間違い
八月三日。夏休み。アイスをベロベロと舐める。暇だ。暇すぎる。中野と遊びにでも行こうと思っていたがそういえばあいつの家を知らない。
「あ~、暇だ~。」
結局宿題かゲームかお○にーしかすることがない。全部飽きた。宿題なんてつまらないしゲームもやりすぎると逆に苦痛。お○にーはつかれるし続かない。
「バイトでも、始めてみようかな~。」
そんな勇気ないだろ。言ってみただけだ。
その時、ピンポーンと間抜けな音が部家に鳴る。
「はーい!」
ガチャり。扉を開ける。中野だった。
「高斗~。遊べるぅ?」
「今ちょうど暇だったわ。」
「じゃあさぁ、超世界行こ?」
「僕今日はちょっと…」
「来てよぉ。遊ぼうよぉ。」
(小学生じゃねぇんだぞ…)
中野は天田にすがるようにお願いを続けた。正直、高校生のくそデブが上目遣いでお願いしてくるのは見てて気持ち悪い。
「仕方ないな。で、どこ行くんだ?」
「だーかーらー!超世界!」
「それがどこにあるのか聞いてるんだよ。」
「じゃあついてきてぇ。」
「はいはい。」
そのまま中野は近所の公園に歩きだしたのでついていく。
「ただの公園じゃん。超世界なんてないぞ?」
「まだねぇ。」
「まだってなんだよ…」
それから夜まで待たされた。同じ高校の女子グループが滑り台で遊んでいる。青春だなぁと思いながら見ている。こちとらデブと夜まで公園に待機だぞ。
女子グループは疲れたのか帰ったらしい。
「おい、もう夜だぞ?その超世界?ってのはいつ行けるんだ?」
「今からぁ。」
その瞬間、中野はナイフをポケットから取り出した。
「お、おい。なに持ってんだ…?」
「超世界へのぉ、片道切符。」
中野は大きくナイフを振りかぶる。ギリギリで避けるが今の中野はいつもとなにか違う。デブ特有のおっとりとした空気を感じさせない殺気。
「やめろ!バカ野郎!」
中野の全体重が乗った一撃が高斗の脇腹に刺さる。
「あああ!何すんだ駿!死ぬ!誰かぁ!」
高斗は脇腹の痛みに悶えながらも走った。走れてるのかはわからない。初めての感覚だった。
「んっ、ぐぅ!」
歯を食いしばって逃げる。このままだと殺される。本当に。
無我夢中で道路に出た。なぜ出てしまったのか。僕の目の前には一台のトラック。中野は笑ってた。やっぱりあいつはおかしい。




