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5-1「狩りに行きませんか?」

一応、ここから新章という扱いになります

 農耕都市モスティスへ来て、およそ一ヶ月。

 宿代含め生活費を稼ぐ為、主に雑務を中心に比較的割のいい依頼を片っ端から受けている内に月日はあっという間に流れていた。光陰矢のごとし、とはよく言ったものである。

 おかげで様で知り合いと呼べる間柄の人達も大分増え、コミュニケーション能力を発揮する場は着実に増えていた。

 そんな中、なにやらいつの間にか『野ネズミ』のあだ名も定着して行き、もう最近では自分から「どうも~野ネズミです」と開き直っている今日この頃である。そういった開き直りのせいもあるけど、最近では、雑務系の依頼を通じて冒険者以外の一般の方々からも「野ネズミさん」等と呼ばれる始末だ。

 臆病者といった意味合いのスラングである「ネズミ」があだ名として定着するのは、この世界の住人にとっては非常に不名誉な事なんだと思うが、俺個人としてはあまり気にならない。一部冒険者からは蔑視され罵倒的に「野ネズミ」と言われているのは理解しているし、からかい半分に囃したてる連中も中にはいる。けど、如何せん育った文化も環境も根本的に違うからか、それとも単に業界に入って間もないからなのか、「ネズミ」がスラングでバカにされていると分かっていても、精々が「へぇー」と言う様な感情しか湧かないんだからしょうがない。

 まぁそれは、ともかくとして。


 そんな俺は現在、モスティスの郊外にある雑木林にやって来ていた。

 そして、その隣にはアズエルの姿があった。

 曰く「保護者」であるはずの彼女だが、実際の所、俺とアズエルが一緒に行動することは珍しい。俺は俺で前述通り依頼をこなして日銭を稼いでいるし、アズエルはと言うと――――ギルド併設の酒場で男性冒険者に混ざって酒盛りしているのをよく見かける。それでいいのか、自称・保護者!?

 とまぁ、そんな彼女の方から、俺に声を掛けて来たのが今朝。


「ハセさん。狩りに行きませんか?」


 いつものように雑務系の依頼を物色していると、そう声を掛けられた。

 そりゃ「何故?」と思った俺は、その辺も聞いてみた。

 その答えは。


「《運命天秤(ラックバランサー)》の安全な使い方を知りましょう」


 と、いうモノ。

 《運命天秤(ラックバランサー)》とは、俺が女神様に貰ったスキルで、断トツでピーキーな代物だ。よく言えば切り札だが、使い方を誤れば相手は勿論、自分にも死の危険が降りかかる。

 そして、その詳しい条件を、俺はまだよく分かっていない。

 俺は、一二もなく了承した。


   ◆


 モスティスの関門を抜け、東方向に約1時間半も歩いてよくやく到着する、雑木林

 ここに来た目的は、常時依頼の一つでもある『ホーンラビットの討伐』である。

 ホーンラビットとは、その名の通り角が生えた肉食の兎だ。その性質は兎というより肉食獣そのもので、その名が主張する角を活かした体当たりで外敵を串刺しにするという何気に恐ろしい猛獣である。ちなみに、体内に魔力を有していないので魔物ではなく、あくまで獣との事。

 ギルドが発行している常時依頼だけあって依頼のランクは、D。ホーンラビットの討伐自体、多少戦闘の心得があれば可能な難易度だ。つまりは、あくまで初心者向けの依頼と言う事である。

 言い換えれば、それはスキルを試す相手としては最適と言う事でもある。


「では、ハセさん。まずは実践する前に、《運命天秤(ラックバランサー)》について知りましょう」

可能な限り毎日更新するように努力してますが、今後も時折、更新が滞るかも知れません

その際は、ご理解とご了承をお願いします


少しでも楽しんで頂ければ幸いです

尚、感想を頂けると作者はテンションが上がります

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