狭間
トラックは高斗を無慈悲に引き飛ばした。声はでない。出したい。叫びたい。叫べばすこしは楽になるだろうか。
「あがっ」
体全身から血液が溢れ出るような気持ち悪い感覚。トラックは止まらなかった。倒れた高斗の頭の上には大きなタイヤ。メキメキと骨が割れるような不快な音が耳に響く。そのまま地面とタイヤに挟まれ「ぐちゃり」と潰れて僕は死んだ。
目が覚めるとそこは真っ白なだだっ広い部屋?のようなところにいた。死んだのか、夢じゃなかったのか。死後の世界ってやつか。
まぁ、あんな世界にいたところで希望なんて無かったけど、一つだけ心残りがあるとすれば…。
中野だけは殺す。
僕はあいつを友達だと思ってた、なのに、僕はあいつに殺された。
「殺したいな…。」
無意識にそんなことを言ってしまった。そんなこと言ったらあいつと、中野と同じじゃないか。
その時、白と紫の仮面を被った誰かがこっちに向かってくる。男か女かわからない。
(天使ってやつかな。)
そしてそいつが僕の前で突然話始めた。
「あなたは世界で死にましたね?」
「え、あー、そりゃそうだけど。」
「あなた、自分の名前は覚えてますね?」
「天田高斗だけど。」
(なんだこいつ。)
その仮面の天使?は胡散臭いようでどこか信じ込まされるような口調で丁寧に話し始めた。
「天田高斗。あなたは死にました。ここは世界と、もう一つの世界、超世界の狭間。」
「で、その超世界ってのはなんなんだ?」
「まあまあそう焦らず、私の話を聞いてください。」
「超世界とは、世界よりも広く、美しい。」
「え、そんだけ?」
「他にも色々ありますが…めんどくさいので飛ばします。」
「はあ。」
「そしてあなたにはこれから超世界に行ってもらいます。」
「でしょうね。」
天使?のようなそいつはすこし驚いたような反応を見せた。
「で、あんたはなんなんだ?天使か?」
「私はアルテナ。天使族です。」
天使族という聞き慣れない言葉にハテナが頭に浮かぶ。
「あんたが超世界ってとこに連れていってくれるのか?」
「ええ。もちろんです。」
アルテナは僕の手を取り宙に浮いた。かなり綺麗な手をしている。
「しっかり握っていてくださいね?」
「え?」
そのまま超スピードで白い空間を突き破るように進んでいく。
「早い!早い早い!うぎゃぁぁ!」
アルテナはそのまま僕を抱き締めどこかに放り投げた。正直ちょっとドキッとした…。
「落ちるぅぅぅ!!」
そして僕は狭間を抜けた。




