6-2「始まる」
「起きる→仕事→寝る」のエンドレスに疲れ果て執筆する気力を失くしてましたが、なんとか帰って参りました!
(残業時間的な意味合いで)仕事に若干の余裕が出てきたので、ぼちぼち執筆再開できると思います――――出来るといいなぁ…(希望的観測…)
さて、今日の依頼はどれにしようか。
いつも通りの基準で手頃な依頼を複数ピックアップしていく。まぁ基準と言っても、どうせ受けるなら割の良い――つまりはお金になる依頼である事。それと、そこにスキル――主に《アイテムボックス》を活かせる依頼であれば尚良し。と、その程度の割と緩い自己基準ではあるが、それに従って選んだ今日の依頼は、とりあえず三つ。
『雨季が来る前に用水路に溜った土砂を除去して下さい』
『製品の配達を頼む』
『老木の伐採作業に人手が欲しい』
配達に関しては、最早、やり慣れた依頼である。製品を《アイテムボックス》に放り込んで目的地まで移動し、指定に沿って取り出すだけの簡単お仕事。この手の依頼をやらない手はない。
結構前から見かける土砂の除去も、おそらく《アイテムボックス》を利用すれば比較的簡単に済むだろうと、睨んでいる。
伐採作業は、若干、心配な部分が無いでもないけど少なくとも伐採後の樹木の撤去作業で力になれる、はずだ。
後は、時間があるようなら『工房の雑用』だとか『岩の除去』辺りを受けるのも良いだろう。
『庭の花壇』に関しては、後で《クラの家》に戻ってからクラリスさんに直接聞くとしよう。
そんなわけで、とりあえずは三つの依頼を受理して貰いに受付へと向かう。
割かし馴染んだいつもの猫耳を探してみたけど当のメリッサさんは残念ながら(?)今日は休日でギルド不在らしく、出端でホントのちょっと意気消沈したものの依頼自体は無事、受理して貰ってギルドを出た。
◆
「あぁ! 居た、居た」
時刻は正午を少し回ったくらい。本日最初のお仕事である所の『用水路に溜った土砂の除去』が間も無く終わろうかという頃合いで掛けられた声に、俺は作業する手を止めて声がした方を振り向いた。
声で大体分かってはいたけれど、そこに居たのはメイさんである。彼女と会うのも、意外と久しぶりな気がする。同じ街で同じ冒険者をしていると言っても、会わない時は全く会う機会がないのが冒険者という職業なのだ。冒険者というだけあって大半の同業者は街の外でバラバラに依頼をこなしており、彼女も当然ながら普段は街の中よりは外に出ている事のが多い。対して俺は、基本、雑用をメインとした街中主体の引きこもりである。中と外で依頼がかち合わない以上、遭遇率が低いのは致し方ない――――と、それはそれとして。
「どうしたんです? 俺に何か用でも?」
「そうそう! タケの事、探してたんだよ。ギルドで行先聞いたら、ここに居るかもって聞いてさ! ってか、よくこの依頼受ける気になったね。ギルドじゃ候補筆頭だった連中が歓喜してたよ?」
「まぁ《アイテムボックス》使えば比較的楽かなぁと――――そもそも、なんでこの依頼を受けると歓喜する人達が?」
「あ~ぁ、まぁ、その……この依頼って都市機能の維持って事で雨期前に毎年出されるんだけど、労力の割に賃金が少ないって事で不人気依頼の筆頭なんだよねぇ――――ぶっちゃけ、生活排水も流れてるからクサいし? そんなわけで、誰かが必ずやる必要がある、だけど誰もやりたくないって状態になってて、結局、ギルドから何かしらの注意勧告を受けた人達がギルドからの使命依頼って形式で半ば強制的に受けさせられるのが通例なのよねぇ」
「そ、そんなに人気無いんですか、この依頼……」
「なにせ、『強制収容所』なんで呼び方してる連中も居るくらいだし。依頼が終わって帰ってきたら、まず『お勤めご苦労さん』ってからかうのが恒例行事、みたいな?」
「…………」
そこまで人気が無い依頼だとは……。そりゃ、それを受けさせられる可能性があった人達からすれば歓喜もするだろうよ!? それこそ、刑期が確定して服役する寸前、唐突に無罪放免になった如く。今か今かとギルドからの強制依頼を待っていたら、その依頼を第三者が自発的に受けてくれたと知った時の、その人達の喜びようが何となく想像出来た。もう「よっしゃ!!!」とガッツポーズ決めるくらいの心境だったろうさ!
確かにね。流れてる水自体が腐ってるわけじゃないんだけど、ちょっと匂うんだよ。配水管から逆流してくる仄かな下水の臭いっつうの? そんな匂いが多少あるんだ、うん。我慢できなくはないけど、あまり長期間居たくもない感じの臭さっていったら少しはお分かり頂けるかね?
それを踏まえての積もり積もった土砂の除去は、さぞかし苦行でしょうよ! 正直、《アイテムボックス》のスキルが無かったら絶対やらないし、スキルが上手く活かせないようなら即行で辞退しようと思って作業をしてましたよ。結果、溜った土砂に対してスキルを使ってみたら《アイテムボックス》に収容出来たので今まで臭いを我慢してやってました――――むしろ、もうすぐ終わりそうです!
「スキルが無ければ、絶対やってないです。むしろ、少し後悔しながらやってました」
「ハハハ。でもまぁ、ホントに便利なスキルだよね、《アイテムボックス》って」
「もうすぐ終わるので、少しだけ待ってて貰っていいですか?」
メイさんから「ぜんぜん良いよ」との返事を貰って、俺は再び残りの土砂を《アイテムボックス》に放り込む単調作業を再開した。
◆
土砂の除去が粗方済んだのは、それから10分ないし20分程度経った頃であった。
作業を終えて、担当者から依頼完了を確認して貰い、近場の井戸で汚れた手足などをさっと洗って、今現在、メイさんと西南区へと移動中である。
なんでも以前オーダーメイドしたクレイジータイガーの皮鎧が仕上がったとナミュールさんから連絡があったらしく、本日、それを一緒に受けとりに行こうというお誘いだったのだ。当然、その場でOKしたのは言うまでもない。
そんなわけで道中、取り留めもない事を話しながら美少女とのデート(気分)を密かに満喫していた俺だったのたが――――
「? なんだ、アレ?」
俺の視界に映ったのは、空を覆い尽くすような――いや、むしろ塗り潰すようにして広がっていく水に浮かんだ油膜のような天空の歪みであった。
そして。
「失礼! 長谷さん、すぐに移動します!!」
瞬間移動でもしてきたように唐突に、しかし、その声色は若干の怒気(?)も混じっているようでありながら、今までになく焦りの要素が混じっている。そんな、彼女にしては珍しく一切余裕のない雰囲気に「どうした?」と思う間もなく、俺は彼女に――アズエルに腕を掴まれ、そのまま強引に近場の路地へと引きずり込まれてしまった。
結果として数ヶ月放置状態でしたが作者は何とか生きてますので、何卒、忘れないで下さいね(結構切実に言ってみる)
そんなわけで、久々の更新でした
多分、これからは更新頻度をもう少し上げていけるはずなので、以前と変わらぬ応援を頂けたら幸いですm(_ _)m




