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飼育員さんの初めてのお客さん(3)

というかこの子はなんでこんなに偉そうなんでしょうか?

ティーアはともかくアスカさんにまでタメ口でこの悪態です。


「それで?ドラゴンを探しにドラグニアに来たのは分かったんだけどなんで家に来たの?ドラグニアに竜舎なんて星の数ほどあるじゃない?」


アスカさんが改めて事情を聞きます。

この問いにルージュは悪びれる様子もなく答えました。


「ん?誰もいなかったし、すぐに入れたから。もうちょいなんかした方がいいよ。セキュリティ緩すぎ。」

「…………本当にそんな理由でですか?」

「ええ。そうよ。」

「まあ、確かにドラゴンのいるところに入り込んで来るなんて想像してないから気にしたことなかったわね。っていうか、迂闊に入るとあの子達なら逆に返り討ちだし。」

「ふ、ふん。私が優秀だからね。あんたのドラゴンなんてすぐに手懐けたのよ。」


何故かアスカさんはルージュに感心していました。

ルージュの方も満更でもないようで態度が更に大きくなります。


「…………でも、ルージュの使い魔は居なかったんですよね。」

「なっ!そんな事…………」

「でも竜舎でヤットに何かしてましたよね。」


どうやら図星のようです。

表情ですぐに分かりました。

確か先ほど竜舎で何か上手くいっていないようでしたしそうなのでしょう。


「ふ、ふん。ここのドラゴンが私に合わないだけよ。私ほどのビーストテイマーに相応しいドラゴンはそう簡単に見つからないのよ。」

「……そうですか。」


本当にプライドが高いのか自分に余程の自信があるのか、折れることのない様子には少しティーアも感服していまします。


「じゃあ、ここにいる必要も無くない?だってあの子達じゃダメなんでしょ?ここにいるドラゴンはあれだけよ。」


アスカさんがルージュに向けてど正論をぶつけます。

でも、アスカさんの言うとおりです。

ここには現在竜舎の三匹しかいないので依頼を受けてもどうしようもないですよね。


「なっ!そ、そうなの…………で、でもあなたはドラゴンの飼育員なんでしょ?そ、そうよ。あなた等級は?」


ルージュは明らかに動揺を見せていました。

そして何かを思い付いたのかアスカさんに等級を聞いたのです。

本当にアスカさんのこと知らないんですね。

他の国ではさすがに知名度が落ちるようです。

そうですよね。

ドラゴンの貿易を解禁したの最近ですし。


「ん?金だけど…………」

「はっ!?金?あなたが?」


やはりルージュは凄く驚いていました。

そうですよね。

普通はこんなところに金等級のドラゴンの飼育員がいるなんて夢にも思いませんよ。


「まあね。」

「いや!分かってたわよ。私には!だって私は普通のビーストテイマーとは違うんだから。だからこそここを選んだの!」

「…………さっきと言っていることが違いません?」

「何よ!細かいわね。だからあんたはロリ体型なのよ!」

「まっ!また言いますか!関係ないでしょ!ルージュだって対して変わらないくせに。」

「ふーんだ。私はあと2年も猶予があるのよ。」

「うっ…………」


くっ、こいつは…………

先ほどからティーアにばかり突っ掛かってきます。

しかし、ルージュにはティーアより猶予があるのも事実。

ティーアは思わず言葉に詰まってしまいました。


「…………で?ルージュ。私を選んだ理由は?」


アスカさんはティーアとルージュの口論に慣れてしまってのか二人のケンカを華麗にスルーして話を続けました。


「そう!本題はそっちよ!アスカ!あなたに依頼するわ。ここに私に合うドラゴンがいないなら探してちょうだい。金等級なら顔も広いでしょ?」


なっ!何を言うのでしょうか?

ルージュは大きな態度を取ったままアスカさんに偉そうに依頼をしました。

こんな態度で物を頼んだ人にアスカさんが了承するはずがありません。

きっとアスカさんがずばっと断ってくれることでしょう。

その時の泣き顔をしっかり見てやりたいと思います。


「…………うん。いいよ。」

「…………はっ?」

「ふふーん。よーし。じゃあお願いね。わ・た・し・の!ドラゴンを!」


ティーアの聞き間違いじゃないですね?

今アスカさんはいいよと言いましたか?

横ではルージュが更に調子にのっていました。


「じゃ、じゃあ追加注文ね。とにかく強いドラゴンがいいわ。炎をばーっと吹いて大きい奴。そしてそして、勿論空を飛べるの!後、出来れば女の子がいいわね。首飾りとか着けてそれで…………」


ルージュはそこから矢継ぎ早にアスカさんに注文をつけまくっていました。

どんどん、注文が多くなっていきます。

って言うかそんなドラゴンいます?

アスカさんはそんなルージュを見ながらニヤニヤとしていました。

うーん。嫌な予感がします。

こういう時は大概良いことは起きません。


「…………でもね。ルージュ。」

「ん?何?」


アスカさんはベラベラと喋り続けるルージュに口を挟みました。

そして…………


「あなたのドラゴンを探すのは私じゃないわ。…………あなた自身と…………ティーアよ。」

「は?」

「ええええっ!」


…………やっぱり良いことは起きませんでした。


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