飼育員さんの休日【2】
前回の小話の続きです。
前話は飼育員さんの1日の後にあります。
次回は何時になるでしょうか
気長に待ってください。
「とは言ったものの…………何をしましょう?」
突然貰ったお休みですがあまりにも突然過ぎて何をすればいいのか全く思い付きませんでした。
とりあえずティーアは街まで繰り出して来ました。
街をブラブラしてみるのも悪くはありません。
普段とは違った風景も見えるかもしれませんから。
「あれー?ティーアじゃん!?何その格好?」
う、この貴重な休みの日に聞きたくなかったこの声は。
「おはよう。ロック。サヨウナラ。」
「何で?いつにも増して厳しい反応なの!?」
やはり、ロックでした。
あいつにはこの程度の対応で十分です。
ティーアはさっさとその場を立ち去ろうとしました。
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ。ティーア!」
「何?」
本当に相も変わらずしつこくティーアに付きまとってきました。
ティーアはこの有意義な時間を大切にしたいのですが本当に何なんでしょう?
「いや、だからさ。今日はどうして、その…………なんつーか……普段と違って……その…………」
「?」
何なんでしょうか。
今日のロックはなんだかまごついています。
いつもはもっとこう、自分の言いたいことを一人でベラベラと喋っているのですが、きっと何か悪いものでも食べたのでしょう。
「…………胃薬ならあいにく今は持っていないの。因みにお医者さんはあっちよ。」
「何と勘違いしてんの!?」
「え?拾い食いして調子が悪いんでしょ?」
「…………は?」
人が優しくしてあげたのに何という反応でしょうか。
全くティーアの優しさを無下にするなんて…………
「ち、違うよ調子は悪くないよ。むしろ絶好調っていうか……大興奮て言うか……」
「じゃあ、何よ?ティーアはせっかくの休みを有意義に過ごしたいんだからロックに構ってる暇はないの。」
「あっ。そうなの?ティーアは今日休みなんだ。だから…………」
ロックがそう言ってまたモゴモゴとしています。
「?ロック?だから何?ティーアなんか変なところがある?」
ティーアは自分の格好を見回しました。
休み用の普段と違った私服を着てはいますがティーアはティーアでしかありません。
裏返しで着るみたいな初歩的なミスもしていないようですし……本当に今日のロックは変です。
「いや、そうじゃなくて今日のティーアはその……か、か、かわ…………あああ!もういい!てかティーア、今日は休みなのか?」
何なんでしょう?顔を赤くして暑いのでしょうか?
いつもより気持ちが悪いです。
「ええ、たまたまアスカさんがティーアにお休みをくれたから、今街をブラブラしてたところ。ロックは今日もお使い?」
「ああ、俺は今日はザハスさんに言われてちょっと用足しをしてたところなんだ。…………良かったら一緒に…………」
「そ。頑張ってね。」
「華麗にシカト!?ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ。」
今日はいつもに増してしつこいですね。
ロックはくるりと方向転換したティーアの前に再び立ちはだかりました。
ティーアは少しずつでもこの休日を有意義にしたいのに、ロックに、時間を割くのももったいないです。
「ロック。ティーアに言いたいことがあるならはっきりお願い。ティーアだってやることがあるの。」
「えっと…………あの……そうだ。ティーアは今年の品評会は来るのか?」
「えっ?品評会?」
そういえばもうすぐそんな時期でした。
前の予選会はすっかり忘れていましたが品評会の本番は勉強にもなりますし、ぜひ見たいです。
ティーアのこれからの目標の一つですから。
「一応行く…………とは思うけど。ロックは?」
「ああ、俺はザハスさんが出品するからその付き添いだ。今年こそはザハスさんは優勝するぜ。凄いドラゴン準備してんだから。」
「そうなんだ。それはちょっと楽しみかな。」
「そ、そうだろ?」
勿論、ティーアはドラゴンが大好きですし色々なドラゴンを見てみたいので金等級のザハスさんが育てたドラゴンも当然楽しみです。
「もし、良かったらザハスさんに頼んでいい席を準備してもらってやろうか?ザハスさんなら顔が広いから大丈夫だと思うぞ。」
「…………本当!?」
まさかのロックからの提案でした。
ただでさえ中々見れない品評会をいい席で見ることが出来るなんてどれだけいい話なんでしょう。
思わずティーアも食いついてしまいました。
「も、勿論。俺がザハスさんに頼めばすぐに用意してもらえるのよ。」
ロックは少し興奮気味に言います。
そんなにザハスさんのドラゴンを見て欲しいのでしょうか?
でも…………
「うーん。ありがたい話だけどやっぱりいいや。」
「ええ?何で?こんないい話なのに…………」
「うん。でも、アスカさんに聞かないといけないし、それに見るだけなのにいい席で見てもね。やっぱり見るより出て良いところに立ちたいし。」
いい席で見るのは金等級を取ってからでも出来ます。
まだまだ未熟なティーアはそんな席ではなく下の席で十分です。
…………まあ、必ず登り積めますけどね。
「だから、今回はいいや。もっとロックの大事な人に使ってあげて。」
「そんなあ。」
ロックは何か残念そうな顔をしていました。
本当に間近でザハスさんのドラゴンを見せたかったようですね。
自分のドラゴンじゃないのになんてやつなんでしょうか?
でも、せっかくのロックの提案なのでもっと大事な人に使って貰いましょう。
例えば…………そうですね、好きな人とか。…………いればですけど……
「じゃあ、ティーアはもう行くね。ロックもザハスさんの所に遅れちゃダメだよ。」
「ティ、ティーアァ…………」
最後までロック粘っていましたがティーアもそんな暇ではないので最後の方は受け流してその場を離れました。
だいぶロックに時間を食ってしまいました。
空を見上げるとお日様はもうてっぺん近くまで登っていました。




