飼育員さんの初めてのお客さん(14)
ーーーキーィンッ!ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あっ!ふわあ!」
一瞬そんな音がした気がしました。
耳をつんざくような金属音のような音がティーアの鼓膜を激しく揺さぶりました。
その直後立っていられないほどの衝撃がティーアを襲い思わずその場に倒れこみました。
その衝撃はティーアだけでなく側にいたルージュとロックにも同様に襲いかかっており二人もその場に耳を押さえながら倒れこみました。
「な、何だ!?物凄い爆発音がしたぞ。」
「ば、爆発!?」
ロックからの一言で少し状況を把握しました。
どうやらティーアには爆発音が大きすぎて耳がおかしくなったのか金属音のように聞こえたようです。
まだ耳の中でキーンと音がして周りの音が聞き取りにくいです。
辺りは衝撃のためか通路の石から砂ぼこりが舞い降りてきていていました。
「ル、ルージュ大丈夫ですか?」
ティーアはとりあえずルージュの側まで這っていきました。
「あっあっ。なんとか……ね。耳が少し聞こえづらいし肘を床にぶつけたけど後は大丈夫そう。」
「立てますか?」
「ええ、大丈夫。」
ルージュは肘を擦りながら言いました。
良かった大丈夫そうです。
しかし、一体何が…………
「敵襲!!竜舎東側より侵入者あり!」
「侵入者!?まさか、予告の!?」
ティーアが答えに行き着くより先に答えが飛んできました。
衛兵の人でしょうか、それとも軍の人か大きな警告の声が響いてきました。
どうやら竜舎の東側が何者かに爆破されそこから侵入者が入ってきたようです。
それによって一気に全てが動き出したのか地面を伝わるように物凄い数の足音や怒号があちらこちらから聞こえてきます。
どうやら敵もそれなりの数がいるようです。
「くそっ!何だよ。今日が本番かよ。しかもまだ予告時間より早いぜ。」
「ロック!今はそれより早く逃げないと!それで逃げるにはどこ行けばいいの?」
壁に拳を一つ打ち付けて文句を言うロックにティーアが呼び掛けました。
ティーアやルージュはもちろんのことロックも戦える人間ではありません。
だとするとティーア達のする事は一つ。
逃げるのです。
相手に見つからないうちに安全なところへ。
この迷路のような通路をぐるぐると歩かされたせいでティーアとルージュには道がさっぱり分かりません。
残念ながら今は唯一道が分かるロックに頼るしかありませんでした。
「…………ああ。そうだな。東側からの侵入となるとここはまずい。近すぎる。とりあえず上から西側へと抜けて南側から出れれば…………よし。早く行こう!」
「うん。分かった!ルージュ。大丈夫?行きますよ。」
「え、ええ。だ、大丈夫よ。私がこんなことでびびる訳ないし…………」
「…………ええ。そうですね。大丈夫。では、行きますよ。」
口では大口を叩いていましたがルージュの声と手は少し震えていました。
無理もありません。
ティーアだってとてもとても怖いですから。
でも、ティーアはルージュを守る責任があります。
……それに年下のルージュより怖がる訳にはいきませんから。
だから、ルージュの肩を大丈夫と一つポンと叩いて先を急ぐことにしました。
それにロックの言い方からすると今ティーア達のいる場所は敵が侵入してきた場所からも近いようです。
時間はあまりありません。
「で?どう逃げるの?道筋は教えておいて欲しいんだけれども。」
走りながらロックな聞きました。
やみくもに行くほど現状怖いことはありませんから確認しておくに越したことはありません。
「ああ、まず、2階に上がってドラゴン達の檻の前を通る。最初にティーア達に見せたあの広々としたところだ。出来ればそこから西側に渡って南側に行って竜舎の外に出る。そこからドラグニア城の中に入って助けを求める。敵が東側から来てる以上反対側の出来るだけ遠い所から逃げるのがいいだろう。」
「なるほど分かったわ。安全な道だといいけど…………」
現状で外の様子は全然分かりませんし、辺りからは怒号と混乱の混じったような声は聞こえてきますがそれが敵か味方かも分かりません。
それに今いる細い通路は見つかると逃げ場が少ないので見つからないように祈りながら走るしかありませんでした。
「ここから2階に上がれる……いくぞ。」
「うん。ルージュ。大丈夫?」
「だ、大丈夫よ。」
ようやく2階への扉に着くとロックが静かに扉を開けました。
そこはロックの言うとおり階段になっていて上へと続いていました。
後ろにいたルージュはいつも間にかティーアの服の裾を握ってティーアにピタリとくっついていてやはり怖がっているようでしたが口ではまだまだ大丈夫そうで少し安心しました。
なるべく音を立てないようにロック、ティーア、ルージュの順番に階段を登ります。
「よし。この先がドラゴンの檻のあったところだ。ただ吹き抜けで見通しがいいから見つかり易い慎重に行くぞ。」
ロックが体制を低くして扉のノブに手を掛けました。
確かに最初に見たあの部屋は上まですっかり見通せる部屋でした。
もし、下に敵がいるとしたらすぐに見つかってしまうかもしれません。
より慎重に行く必要がありました。
「うん。分かった。お願い。」
「よ、よし。大丈夫、大丈夫だから。」
「よし。じゃあ、先に外を確認する。少しだけ開けるぞ。」
ティーアとルージュも体制を低くしてロックに合図を出します。
それに答えるようにしてロックが静かに顔が出る程度だけ開けました。




