん」

僕は手を伸ばして毛玉を撫でた。


「さて、アレス達も戻ってきたし、俺達のテントに行こうか」

「僕達のテント?」

ここではないの?

「あぁ、雪や毛玉がいるからって、ギルドの職員がもう1つテントを張ってくれて、下に絨毯をしいてくれたんだ」

「ほんと?やった。じゃあ、雪や毛玉もゆっくり身体を伸ばせるね」

「僕のクッションを出してね、ヒオ」

毛玉がラクストの腕の中からそう言って、嬉しそうに喉をゴロゴロとならした。

「雪のクッションも出すね」

僕は雪のモフモフの身体を撫でなから言った。

雪は何も言わなかったけれど、尻尾が大きく揺れてる。



日が落ちて辺りが暗くなってきた頃にお昼のメンバーや街の人達が集まってきた。

そして女神様のテントに灯りが灯り、なお神秘さが増して美しく輝いた。


そこに神官様が入ってきた。

お昼にお会いした神官様もいる。

一番先頭には他の神官様よりも冠の帽子?みたいなのが高いのを被った神官様がいる。

「ほう。第三位の神官か」

「あぁ、朝の内に連絡をとって至急にこの街に赴いてくれたらしい」

「我やアレスの事を?」

「いや、だが情報は入ってきていただろうがな。犠牲者の人数がかなりの数になる事もあるしな」

「そうか」

第三位って偉い人なんだね



しばらくするとクリスタルのベルの音が響き、神官様の祈りの言葉が始まった。

集まってきていた街の人達も頭を垂れて祈りを捧げる。

その祈りの言葉は美しく、荘厳であった。

そして、暫くすると神官様達の周りから光が立ち上ぼり出して青く輝きだした。

「これがラクストが言ってた祈りの光・・・」

「そうだ。神官様お一人ではここまで青い光にはならない。神秘の青なんだ」

ラクストがそっと僕の耳元で教えてくれた。


暫く続いた祈りの言葉の後でまたクリスタルのベルの音が響きだした。

もう終わるのかなって思っていた時だった。

隣に座っていた雪が力を解放したのがわかった。

そして雪の周りで神官様達の周りのような青い光が弾ける。

その力が高まった時に雪が空に向かって神力を放ち遠く慰めるように、高く届けるように咆哮をあげた。

その咆哮は周り全てを浄化するかのような力があった。

「雪、凄い綺麗」

「僕もいつか雪のように強く綺麗になるにゃ」

毛玉が目を細めながらそう宣言した。

「うん。僕も負けないもんね。一緒に頑張ろうね」


雪の声が空に消えて、神官様の祈りの声も消えるとギルマスが前に進み出てきた。

そのギルマスの前には僕の作ったケースが並んでいる。


そしてギルド職員に声をかけられた人が進み出て遺品の入ったケースを受け取り胸元にしっかりと抱き締めた。

悲しい光景だけれど、それでも大切な人の元に戻ってこれた。

それはこれからの遺族の支えになるだろう。

そして、亡くなった人達への祈りが魂の癒しへとなるだろう。



そんな鎮魂のセレモニーが終わると後はラクストが言ってた冒険者流の弔い祭となった。

大量のお酒が振るまわれて、沢山の食事が饗された。

ギルドから出された物だけではなく、街の人達の屋台も出ていて、聞いてみたら皆、弔いの為に無償で出しているんだって。

どこもかしこも賑やかで遺族の元にも街の人が集まり、沢山のお酒と笑顔とで亡くなった人を偲んでいた。


「ヒオ、沢山食べられたか?」

「うん。どれも美味しかったよ。ねっ毛玉」

「特にタレの付いたお肉が美味しかったのニヤ。ラクストもう一回貰ってきて」

毛玉が口の周りを舐めつつラクストお願いする。

「俺を使うなよ」

ラクストはブツブツ言いながらも屋台の方へ歩いていった。

アレスはメンバーの人達と笑顔でお酒を飲み交わしている。

あんなに飲んで大丈夫かなーって思う程飲んでいるような気がするけれど、雪が今夜はいいんだよって言って、優しく笑ったから、僕も何も言わない事にした。


沢山の食料を持って戻ってきたラクストは毛玉と雪にもそれぞれ皿を渡して、自分もお酒を片手にお肉をかじってる。

お腹いっぱいの僕はウサギさんリュックから出したクッションに寄りかかってジュースを手に楽しそうな皆を見てた。

近くには神官様達のテントもあり、神官様達もテーブルが準備され、お酒も出されている。

女神様の像にも周りに灯りが灯り、キラキラと輝いている。

たまに街の人が女神様の像に近寄り、ロウソクに火を灯して祈りを捧げる。

そして神官様にお酒を注いでから、また皆の元に戻って行く。

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