3-4「ここは何処……?」
「へぇ~メイさんって師範代なんだ」
「そうは言っても、門下も居ない落ち目の流派なんだけどね」
メイさんは冗談めかしてそんなことを言っていたが、表情はどこか悲しげだった。
何かしら事情はあるんだろうけど、それに踏み込むのは流石にはばかられる。
「さて! じゃあ話を戻すけど、ここ何処か分かる?」
辺り一面、草の原。
遮るモノがない分、その広大さがよく分かる。
――――が、逆に言うと、目印が一切ない。
そもそも、目印があった所で――
「いや、俺も、それをメイさんに聞きたいんだけど……俺、この辺の人じゃないし」
「う~ん、だと困ったわね。街道からも外れてるっぽいし、現在地がまったく分からないわ」
後ろ髪をポリポリ掻きつつ、周囲を見渡すメイさん。
マジで、どうしたもんかな?
メイさんの土地勘も当てに出来ず、地図も方位磁石もない。樹海程じゃないにせよ、コレはコレでピンチなのでは?
「参ったな。どうにかならない?」
「私のスキルじゃ、現在地が分からないと意味ないのよね」
「――――――あ!」
「何、どうかした?」
「俺のスキルが使えるかも」
メイさんの発言で、今更ながらこんな時にこそ役立つスキルの存在を忘れていた。
マジで俺、アホだろ!
こんな時にこそ『マッピング』じゃないか!
「なにか、いいスキルあるの?」
「ちょっと待って。使い慣れてないから上手く発動できるか――――『マッピング』!」
初めて使った『マッピング』スキルだったけど、無事に発現した。
『マッピング』の発動を念じてみると、ステータスボードの時のように半透明のボードが出現する。
「へぇ『マッピング』のスキル持ちだったの? 珍しいわねぇ」
感心したように、メイさんが言う。
珍しいスキルなのか、コレ。
まぁ、今は『マッピング』の使い方を知る方が先決か。
『マッピング』は、簡単に言えば周辺の地図を表示するスキルだ。
カーナビをイメージして貰えば、分かり易いかもしれない。
スキル発動時に出現したボードには、この周辺と思われる地形が映し出されている。
――――いや~ここまで鮮明だとカーナビというより、グー〇ル〇ースかな?
なにせ、ボード上の地図は、まるで航空写真を見せられているかのようなリアリティだ。
ともあれボード状には辺り一面の草原が映し出され、その中央には青と赤の点が並んで存在し、更にその左上の隅っこには上方向のみ矢印みたいになっている十字と、その下に5ケタの数字が二行ほど表示されている。
おそらく、この青と赤の点は、それぞれ俺とメイさんだろう。俺が青で表示されその他が赤となるのか、それとも単純に男女で色分けされているのかは不明だが。
そして、十字の方は東西南北を示し、数字は経度と緯度を現しているのかも知れない。
まっ、東西南北の見方くらいならおぼろげに分かるとしても、経度や緯度に至っては俺にはさっぱりだけどね。
「これを参考にして、現在地とか分からないかな?」
尤も、スキルを使っても、それによる状況把握は人任せなんだけどな!
はっきり言って、俺じゃいくら眺めても行先不明である。
ここは、メイさんに丸投げ――もといお任せする。情けないとか言うなよ!
そんなわけで「お願いします!」と、出現したボードを彼女に見せる。
「う~ん……コレじゃ~草原ばかりで何も分からないわ。もっと尺度を弄れない?」
ご尤も。
と、いうわけで地図の尺度を、もっと広範囲を写せるように変更しよう。
――――どうすれば、良いんだろう?
とりあえず、ステータスボードの操作方法に倣って指で操作を試みる。スマホを弄るようにボード状で二本の指を滑らせる。――――上手く行ったようだ。表示されていた地図の尺度が変わり、さらに広範囲を写しだせるように変化する。
「ちょっと待って。これなら分かりそう」
そう言ってメイさんはしばらく地図を見詰め、やがて――
「OK! なんとかなりそう。その地図を見る限り、多分、向こうに移動すれば街道に着く筈」
そう言って、彼女は方角を指指す。
「街道に出たら、東へ向かえばのモスティスの街に着くわ」




