4-3「初仕事を受ける」
明くる日、俺は冒険者ギルドへとやってきた。
ギルドへの登録自体は昨日済ませたが、ギルドのルールにより一週間以内に一件は仕事を受けなければ折角の登録が失効してしまう。俺としては、そうゆうリスクというかノルマはさっさと終わしてしまいたいので、次の日、早速依頼を受けに来たのだ。
さて、相変わらず厳つい佇まいのギルドだが、建物の入り口をくぐると、思いの外、冒険者の数が少ない。酔っ払いと化した冒険者達がたむろし騒然としていた昨日の様子とは打って変わり、比較的閑散としているのが印象的だった。
結構早めに出たつもりだったが、冒険者的には完全に出遅れであったらしい。
ボードに張り出されている依頼書は既にその数を明らかに減らしており、おそらく割に合わないような不人気の依頼以外、残されてはいないと思われる。
まぁ、俺にはあまり関係ないかも知れないけどね。
と言うのも、ランクが言わば仮免状態のEである俺が受けられる依頼はDランク指定の依頼に限られる上に、Dランクの依頼となると最悪でも常時依頼という形でいつでも受け付けているギルド発注の仕事が必ずあるのだ。内容はゴブリン討伐だとか近郊の薬草採取といった非常に簡単だが、その反面、常に必要とされるものが主で、金銭的な稼ぎにはならないが経験という意味では稼ぎになる初心者向けの依頼でもある。
尤も、俺が受けようと思っているのはそんな常時依頼ではなく、雑用依頼の方なんだけど。
依頼が張り出されるボードは、その難度や内容によって区分けされていて、D~Aまでランク別に分かれて張り出される。まぁこれは、全てひっくるめてごちゃごちゃに張り出したら自分に合った難度の依頼を探すだけでも無駄な手間が掛かるから、それを避ける為の処置なんだと思う。
また、その中でも更に分かり易く、同じランクの依頼でも討伐依頼、護衛依頼、素材採取など依頼内容ごとにある程度区分けも成されているのが見て取れた。特に決まりとして線引きがされているわけでもないみたいだけど、自分が受けたい依頼を直ぐに探せるよように整然と張られている様子は、かなり気配りが行き届いていてギルド側の心遣いが伝わってくるようだ。
さてと、そんな依頼ボードの中で俺のお目当ての依頼だが。
「あれ? 誰か受けちゃったのかな?」
登録待ちしている時に目を付けていた子供に算術を教えてほしいという依頼が見当たらない。雑用系の依頼としては一番金額が良かったと記憶している依頼で、詳しく話を聞いてみたかったのだが残念だ。まぁ同じように考える人はいるものだし、そうゆうのは早い者勝ちなので仕方がない。
と、なると、どうした物か。
『収穫を手伝って下さい』『一日、店番をお願いします』『雨季が来る前に用水路に溜った土砂を除去して下さい』『倉庫の在庫整理を手伝ってくれ!』『子守りを頼む』『誰か護身術を教えてくれないか?』『家の片づけを頼みます』『製品の運搬をしろ』『倉庫の引っ越しをやってくれ』――――etc.
種類自体は、いろいろある。まさにより取り見取りである。
比較的力仕事が多いようで、そこは若干心配な所だ。
他にも一応、店番だの子守りだのもあるけど、店番はともかく子守りはなぁ。なにせ経験がない。
そうゆう意味で、護身術なんかも無理! むしろ、俺が聞いておきたいくらいだし。
そうなると、おのずと受ける依頼は力仕事になるけど――――いや、待てよ。
この運搬とか、倉庫の引っ越し、在庫整理辺りは、《アイテムボックス》のスキルを使えば楽に終わるんじゃないか? ――――うん! いける気がする。
そうと決まれば、俺はその三種のなかで一番金額がいい『倉庫の引っ越しをやってくれ』という依頼を引き受ける事にした。
「この依頼を受けたいんですけど」
ギルドの受付カウンターにボードから剥がしてきた依頼書を提出する。
「はい。雑務依頼の受注ですね。了承致しました。
詳しい説明の方は依頼者のケヴィンさんからの指示に従って下さい。依頼が完了したら、ケヴィンさんに受領印を貰ってくるのを忘れずにお願いします。それがないと、完了と見なされず依頼不達成となりますのでお気をつけて」




