付与?
ラクストの許可を貰ってケース作りを始めた僕。
雪やアレス、毛玉が帰ってくるまでの間に約10個のケースを作った。
ラクストは心配していたけど、僕はまだ大丈夫だなーって思っていた。
普段から練習として、花を作ったり、毛玉と魔法でどちらが上手に出来るか競争したりして、結構長い時間魔法を使っているので、まだ僕てきには余裕があったのだ。
そして僕はこのケースを作っている時に願っていた事がある。
それは遺品を受け取った遺族が少しでも癒されて欲しいと。
それから命を終える瞬間がオークにより恐怖で終わってしまった人達の魂が少しでも癒されて欲しいと、心の底から願った。
「ヒオ。ヒオ・・・雪達が帰ってきたぞ。迎えに行こう」
ラクストにボンと頭を叩かれて意識が浮上する。
それだけ集中していたみたいだ。
「雪達、帰ってきたの?」
「あぁ、ほら行くぞ」
ラクストが笑いながら僕に手を伸ばす。
僕は慌てて出来上がったケースをウサギさんリュックに入れると立ち上がり、ラクストに手を伸ばした。
今日も安定のラクストの肩の上です。
「疲れてないか?」
「大丈夫」
僕の返事にラクストがクスリと笑い、僕のお尻をボンボンとたたいた。
ラクストの肩にのって向かった先には街の門を通ってこようとしているギルマスとアレス、雪の姿があった。
毛玉は雪の背中に丸くなり眠ってた。
起きる気配もない。
「雪、アレスお帰りなさい」
「ただいま。ヒオ」
「いい子にしてたかヒオ」
「うん。雪。僕、いい子にしてたよ」
その僕の返事に雪はチラリとラクストへ視線をやって、また僕に視線を戻した。
「まぁまぁ、いい子にしていたようだな」
「まぁまぁって何?ちゃんといい子にしてたもん。ひどいラクスト」
「俺は何にも言ってないだろうが」
ラクストはそう言ながら僕を下に下ろした。
納得のいかない僕。
それでも雪やアレス、毛玉が無事に帰って来てくれたそのぼうが嬉しくて、すぐに笑いながら雪に抱きついた。
「雪、アレス、ゲガしてない?大丈夫?」
「あぁ今日は討伐はなかったから、ケガはないよ」
アレスがそう言いながら、僕を優しくハグしてくれる。
僕もアレスをハグしながら、本当にケガしていないかチェックする。
「良かった。ケガしていなくて」
僕がチェックした事に気付きアレスがクスッと笑った。
だけど僕はちゃんと気付いていたよ、アレス。
優しく笑ったその笑顔が少しだけ陰っている事に、だから僕はアレスに抱きつきながら僕のパワーをあげるかのようにギューってした。
僕が癒してあげるね。
だこらギューだよ。
「はぁ、ヒオは暖かいね」
僕の気持ちに応えるようにアレスもギューってしてくれた。
「ほらほら、お前達がそこで停まってると後ろがつかえるだろうが、行くぞ」
ラクストに言われて顔を上げると確かに後ろにメンバーの人達が立ち止まってる。
「ごめんなしゃい。皆さんお帰りなさい」
「「「おう、ただいま」」」
立ち止まっていた皆が何故か僕の頭にポンと手を置きながら通りすぎていく。
僕も一人一人にお帰りなさいって伝える。
「よーしお前ら今日はご苦労さん、今夜はギルドの前に弔い祭の準備がしてある。暮れてきたら何時でもかまわない来てくれ」
「「「おーす」」」
ギルマスも僕の頭に手を置きながら皆に声をかけた。
これで一度、解散になるらしいね。
「さて、では我々も一度宿へ帰ろう」
「うん、雪」
僕達も雪にならい宿に向かって歩き始めた。
「さてヒオ、我らがいない間に何をした」
「えっとね、ラクストとギルドにいって、その後にね教会にいって神官様とあったよ」
「そうか、で・・・」
「ん?後はラクストが自分に出来る事をするって言ってたから僕も何か自分に出来る事したいって思って」
「ふむ」
雪はベッドの横にごろんと横になり身繕いをしながら僕に先を即す。僕もそんな雪の横に座り雪のしっぽをモフモフしながら話しを続ける。
「だからね雪やアレス、毛玉が持って帰って来てくれる遺品を入れるケースを作りたいと思ったの」
「ほお。ケース、見せてくれるか?」
「うん」
僕は、雪に即されてウサギさんリュックから出来上がったケースを取り出して雪の前に置いた。
「・・・なるほど」
雪はラクストへ視線を送った後に再度ケースに視線をやった。
「ヒオ、お前はこれを作りながら祈ったのだな」
「凄い、雪わかるの?そう、僕ね遺品を受け取った遺族が少しでも癒されるように、そして死ぬ間際に恐怖を感じてしまった人達が少しでも癒されるように思いながら、このケースを作ったんだよ」
「そうか、ありがとうなヒオ」
「ん?」
「このケースには癒しの効果が付与されている。これ
を受け取った人々は癒されていくだろう」
「癒しの効果・・・?雪様?」
そこにちょうどシャワーから出たアレスが僕と雪の話しを聞き固まっている。
「今日、俺とヒオは弔い祭の話しをしにギルドや教会にいっんだけどな、ヒオも何かしたくなったらしくて、遺品を入れるケースを作ったんだ。祈りながらな」
もう一度先程の説明をしたラクストの話しの後でアレスが僕に近寄ってきてハグした。
「ヒオ、ありがとう」
「アレス?」
「国民の為に願ってくれた事、感謝する」
「アレス、そんなに大げさな事じゃないよ。皆が早く辛くなくなったらいいなって思っただけだよ」
そう願っただけ・・・癒しの効果の付与?えっ付与?
「雪、僕付与なんかしてないよ?」
その言葉に雪が笑い、僕の顔にパフっと尻尾をぶつけた。
「無意識に付与してしまったのだろう。まぁヒオだからな」
「あぁ、ヒオだからな」
「えぇ、ヒオですからね」
皆がそう言って笑った。




