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飼育員さんの初めてのお客さん(5)

「で?ぐはいてきにゃなにゅをしゅればいいんが?」

「…………口の中を無くしてから喋ってもらっていいですか?」


ルージュはティーアの作ったお昼ご飯を物凄い勢いで食べていました。

余程お腹が減っていたんですね。

喋る時に口に物が入っていて何を喋っているのか分かりません。

ティーアはとりあえず口の中を空にするように言いました。


「う、うるさいな。で?アスカ、私は具体的には何をすればいいんだ?」


それを聞いたルージュがティーアを罵倒しながらアスカさんに再び聞きました。

ルージュの口の悪さもそろそろ慣れてきました。

これも日々のアスカさんのスキンシップのお陰ですね。

…………あまり誇れる事ではないですけど。


「まあ、基本的にはティーアのやっていることを手伝って。今はこの竜舎の事はほとんどティーアがやってくれるから。」


アスカさんはそう言いました。

でもそれって結局は…………


「…………アスカさん?それってティーアに全部押し付けてません?」

「なっ!?そ、そんな事無いよ。たまたまここの仕事は今ティーアがしっかりやってくれてるからであって。私がやってたら私が教えてたよ。」

「それはそうですが…………」


確かにそうなんですけどティーアにはどうしてもルージュと上手くやっていける姿が思い描けません。

というか私の言うこと聞きますかね?

一方でもう一人の方は…………


「ふん。こんなロリに出来る仕事なんだから私なら楽勝に決まってるでしょ?それより…………おかわり!」

「…………はい。」


…………あなたも同じ体型じゃないですか。

と心の中で思いつつティーアはルージュのお皿を受け取りました。

仕事の方は普段手伝ってが一人でもやれることを二人でやるのですから余裕だと思われます。

でも、色々と気を付けないとダメですね。

ティーアはルージュなおかわりをよそいながら何を任せようかとあれこれ考えました。


「ところでさ。……私服をこれしか持ってないんだけど。」


午後からの仕事を始める前、ルージュが修道服のような着衣を引っ張りながら言い始めました。

確かにティーアの見た感じでも動きにくそうです。

と言うかそれがビーストテイマーの正装なんですか?


「私の予備で良ければありますけど………」

「あっそ。じゃあそれでいいわ。着替えさせて。」

「は?……今なんと?」

「聞こえなかったの?だ・か・ら着替えさせて!着方が分かんないの。着たことないしこんなの。」

「私がですか?」

「他に誰がいるの?」


ルージュはティーアの作業着の端を引っ張りながら言います。

……普通の服なんですけど、話からしてビーストテイマーは着ない服なんでしょう。


「はいはーい。私が着せてあげる!」

「アスカさん?いつの間に?」


すると何処から聞き付けたのでしょうか。アスカさんが現れました。さっき書斎に向かったはずなのですが。


「あら。わざわざアスカがやってくれるの?悪いわね。やっぱり私の事を高貴なビーストテイマーだと思ってるからかしら。」


ルージュはわざわざアスカさんがこの為だけに来たと思っているようで鼻を広げていました。

明らかに喜んでいます。

でも、ティーアは知っています。

それは絶対にアスカさんの善意ではありません。

そしてティーアはそれをルージュには決して教えませんでした。

…………知ってますか?

女の恨みは深いんですよ。


「じゃあ、アスカさん。お願いします。」

「うん。任せて!ルージュ、こっちおいで。」

「えっ?着替えの部屋まであるの?」


アスカさんはルージュをわざわざ書斎に連れて行きました。

…………これで準備万端ですね。

そのあとに部屋の鍵を閉める音がしました。


「あれ?鍵を閉めるの?随分厳重じゃないですか…………何?その手は?」

「大丈夫!大丈夫!私に全て任せて!」

「は?それどういう…………」


そのあとはルージュの悲鳴が家の中に何度か響き渡っていました。

大丈夫です。ルージュ。

そうやって大人にやってくのです。

ティーアは自分が大人になったのを改めて確認しつつ、アスカさんが楽しみ終わるまで家の中を掃除することにしました。


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