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僕に出来る事

ラクストと屋台てお昼を食べてから、僕らは宿に帰ってきた。

僕はこれから僕にも出来る事を、やろうと思って。

ラクストには何もしなくてもいいって言われたし、何か心配するような様子だったけど、大丈夫だもんね。

僕は僕に出来る事をするんだ。


僕はベッドの横に座って両手を握りしめて、よしっと力を込める。

さっき僕の思い付いた事、それはアレス達が集めて持って帰ってくる遺品、それを納める箱というか、ケース?そのような物を作って遺族に渡せないかなって思って。

遺品をそのまま渡すよりは、一緒に渡す事で持ち帰った後でも入れて置いておけたらいいなって。


ただどんな物があるのか、大きさも何もわからないのだけど・・・

だから1つ見本みたいなのを作ってラクストに見て貰って、それから大きさとかを少し聞けたらなって思うんだ。


さてと、どうしよう。どんな物がいいかな。

遺品・・・大切な人の身に付けていた物?

その人の思い出の品?その人を思い起こす物?

難しいな。

僕だったらどうだろう・・・

ママの遺品。僕はママの遺品は何も持っていないけれど

それでも、それがあるとしたら、例えば自分の部屋に置いていたい。

ママの思い出と共に大事にしていきたい。


そう例えば指輪とかだったら・・・

うん。ケースとかでもいいのかな?

人によっては肌身離さずネックレスにでも通して持つ人もいるかもしれないけれど・・・

それでも大事に置いて置きたいと思うならケースがあったらいいよね。


僕はそこまで考えると次に、それをどんな素材で作るのか、大きさはどうするのか、僕なりに紙に書いてみる。


そう大きさは指輪でも、ネックレスでも、ブレスレットでも、ブローチでもフリーで入れられる大きさがいいな。

そうだママがアクセサリーを入れるのに使っていたジュエリーケースみたいな感じで!少し深さがあって綺麗な布が貼ってあって。

そして、素材は・・・

あっそうだ、僕の大好きな石はどうだろう?

石のケースだったら今、練習している魔法でどうにかできるんじゃないかな?


じゃあ石はどんな石?

翡翠のような色も綺麗だけれど、それだと宝石になってしまうし、きっとラクストがダメって言うような気がする。

でも遺品を入れるのに派手な色の石もイメージじゃあないし・・・

白い色ならどうかな?


白い石、僕には大理石しか思い付かないな。

たしか炭酸カルシウムが素材だったと思うんだけど

そこに不純物がまじったり、金がまじったりしてあの、なんともいえない模様が生まれていたはず。


とりあえず、大理石をイメージして手の中にジュエリーケースぐらいの石を出してみる。

白い石灰が固まったような、そして黒や金の模様の入った・・・

「できた」

でもまだ、只の四角い石。

これに力を注ぎながら、四角いけれど丸みを帯びたフォルム。

下に丸いボタンのような脚をつけて・・・

「うん、可愛」

手の中に優しく収まるような丸みを帯びたケースは、まあるい脚の4つついたケースになった。


「さて次は中をくりぬいて・・・、中も角は丸みを持たせて・・・よし、いい感じ」

あっ、でもこれ蓋がないな、この世界って蝶番ってあるのかな?

無い物作ったら、ラクストにまた怒られちゃうよね。


うーんどうしよう。

下のケースに被せるような蓋ならいいかな。

僕は最初に作ったケースを横に置いて、もう一度手の中に石を出現させる。

今度はさっきよりも一回り大きく、平らに・・・

「できた。でもなんか殺風景だな・・・あっ」

僕は、ウサギさんリュックから僕が今まで練習で作ってきた花やクローバーを出した。

そして蓋の中央に1つづつ置いてみる。

「うん。これなら優しい感じになるかも。これを魔法でくっつけてっと・・・うん。いい感じだね」



僕は出来上がった石のケースを手に取り、ためつすがめつしてみる。

「ふう。よしっ出来上がり」

これなら大事な人の形見を入れてお部屋に置いておけるんじゃないかな。

僕は1つ大きく頷くと僕の横のベッドに転がって本を読んでいるラクストに声をかけた。



「ラクスト、ねぇちょっといい?」

「あぁ?とうした?」

「見て欲しい物があるの」

僕がそう声をかけるとラクストが起き上がり僕の横に座った。

「なんだ?見て欲しい物って」

「うん。これなんだけど」

僕は出来上がったばかりのケースをラクストに渡す。

「おっ。なんだ?さっきからなんかしてるって思ったら箱を作ったのか?」

ラクストは僕の作ったケースをひっくり返してみたり、蓋を開けてみたりしている。

「いいな。優しい感じだ」

「本当?」

「あぁ、とってもいい」

僕はラクストのその言葉に嬉しくなり、ニッコリ笑った。

「良かった。ねぇラクスト、それを遺品を入れる箱にしたいの」

「・・・なに?」

「ただ遺品を渡すだけじゃなくて、その箱に入れて渡したいの」

「ヒオ、遺品は10や20じゃないんだ」

ラクストが厳しい顔をして言った。

「そうかもしれないけれど、僕も僕が出来る事をしたいんだ。僕が遺族だったら遺品を大事にしたいし、身近に置いておきたい」

「・・・簡単な事じゃないぞ」

「うん。それでも僕はやりたい」

僕がそう言うとラクストは大きなため息をついた。

「じゃあ、ヒオ、俺と約束だ」

「いいか。絶対に無理をするな。遺品は多数あるが、遺族を探すのには時間がかかる。だから慌てて数を作る必要はない」

「うん。わかった」

「本当だな?無理をしているようだったら力づくにでもやめさせるぞ」

「はい」

「・・・よし」

「ヒオ、ありがとうな」

「うん?」

なぜ、ありがとうなんだろう?


僕が不思議そうに首を傾げると、ラクストは乱暴に僕の頭に手を置きグシャグシャと髪をかき混ぜた。

「今回の犠牲者には冒険者も多くいたんだ。だから・・・な。それから亡くなった人に気持ちをよせてくれて、ありがとうな。ただ本当に無理だけはするなよ」

「うん。約束するね」

「おう」


僕はラクストと約束をすると、早速ケースを作り始めた。


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