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飼育員さんの初めてのお客さん(4)

ティーアは耳を疑いました。

だって、突然アスカさんが変な事を言い出すんですもの当然です。

あまりの事に隣にいたルージュは開いた口が塞がらないようでした。


「アスカさん!本気ですか!?そんないきなり言われても…………」

「大丈夫だよ。私だって可愛いティーアにそんな無茶なことはさせないから。」


アスカさんが自信ありげに言います。

何か考えがあるようでした。

こういう時のアスカさんほど怖いものはありません。


「そ、それにルージュもティーアよりアスカさんが携わってくれた方がいいですよね?」


ティーアはとりあえずルージュに逃げることにしました。

きっとルージュなら反対するはずですから。

依頼主が反対すればアスカさんも考えを変えてくれるかもしれません。


「そ、そうね。確かにこんなチンチクリンより断然あなたの方が…………」


ヨシ!

言い方は気に入りませんがルージュもティーアの意見に賛成してくれました。

これならアスカさんも考えを変えてくれるはずでしょう。


「ふううん。そっかあ、優秀なビーストテイマーのルージュは私の助けがないと何も出来ないんだあ?」

「…………は?」


アスカさんのわざとらしい一言にルージュが大きく反応しました。

それをアスカさんは見逃しませんでした。


「優秀なルージュなら見習いのティーアでも大丈夫だと思ったんだけどなあ。」


更に追い討ちをかけるような言葉をルージュに浴びせ続けています。


「そ、そんなの一人でも大丈夫に決まってるでしょ?さっきのは冗談よ。私はそういう伝がないからあなたに頼んでいるだけで一人でも問題無いわ!」

「ちょっとルージュ!それは無茶ですよ!」

「ふん。大丈夫よ。なんてったってこの私がいるんだから。あなたは大船に乗った気でいればいいのよ。」

「じゃあ決まりね。…………とりあえず宛はあるんだけど確認を取らないといけないから明日まで待ってもらえる?」

「ええ、いいわ。」

「そんなあ。」


結局、ティーアの意見は一切反映されることはなく話は進んでいきました。

アスカさんは何を考えているのでしょう?


「じゃあ、ティーア交渉もまとまったしお昼にしましょうか。ルージュはまた明日来てちょうだい。今日は何も出来ないしね。」

「はあ…………こんな時にお昼ですか……分かりました。どうせティーアしか出来ませんしね。じゃあアスカさんがルージュを外まで送って下さいね。」

「ほーい。」

「ごはん…………」


アスカさんは自分のやりたいような展開になったので満足したのかお昼ご飯を頼んできました。

そう言えばルージュのせいでお昼をだいぶ過ぎていました。

ささっと出来るもので簡単に作ってしまいましょうか。


「ん?どうしたのルージュ?」

「どうしました?」


ティーアがいそいそと台所に向かおうとした時でした。

ルージュを外まで送ろうとしていたアスカさんがルージュの異変に気付きます。


「…………させて欲しい。」

「ん?何?聞こえないんだけど。」


ルージュはアスカさんに対して何かを言っているようです。

しかし、顔は下を向いているので表情は分かりませんし声も小さいくて側のアスカさんでさえ聞き取るのに一苦労していました。


「…………を食べさせて欲しい。」

「は?もう少し声も上げて。」

「だから!ご飯が食べたいの!昨日から何も食べてなくて腹ペコなの!」


そう言って顔を上げたルージュは顔を真っ赤にしていました。

余程恥ずかしかったのか目尻には涙が任され溜まってました。

あれだけ強気な態度をしていたのに目の前にこれから用意されようとしているご飯と空腹には耐えられなかったのでしょうか?


「なーんだ。それなら言ってくれればいいのに。でも、タダでって訳にはいかないなあ。」


普段そんな事を言わないアスカさんが対価を要求してます。

あれはきっと良からぬことを考えているに違いありません。


「何よ?お金?」

「それよりも今日は家に泊めてあげるから今日1日ドラゴンの飼育員の仕事を手伝うってのはどう?あなたもドラゴンの事を知れるし、私は働き手が増えて助かるからさ。どう?晩御飯も出すよ。」

「…………」


アスカさんの甘い言葉にルージュは悩んでいるようでした。

そもそもティーア一人でも現状仕事を出来ているのですが……今日のアスカさんは楽しそうでいいんですがやはりよく分かりません。


「…………分かったわ。まだ宿も見つけてないし。確かにこれからドラゴンを使い魔にするなら予備知識はあるに越したことはないしね。…………決してご飯のためじゃないからね!」

「はいはい。こちらも交渉成立ね。じゃあティーアそういうことでお昼ごはん一人分追加で!」

「ふん。私が食べるんだから美味しい物を作りなさいよ!」

「はあ、分かりました。」


またまた、ティーアの意見を一切聞かずに二人は交渉を成立させました。

そして、ルージュはご飯にありつけ元の元気を取り戻したのかまたティーアに対して偉そうな態度を取っていました。

皆さん忘れているかもしれませんがティーアの方がルージュより年上ですからね。

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