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飼育員さんの初めてのお客さん(7)

「今日も三匹とも元気ですねー。」


ティーアは駆け回っている三匹のドラゴンを見て思わず口から出ました。

三匹のドラゴンがここで遊び回る風景はいつも見ているのですがあまりにも楽しそうなのでいつ見てもそう思ってしまいます。


「ねえ。あんた。あれって放置してていいの?結構遠くまで行ってるけど……」


ルージュが少し心配そうにティーアに話しかけてきました。

ドラゴン達が遠くまで行ってしまっているのが不安なようです。


「大丈夫ですよ。あの子達はアスカさんの作った柵から外出ませんから。」

「…………で?私は次は何をすればいいわけ?」


意外とせっかちなのか、それとも根は真面目なのかルージュが聞いてきました。

だから、あえてティーアはこう返しました。


「いえ、特にすることはないです。いつも自由にしてますよ。ティーアはいつも本を読んだり勉強をしたりしてます。」

「…………えっ?そんな感じなの?なんかイメージと違うわね。せっかく私が…………」

「ふふっ、ルージュは真面目なんですね。そんなに肩肘張らなくても大丈夫ですよ。」

「……なっ!そんな事ないわよ!私は別に…………そ、そうよ!ここで恩を売っておけばちゃんとした晩御飯が食べれるからそのためよ!」


ルージュは図星を刺され恥ずかしかったのか必死に誤魔化していました。

そんなにしなくてもいいんですがきっとそういう性格なんでしょうね。


「……そうですね。でも、今日はせっかくルージュもいますので普段よりのんびりしたいと思います。ルージュだって朝から色々とあって疲れてるでしょ?いいですよ。この時間は。」

「…………」


ティーアは視線を真っ直ぐ遠くで遊ぶドラゴン達を見ながら言いました。

視線の先にはドラゴン達が青く広い空の下で元気に遊んでいます。


「…………」

「…………」


二人に無言の時間が流れました。

風が心地よくゆっくりと時間が流れているような気がします。

今日は本当にのんびりするにはいい日和です。

たまにはこういう時間も良いですね。


「…………ねえ。聞いてもいい?」

「はい?何でしょうか?」


先に口を開いたのはルージュでした。

今までの強気な口調とはちょっと違ったような細々とした感じがしました。


「……その……あんたはどうしてこの仕事を?」


ルージュのその問いかけはとても真剣に聞こえました。


「ティーアは……そうですね。ドラゴンと…………アスカさんに憧れたからです。」

「…………あれに?」

「ふふ。そうですね。初めて見たときとはあんな感じなのでだいぶ印象は変わりましたが、アスカさんは根っこはいつでも一緒ですから憧れは変わらないですね。だからわざわざここでアスカさんに弟子入りしたんです。」

「そう…………なんだ。」


ルージュはティーアの言葉に少し戸惑いながら聞いているようでした。

そんな予想外なこと言いましたかね。


「…………ルージュは?何故ビーストテイマーに?」

「私は…………それしかなかったから……」

「どういうことです?」

「言葉の通り。私には選択の余地がなくてビーストテイマーになったの。しかも一番じゃないといけない。それにはドラゴンが使い魔として必要だった。」

「そうなんですか。」


喋る彼女は先程までの偉そうな雰囲気は一切なくどこか苦しいようなそんな表情にも見えました。

ルージュにはどうやら深い事情がありそうです。


「…………だからさっきあんたが言ってたのを見てちょっと羨ましかったのかな?憧れの人の所で自分の好きなことを自由にやる。私もそんな風に言えるようになりたいと思った。」

「…………言えないんですか?」

「え?」

「ビーストテイマー。好きじゃないんですか?」

「…………今は分かんない。まだビーストテイマーとして踏み出してもいないし。」

「そうですか。…………言えるようになると良いですね。ルージュも。」

「…………うん。」


ルージュは少しだけ笑っていました。

うんと言った彼女はとても素直で純真なただの女の子見えました。

ティーアはその顔を見てなんだか懐かしさにも似たような感情が芽生えたのを感じました。

こんなのは初めてでした。

ところがその直後でした。

ルージュははっと我に返ったような顔付きになると今までの事を思い返したのかみるみる顔が赤くなっていきました。


「い、いいい、今のは無し!忘れなさい!!私が!こんな事をこんなロリに!ちょっと年上だからって先輩ヅラしないでよね!いい?分かった?」

「はいはい。そろそろドラゴン達を呼びますか。」


突然態度をコロッと変えてギャーギャーと騒いでいました。

ロリと年上ってなんか相反しませんか?という質問は置いておくことにしました。

本人は失言をしてしまったとでも思ったのでしょうがティーアは

ルージュが少しでも心を開いたような感じがして少し嬉しかったです。


「はいはいって私の事をバカにしてるわね?ちょ、ちょっと、無視するなー!」


だってそろそろ時間ですから。

帰りもルージュにはコックを任せることにしました。

案の定かえりもルージュはコックに振り回されていました。

でも、コックを追いかけ回すその姿はティーアにはとても楽しそうに見えました。


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