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3-12「ギルドのシステム」

「では、当ギルドのシステムについてご説明しますね

 当ギルドでは冒険者の方々にランクを設けています。ランクはEからSまでの6段階で、ハセさんの場合はEランクからのスタートになります。ちなみに、Eランクはいわば仮加入とでも言いますか、登録してから一週間以内に依頼を一つ受けて頂かなければ成りません。もし怠った場合は即、失効となり、以降、ギルドへの再加入は一切認められませんので注意してください」


 多分、身分証代わりに登録して、その後、一切仕事を請け負わない輩への対策なんだろうな。

 ギルドも慈善事業ではないだろうし、労働力と期待して身分を証明しているのに仕事をこなさない奴の面倒を見る気はないってのは割とよくある話だし、納得できる。

 ただ、一応。


「事故とか病気の場合もですか?」

「その場合、一応事情をお聞きして審議する事になってますが、一瞬の判断ミスが死を招くのが『冒険者』ですのでその辺は『自己責任』として却下され、大抵は失効扱いになるみたいですよ」

「なるほど」


 尤もな話だった。

 依頼で魔物退治やダンジョンとやらに出掛ける機会が多い冒険者は常に死と隣り合わせの職業だし、依頼内容によっては少しの判断ミスが致命的な失敗に繋がるケースも多々あるに違いない。そうゆう職種であるが故に、初っ端から「事故に遭ったので(病気に罹ったので)依頼を受けられません」が通じる道理もない、と。『事故に限らず危険は事前に回避し、病に至ってはそれこそ自己管理をしっかりやっておけ』というのがギルド側の主張というわけだ。

 まぁ当然だな。

 むしろ、そんな最低限の事を出端から出来ないような奴は、労働力として端から期待できないだろうし。


「Eランクの方は、その一件目の依頼を達成された時点でDランクへ昇格となります。なので、こちらが実質の最低ランクですね。それ以後の昇級に関しては各々に必要な条件が決まってまして、それを満たした上で相当と判断されれば晴れて昇級となります」

「条件と言うのは、具体的には?」

「単純にこなした仕事の数ですとか、周囲の評判が関わる事もあります。例え仕事を多くこなしていても、素行に問題ありと判断されれば昇級は難しい場合もあるので。そういった諸々を含めたギルドへの貢献度をこちらで試算しまして、判断します。その結果、条件を満たしていると認められた方には個別に昇級の打診がギルドより出されますので、昇級の意志がある方はその後に行われる実戦形式の昇級試験を受けて頂き、合格すれば昇級です」


 結構、ありがちなシステムだな、と俺は思った。

 とりあえず仕事をこなしていれば、いずれはギルドから「昇級しますか?」とお声が掛かり、定番のランクアップ試験を突破すれば昇級できると、そうゆう訳だ。

 その過程で、素行に問題がある奴は弾かれる、と。

 恐らく、あのエドガーもその類なんじゃないかな。周りにいた冒険者の話では実力的にはBランクに近いらしいが、登録が終わってすらいない俺に恫喝してくるくらいだからお世辞にも素行がいいとは言えまい。Bランクになれていないのは、その辺に理由があるのだろう。――――まっ、知った事ではないが。


「続いて、依頼に関しての諸注意を。

 冒険者にランクがあるように、依頼にもDからSまでの5段階でランク分けされてます。これは依頼内容の危険度に応じた難易度を示していて、最も簡単な依頼がDランク、そこから命の危険に応じてランクが上がり、Bランク以上の依頼ともなりますと常に死と隣り合わせで、危険度が大きく跳ね上がります。

 なので、依頼を受注する際には、受ける冒険者のランクと同じか、もしくは一つ上までの依頼しか受ける事が出来ません。ハセさんの場合、現在がEランクですので受ける事ができる依頼はDランクのみで、Dランクとなってからも、受けられるのはDランクもしくはCランクの依頼までとなります。また、一つ上のランクを受ける場合も、ギルド側で達成が困難であると判断された時には受注を認めない場合もありますので、ご理解下さい」


 そりゃそうですよね。内心で呟く。

 依頼のランクが高ければ高い程、つまり危険度が高いと判断されればそれだけ依頼料も高額なものになる。欲に目が眩んで、一攫千金狙いで無謀に受注した果てに、玉砕=死亡するアホとかこの手のラノベではテンプレである。

 実際、そうゆう無謀な連中が居るからこそ、それを牽制する為のルールが制定されているのだろう。


「ちなみに、採取や雑用系の依頼のランクはどの程度なんですか?」

「採取は場所によって異なるのでピンきりですね。常時依頼が出されているような近場の薬草採取ならDランクですが、ダンジョンの最深部からの採取となればAランクというケースも実際にありますし。一概には言えません。雑用依頼に関しては大抵、Dランクですよ。稀にCランク認定される依頼もありますが、滅多にありません」


 それなら、その辺の依頼を受けて生活するつもりの俺にとっては何の問題もない。

 ぶっちゃけ、Dランクにさえなれれば、それで事足りる。それさえ分かれば、十分である。


「最後に、ギルド内での暴力沙汰は罰則対象となるのでご注意を――――って、言うのが遅すぎましたね」


 言ってる途中で、俺がもう既に暴力沙汰に巻き込まれている事を思い出したらしく、受付嬢さんは苦笑いしながら最後の注意事項を述べる。

 既に手遅れです。はい。


「えぇと、では長々と説明しましたが、ギルドのシステムに関しては以上です。

 依頼料等に関しては、依頼達成後に改めて説明させて頂く形となりますので、とりあえず一週間以内に何か依頼を受けて下さい。注意事項があれば、その都度、私達が誰かしら説明すると思うので、気軽に選んでもらえばいいと思いますよ」

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