14 両手持ち用の杖はケルベロスを倒す
「大丈夫!?」
そう言うと少年はこっちを振り向き
「だ、大丈夫です……」
と涙目で言った。
いやーほんとなんでこんな所にいるかな?
「ほら、立てる? さっさと逃げるよ」
そう言って立たせて【重力無効】をかける。
「うわぁ!?」
あぁそうか、浮いたことないのか。
いやまあ当然だな、私みたいにバンバン飛んでる人見たことないし。
やべ、結構足音が近づいて来てる。
さて、取り敢えず少年は食われないよう高い位置に浮かせたけど、倒せるかなぁー。
さっきの速度で来られたら私普通に死ぬよ!?
取り敢えず【地獄の業火】でも放っとくか。
「【地獄の業火】!」
目の前にあっつあつの炎が出現し、ケルベロスを焼く。
さぁーて、これでどうだ?
いくらDPが1500でも燃やしてしまえば関係ないだろぉ。
頼むからやられてくれ。
しかしその願いは届かず炎の中からケルベロスは歩いてきた。
だが流石に走れないほどにはダメージを受けたのだろう。
仮に走って来れるならぶっちゃけ今死んでる。
ま、念の為浮いとこう。
【重力無効】を発動し、高さ30mくらいまで浮く。
そしてそこから『自爆杖』を投げまくる。
ぜははははは! これが数の暴力だぁー!
今の自爆杖の数は優に1000本を超えてる。
ただこれ全部を打ち込むと森を破壊するのは目に見えているからせいぜい200本くらいしか打ってないんだけどね。
……それでも多いな。
取り敢えず200本もの『自爆杖』が絶え間なく落ちてくるのだから流石に倒れているだろう。
……倒れてくれてないと困る。
しかし
「…………はぁ」
生きていた。
ピンピンしているわけではないが生きていた。
うせやん『自爆杖』単体でも威力って結構高いんだよ?
それを打ちまくってるのに……さすがケルベロス……強えぇ。
うーむ、マジでどーしよ。
倒すの無理くね?
今は意味がないと思うが【重力無効】で地面にビタンビタンと叩きつけまくっている。
まあいざとなったら【重力無効】を発動し続けて餓死させるとかやりゃあ良いんだけど……。
それは100%起きてられないからやだ。
つまり今倒さないといけない訳だ。
うーむ……水責めするか。
えー、では三十秒クッキングー。
材料は、『ケルベロス(生きている状態)』と、【完全水】と【完全土】でーす。
では作っていきましょう。
まず【完全土】でケルベロスがすっぽり入る穴を作りましょう。
そしたら【完全水】で水をそこに敷き詰めて……
あとはそこにケルベロスをドボンして【完全土】で蓋をする。
はい、終了。
……我ながらえぐい、えぐすぎる。
地面が揺れる。
めちゃくちゃ穴の中で暴れ回っているのだろう。
因みにだが、【完全土】がどういう魔法かというと、土を操れる魔法だ。
今私が持っている魔法の中で何かを操れるのはこの魔法だけだ。
他はただ出現させるだけなのだ。
次第に地面の揺れが収まる。
……やったか?
一応死亡フラグを立ててみたが揺れない。
どうやら本当に倒せてしまったらしい。
いやー、我ながらあっぱれあっぱれ。
てか最初からこうすりゃ良かった。
まあ、残酷なやり方だから出来ればやりたくなかったけど……。
取り敢えず、ケルベロスはもうこれで埋葬できてるし、少年を連れてギルドに帰ろう。
そう思い少年の近くに飛ぶ。
「今ギルドに飛ぶからね」
「はっ、はい」
引いてる! 引かれた!
いやまあ確かにひっどい殺し方だけど許してくれよぉ〜
ああしないと絶対勝て無いって〜。
その後、少年とは少し距離を離してギルドへと飛んだ。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
「えぇと……」
冒険者ギルドに帰り、子供を見せると受付嬢は少し困った顔をしながら
「その子は……?」
と言った。
「なんか森にいたので連れて帰りました」
ただ本当の事を言った。
というか今日はマジで疲れたし、早く帰ろう。
「んじゃ、あとはよろしくお願いしまーす」
「あ、ちょ!」
ん? なんだ? 迷子はギルドに届けちゃダメだった?
「ん? 何?」
「いや、誘拐した……とかじゃないですよね?」
「へ?」
何言うてるねんするわけないやん。
「実は最近、子供の失踪が続いているんです」
えぇ!? 連続失踪事件!? まじかよ!
「まさか犯人……じゃないですよね?」
「はい!」
なわけ! 子供誘拐して何しようというのもないし。
「取り敢えずこの子はギルドが保護します、見つけた場所や時間等を教えて下さい」
うーわめんどくせぇー、早く帰りたいのにぃー。
まあこれ以上失踪する人が増えてほしくないし教えとくか。
「ありがと、お姉ちゃん」
移動する時にそう言われた。
「……どういたしまして」
小さい子と話すのはあまり慣れてない。
まあ前世で小さい子と話す機会なんて殆どなかったし。
「メルアさーん?」
「あっ、はい!」
急いで行かねば……。
早歩きで受付嬢の方へと向かった。
「お姉ちゃん凄いなぁ……俺もあんな風に強くなりたい」
と少年が言ったのは聞こえなかった。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
あぁー、マジ疲れた。
場所とか教えてるだけなのに相当疲れる。
取り敢えず急いで帰ろう。
【重力無効】は速度をあまり変えられないのがここで響く。
浮いてる途中で寝ない事を祈りつつ飛ぶ。
結構日も暮れてきた。
もうこんなに時間が経ってたのか。
いやー、ここに来てからは時が経つのが早いなぁー。
そんな事を思っていると宿の前に着いた。
ふぅー、やーっと寝れるぅー。
ベットに横になり目を瞑る。
どんどんと眠気に支配されて眠る瞬間
『ドーン!!』
と音がした。
「!?!?」
なんだなんだ!?
そしてまた続けて
『ドーン!!』
と鳴る。
おいおい一体全体どうなってるんだ!?
外を見てみると火事がそこら中で起きており、かなりの量の家が崩れている。
……本当に、本当に何があったんだ……?
あぁ世界よ! 頼むから! 頼むから私に休みをくれぇ〜!




