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飼育員さんの初めてのお客さん(13)

「で?まだかかる訳?」

「……も、もう少しだよ。ほら、そこの階段の扉を入って右の通路をずっと奥まで行って左に入ってそれで……」

「ああ!もういい!さっさと案内して!」


卵の部屋の次の飼料室に3人で向かっていたのですが、さっきの部屋は比較的すぐに見つけることが出来たのに次にいく部屋は何でこんなに複雑で面倒くさいんでしょう?

ルージュがさすがにイライラが頂点に達したのか後どれくらいかロックに聞いていましたがロックの説明を聞いて余計にイライラが募っていました。


「でも、ここってそれにしては複雑過ぎない?こんなにする意味あるの?」


どこまでいっても同じような石で出来た細めの通路なのですがどうもおかしい気がしました。

通っている通路の壁に見覚えがありました。

……気のせいかも知れませんが試してみましょうか。


「ねえ、それにこの壁に見覚えがあるんだけどここって1回通ってない?」

「は、はあ!?気のせいだろ。みんな似たような壁だし通路だよ。さっさ、早く行こうぜ。」


うーん。怪しいです。

明らかにロックには動揺が見られました。

もしかしたらロック自信が道に迷ったか、それとも…………わざとぐるぐる回っているか。


「…………ロック。ティーアは嘘をつく人が嫌いです。」

「ざくっ!!」


……何か刺さりましたね。

これは序の口です。


「例えどういった理由があろうも嘘をつかれるとその人を嫌いになってしまいます。」

「ざくっ!ざざくっ!!」


もう少しでしょうか。


「金輪際話をしたくなくなります。というか顔も合わせたくありません。もし、顔を合わせる機会があったとしたらきっと他人行儀になるでしょう。ね。ドラグニア軍ドラゴンの見習いののロックさん。」

「あー!!もう、分かったからいつも通りに接してくれ!想像しただけで胸が張り裂けて中から何か出てきそうだ!」

「…………鬼。」


はい。

ボロが出ましたね。

本当にロックはティーアにとって扱いやすい人間です。

世の中の人がこれくらい楽ならもっとティーアは過ごしやすいのではないかと思います。

……でも、何でロックはこんなに扱いやすいのでしよう?

嫌うとか話をしないとかそんな単語を口にするとすぐに崩壊してしまいます。

因みにルージュはティーアがわざとそう言ったのを分かっていたようでちょっと引きぎみでした。


「で?これはわざと遠回りしてるんですか?それとも道に迷ったとか?」

「……わざとだよ。って言うかザハスさんに今日言われたんだ。案内するときには少しぐるぐると遠回りして簡単に場所を把握させないようにしてくれって。」

「ザハスさんが?」


そこで予想外な名前が出てきました。

ザハスさんの言い付けで遠回り?


「そうさ。知り合いとはいえ機密事項ではあるからって。あの人は俺の師匠だから逆らうなんて無理だから仕方がなく…………だからお願いだ。ティーア。嫌いにならないでくれー!」


ロックが全てを自白し半泣きでティーアにすがり付いてきます。


「分かったわ。だから離れて頂戴。大丈夫。ティーアとロックは永遠に友達だから。」

「…………友達?」

「そう。友達よ。」

「………………友達か……はああ。」


ロックはそれを聞くと安心したのか反対を向いて安堵の声を漏らしていました。

良かったですね。ティーアが相手で。


「…………トドメかしら。」

「?何がですか?ルージュ?」


横でその光景を見ていたルージュがぼそりと呟きました。

何のことでしょうか?


「大丈夫。こっちの話。でも、わざと遠回りしてたなんてどれだけ小さいのかしら。こっちは早くドラゴンを見たいっていうのに。」

「……でも、これだけ複雑な場所です。確かにこうされるとティーアには何処が何処かまるで分かりません。効果はありますよね。」

「ま、まあね。でも、私は分かるわよ。……たぶん。」


その様子ではルージュももう道は把握できていないようでした。

ということはここで仮にロックがいなくなるとティーアとルージュは完全に迷子です。

まさかこんなところでロックが重要人物になるとは思いもしませんでした。


「まあ、そういう決まりならしょうがないですね。では、ロック。早く案内して…………?ロック?」

「…………友達。…………友達か……」


何故かロックは壁を一点に見つめ無駄にぶつぶつと独り言を言っていました。

あれ?嫌いにはならないとは言ったんですけどね?

言い方が悪かったのでしょうか?

しょうがありませんね。

言い方を変えましょう


「ロック。」

「あ?ティーアか……どうせ俺は友達だよ。」

「ロックとティーアは今は別の場所で見習いとして頑張っています。だから一人前になるまでは切磋琢磨出来る友達でいるべき何ですよ。」

「…………一人前になるまでは……」


おっ、言い方が良かったのかロックの目に生気がこもったような気がします。


「そう。それで一人前になったら…………」

「分かった!ティーア。俺、一人前になるまで頑張る!そして一人前になったら…………よし。じゃあ、早いとこ次に行こうぜ。」


話はまだ途中なんですがロックが復活しました。

これからが肝心なんですが……一人前になったら友達が同じ仕事をしていく上で競争相手になるんですよ。

ですが、まあいいでしょう。

復活したんですから。


「ルージュ。ロックが復活しました。行きますよ。ルージュ?」

「すん、すんすん。すんすん。くちゅん。」


今度はルージュが何か変でした。

しきりに辺りの匂いを嗅いでいました。

あまりに嗅ぐので可愛いくしゃみまでセットでしていました。


「どうしたんです?くしゃみするくらい。何か匂います?」

「う、うるさい!ところであんた、気が付かないの?この甘ったるい匂い。」

「甘ったるい匂い?」


くん。くんくん。

確かに甘ったるい匂いがします。

言われるまで全然気が付きませんでした。

しかし、この匂い……どこかで…………


「あっ!この匂いはもしやゴスの実では?」

「何それ?」


ティーアはこの匂いを嗅いでいたのを思い出しました。

そればアスカさんのところででした。

この甘ったるい匂いはゴスの実です。

そしてこの実にはドラゴンにのみ効果がある特別な実です。

その効果は…………


「ゴスの実はドラゴンのみに効果がある眠りの実です。これを嗅ぐだけで大抵のドラゴンは眠りに落ちます。」

「何故そんな物の匂いが?」


そのルージュの問いはこの後すぐに解消されることになりました。

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