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飼育員さんの初めてのお客さん(16)

「……本当にこれで見つからないのよね?」

「勿論さ。あそこからじゃ角度的にこの体制では見えないから大丈夫。」

「しっかし見事に皆寝てるのね。」

「しっ、ルージュ静かに。」


西側への道としてロックが選んだ道、即ち敵の頭上をティーア達は静かに静かに進んでいるわけですが3人ははいはいのように四つん這いの体制でなるべく音を立てないようにしています。

声も必要最小限に抑えます。

本当は無言で行ければいいのですがルージュに変な緊張感を与えないために少しずつ話をしました。

下では見える限りでは5、6人といったところでしょうか、あまり大きくはありませんが腰には武器らしきものを持っています。

また、逃げ遅れた人でしょう。

縛られて一ヶ所にまとめて座らされている人がこちらも5、6人といったところです。

服装などからいってティーア達と同じドラゴンの飼育員の方々のようでした。

恐らく武装している衛兵よりも武装をしていない弱いドラゴンの飼育員を捕虜にでもしようという作戦なのかもしれません。

ティーア達はそんな緊迫した現場の上を気付かれないようにゆっくり進んでいました。

ティーア達の進んでいる渡り廊下は鉄製でドラゴンが乗っても壊れないような頑丈なつくりでしたが、その反面歩くとガチャガチャと音が出るようになっていました。

それを長い東側通路をまっすぐ南側に進み途中で反対側にある西側通路への渡り廊下を渡り西側通路からまた南側に移動するのです。

そしてティーア達の進む横にはぐっすりと眠っているドラゴンが何匹もいるのでした。


「でも、やっぱりさっきの甘ったるい香りはゴスの実だったんですね。ここにいる全てのドラゴンが寝入ってます。」


やはりさっきの爆発前にした香りはドラゴンを眠らすためのものだったようです。

となると敵はかなりドラゴンに精通していることになります。

やはりロックの言っていた反対派の人達なのでしょうか。

しかしそれでここまでのクーデターを…………

ティーア達は最初こそ見つからないか不安ではありましたが、思いの外上手く進むことが出来、どうにか西側通路まで進むことが出来ました。

あとここまで行けば南側出口への扉はもう少しです。


「ねえ、因みにこいつらってどれくらい寝てるの?」


もう少しで出口という所でルージュが聞いてきました。

側では炎の飛竜種でしょうか、一匹のドラゴンが翼で自分がを綺麗に覆い隠して寝ています。


「確か…………そんなに長くはなかったはずでは……正確な時間は分かりませんが。」

「そうなの?使えないわねえ。知っときなさいよ。」


そういえばアスカさんにゴスの実の事を教えてもらったとき効能は聞きましたがどれくらいの効き目なのかは聞いていませんでした。


「予測ではありますが、基本的には個々によって大きさも違うので一様には言えないのでは?」

「そうなの?じゃあ結局いつ起きるか分かんないんじゃん。」


あれ?確かにそうですね。

でも、相手も奇襲をかける時にドラゴンが寝ていればいいわけで上手く事が進んだ今このドラゴンの檻を開けることは出来ません。

要は作戦成功です。

後は例えドラゴンが起きようとも出られなければただ騒いでいるだけですからね。

…………ということは、


「…………ロック。後どれくらい?どれくらいで着くの?」

「ん?もう少しほら、もう見えてるよ。」


先を行くロックが指差します。

そこは4つほど檻を越えた先でした。


「どうかしたか?何とかバレずに行けそうだぞ。」

「…………早く。……なるべく急いで。……静かに。」


ティーアは気付いてしまいました。

もしかしたらもうすぐゴスの実の効力の切れる子が出るのではということを。


「まさか…………そろそろ?」


それに先に感ずいたのはルージュでした。

額から頬を伝う汗が落ちました。

それはここまで来るための疲労の汗ではなく知りたくなかった事を知ったことからくる脂汗でした。


「ブグゥ……」


ビクッ!

その音に思わず体が強張ります。

恐る恐る横を見ると檻の中のドラゴンが目を覚ましかけていました。


「と、とりあえず急ぎましょう。静かに、静かにですよ。見つかったら意味がありません。」

「お、おう。分かった。急ごう。」


しかし、急ぐにしても限界があります。

大きな音がしたら下にいる人達に見つかってしまいます。

かといってのんびりしているといつドラゴンが起きるか分かりません。

一気に増した緊張感の中ティーア達はもう少しのゴールへと向かいました。


「よし。着いた。一応中を見てくる。ちょっと頑張っててくれ。」


先頭を行くロックがやっとのことで扉まで到達すると先に中の様子を見るために中に入っていきました。

中は先ほど登ってきた階段と同様の作りになっていて人はいなそうでしたが出た先にはいないとは限りませんでした。

その間にもティーアとルージュは敵から見えないように通路の内側ギリギリの所に身を低くしてなるべく小さくなっていました。


「まあ、一切動くことなく小さくなっていれば大丈夫でしょう。まさかここで体の小ささが役に立つとは…………」

「ね、ねえ…………ちょっと。」


ロックを待つために二人で小さくなっていた時でした。

ルージュが後ろからティーアの服の裾を引っ張り呼びました。


「ルージュ。もう少しの辛抱です。頑張って下さい。」


もう少しでロックが見回りをして戻ってくるはずです。

それまでの辛抱ですから。


「ね、ねえ。ちょっと!」


しかし、尚もルージュは裾をぐいぐいと引っ張り続けます。

その力はだんだんと強くなっていました。

そんなにしては物音でバレてしまいます。

ティーアはさすがに注意しようと振り返りました。


「ルージュ。静かにしてください。物音がしたらバレてしまいま…………それもしかして取れないんですか?」

「だから、呼んでたんじゃない。助けてよ!」


そこには自分の服のはしっこを檻の中のドラゴンの爪で押さえ込まれたルージュがいました。

どうやらドラゴンが起きてしまい檻の隙間から爪だけを出してルージュを捕まえたようです。

ドラゴン側としてはじゃれてるだけかもしれません。

でも力はルージュなんて相手にはなりません。

びくともしないのは当然でした。


「ブゥグゥ。クゥグ」


その飛竜はルージュに対して鳴いていました。

じゃれてるだけかもしれません。


「ル、ルージュ。恐らくその子はルージュと遊びたいだけです。言えばきっと分かってくれます。とりあえず優しく言ってゆっくり爪を取りましょう。」

「わ、分かったわ。ね、ねえ、あなた。後でいくらでも遊んであげるから今はこれを外してくれない?私は今、ちょっと忙しいの。」

「クワッ?グー。」

「よし。そうよ。いい子ね。」


ルージュの語りかけが通じたのかその飛竜はゆっくり爪を外してくれました。

これでルージュも自由に動けそうです。

しかし、さすがはビーストテイマー手懐けるのが上手です。


「二人とも戻ったぜ。下は大丈夫そう…………って、うわっ、ウノが起きてる。まずい。」

「ああ、ロック。ウノってこの子ですか?まずいって……優しいいい子ですよ。」


戻ってきたロックは飛竜を見て焦っていました。


「いや、違うこいつはただの女好きだ。女には優しいんだけど男には厳しいんだよ。だから俺を見ちまったから………くそ!早く行くぞ!」

「は?どういう…………」


意味が一瞬理解出来ませんでしたがロックはティーアとルージュを立たせてすぐに扉の中に入れようとしました。

するとロックの存在に気付いた飛竜が…………


「グアワー!!グアワー!!」

「何だ!あそこにまだいるぞ!!!捕まえろ!!」

「やっぱり!バレた!二人とも走れ!!」


飛竜がロックに向かって大きな声をあげました。

その瞬間下の犯人達も一世にこちらに気付いてしまいました。

ティーア達は急いで中に入り階段を駆け降りました。


「ま、またこんな通路!で?見つかったけどどうするの?」

「とりあえず着いてこい!一旦どこか……」


階段を降り扉を開けるとそこはまた細い通路でした。

例のごとく今度は左側が扉だらけで先ほどの東側とは左右対称で作られているようでした。

後ろからはまだ見えてはいませんが何人かの足音がどんどん近づいてきます。


「追い付かれるよ!」

「……しょうがねえ!ティーア!この先が十字路になってるから右に行って3つ目の扉に入れ!そこなら中から鍵がかけられるし隠れられる!」

「分かったわ。ロックは?」

「俺は出口を見てくる。十字路で真っ直ぐ行く。大丈夫!ティーアのために…………」

「分かったわ。お願い。」

「くそ!いつか通じろ!もしくは最後まで聞いてくれ!」


ロックが見てくるならここは信じましょう。

大丈夫です。心配しないでください。

ルージュはティーアが連れていきますから。


「……お願いね。ロック。」

「そっちもな。」


ロックの話通り十字路のような所に差し掛かりました。

ロックは真っ直ぐ、ティーア達は右に行きます。

ここで一旦お別れです。


「あいつ大丈夫なの?」

「たぶん大丈夫です。ここの住人ですし。一応信じてます。」

「…………それを本人に言ってやればたぶんもっと張りきったわよ。」


なんのことかはよく分かりませんがとりあえずロックの教えてくれた場所を目指します。


「1つ目…………2つ目…………3つ目!ここです。ルージュ入りますよ。」

「うん。」


ティーアはその扉に手を掛けました。

良かった鍵は開いているようです。

そしてその扉を引くとルージュと共に入りました。

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