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3-6「モスティスへようこそ」

今夜はもう1話頑張ってみる!

 兵士に連れられて、俺は詰所と思われる小屋へと入る。

 ちなみに、メイさんも一緒だ。曰く、「貴方の事も報告する必要があるから、一緒にギルドまで来て欲しい」との事。

 元々メイさんはあの森――ナシワーツ樹海に棲息する魔物の調査をギルドから請け負っており、本来森の深部に棲息するクレイジータイガーが森の外れにまで進出していた事実に加え、俺という侵入者を保護した事も含めて全て報告する義務があるらしい。

 そうなれば、不法に樹海に侵入した張本人にしてクレイジータイガーにも遭遇した俺が一緒に居た方が、報告するに当たって何かと都合が良いのだろう。


 そんなわけで兵士に案内された詰所である。

 前世のプレハブのような木造の掘っ立て小屋で、小屋の中には簡素なイスとテーブルくらいしか物がない。


「そこの椅子に座ってくれ」


 兵士の指示に従って、イスに座る。

 当の兵士はと言うと、テーブルを挟んで俺の対面の椅子に腰を掛ける。


「さて、それじゃ面接を始めようか?」

「面接? 何の?」

「なぁに、面接といっても、お前さんは俺のする質問に正直に答えてくれれば良い。2、3質問をして、問題が無ければそれで終了だ。――――と、その前に」


 思い出したように兵士は、テーブルの上にそれを置いた。


「そのバンドを俺に見えるように手首に巻いてくれ」


 兵士に渡されたのは、まるでサイリウムのようなリストバンドだった。

 俺は言われるがまま、それを右手首に嵌めて「コレでいいか?」と確認して、了承を得る。


「さて、では今から俺の質問に貴様は嘘偽りなく答えよ。もし嘘を語れば貴様の手に填めたリングは赤く染まり、真実であるなら黄色に輝く。では、始める!

 貴様がモスティスを訪れた目的は、何だ?」

「え~、特に目的地がなかったのと、彼女――メイさんの薦めもあって、とりあえずって感じですかね」

「では次。貴様は人を殺めたことはあるか?」

「ないです」

「他人の財産を奪った事は?」

「強盗って事? ないない」

「その他、法を犯した経歴はあるか?」

「この国の法律が分からないからなぁ。なんとも。――あぁでも、元の国で警察のお世話になった事はないですよ」

「……警察? が何なのかはよく分からんが、まぁいい。

 では最後に、貴様に後ろめたい事がないのなら、次に俺が言う言葉を復唱せよ。

 『私は、ここモスティスの街で法を犯さないと誓います』。では、繰り返せ」

「『私は、ここモスティスの街で法を犯さないと誓います』」

「ふむ。バンドは全て黄色、と。良し! 面接は、以上で終わりだ。バンドは返却してくれ」


 質問に答える度にサイリウムのようなバンドが黄色く輝いていたし、面接は無事、終了したようだ。

 俺はリストバンドを外すと、兵士に手渡す。


「では仮の身分証を渡すので、発行手数料として銀貨3枚を納めてくれ」


 銀貨3枚か。確か《アイテムボックス》にお金も入ってたはず。

 というわけで、《ステータスボード》の中から《アイテムボックス/収容物一覧》を表示させ、金が問題なく足りる事を確認して、銀貨3枚を取り出す。

 ボードをタップすると虚空に出現した銀貨。原理がまったく分からないが、便利ではある。

 ちなみに、クレイジータイガーとの戦いで用いた成牙や、戦闘中に一撃で破砕されたはずの盾も、《アイテムボックス》内に収納されていた。――――剣はともかく、なんで盾まで?


「コレで良いですか?」

「……ほう、《アイテムボックス》持ちか。何とも羨ましいスキルだな」

「他に取り柄がないもんで」

「《アイテムボックス》があるなら十分だろ。冒険者としても他の連中より採取系の依頼では有利だし、単に荷物持ちとしても重宝される。商人としては、それこそ喉から手が出るくらい欲しいスキルだろうさ。《アイテムボックス》のスキルを持っていると公言するだけで、最低限、職には困らん」

「そうゆうもんですか……?」

「そうゆうもんだ……ってか、今までそうゆう経験ないのか? 《アイテムボックス》持ちなんて、軽く争奪戦になるくらい、引っ張りだこのスキルだろうに。便利な運び屋アイテムボックス、ってな」

「今の所、そういった経験はないですね」


 そんなやりとりをしながら、銀貨3枚をテーブルに置き、俺は木札のような物を手渡される。

 木札には『入場許可証』という文字と、よく分からない幾何学模様の焼印が入れられており、大きさは掌に収まるくらいのサイズ。


「そりゃ勿体ないな。んじゃ、そいつを失くさないようにな。街で他の身分証を作るか、そうでなければ5日以内には街を出るか延長申請を忘れない様に。こいつは、あくまで5日間に限ってお前さんの身分を証明しますよ、っていうだけで、それを越えて街に居座ると不法滞在者扱いで罰金刑、最悪の場合、奴隷落ちもあり得るから気を付けろよ」

「分かりました。気を付けます」

「あぁ後、街で身分証を作ったなら、その身分証を提示すれば銀貨2枚は返却するから忘れずに来いよ。

 さぁて、メイも待ってる事だし、さっさとギルドに行って来い! その気があるなら、ついでに登録済ませれば、身分証も作れて一石二鳥だろ」

「そうなのか? わざわざ、ありがとうございます」

「良いってことよ。じゃあ、農耕都市モスティスへ、ようこそ!」

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