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その転生者はスキルも魔法も【視て盗む】〜異世界転生ものが大好きな男の異世界転生〜  作者: 空茶日
第7章 雪が呼ぶ、いつかお前が還る場所

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第95話 庭園にて

ルイン合流。


ハインツ「6人に勝てるわけないだろ!」

皇帝「馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前!」


 俺が長い階段を駆け上がり、4階に辿り着いたと同時に爆発音が響き渡った。


「あっちか」



 音の発信源と思われる場所へ向かうと、そこは庭園とでもいうべき吹き抜けの空間だった。今や見る影もないほどボロボロになってしまっているが……。どっちが誘導したのかは分からないが、戦闘するには充分な広さだろう。


 破壊の痕跡からは激戦の程が窺える。でも良かった。こちらに重傷者はいないようだ。

 向こうは……あちこちに近衛と見られる騎士や、兵士が倒れているね。思ったより数が多い。派手にドッカンドッカンしたようだ。


 後衛のガルフ、テレーゼに目配せしながら横を通り、アルとフリード、ハインツ皇子に並ぶ。っていうか、この場にいる帝国組は全員武器が大剣だ。そういう流派が主流なのかもしれない。



「お待たせ」

「おう、お疲れさん」

「こっちに傭兵はいなかった。君が?」


 フリードが前を向いたまま聞いてくる。


「うん。傭兵が加勢に来ることは無いよ」

「……そうか。助かる」


 ハインツ皇子も前、というか皇帝を見つめたまま短く礼を言ってきた。

 やりとりは簡潔に。俺は最も気になっていることを聞いた。


「さっき聞こえた爆発音はフリードだろ?」

「ああ。思ったより護衛や警備が多くてな。時間を取られてしまった」

「なるほど。でも、あらかた片付いたね」


 見た感じ、もう残っているのは皇帝と例の3強の1人、ミューラー中将だけだ。


 状況把握が終わると同時、この庭園によく通る低い声が響いた。



「新手か……」



 ベルンハルト皇帝の重たい呟き。そちらを見る。ついでに2人を【鑑定】……ダメか。まぁ知ってた。

 立場が立場だけに、しっかり鑑定対策しているな。今回の作戦、【鑑定】くんがずっと涙目じゃねーか。どうしてくれる。


「ふん。我らに小細工は効かぬぞ小僧」


 【鑑定】されたことに気付いた皇帝が、鋭い目で俺を睨みつける。そしてハインツ皇子に視線を戻し、叫ぶ。


「我が覇道……。止められるものなら止めてみせよ!」

「父上……っ」


 隣のハインツ皇子からは悲しげな声。覚悟を決めたとは言え、最後まで希望は捨てたくなかったのだろう。


 ……でも、もう無理だ。


「ハインツ殿下」

「分かっている。どちらかが倒れるまで、この流れが止まることはない……っ!」


 そうだ。ここまで来てしまった以上、どちらかの"死"を以ってでしか終幕は許されない。今更「和解しましょう」は通らないのだ。


 あちらもそれは充分理解しているに違いない。元からそんな気もないだろうが……。



「皇帝陛下……」

「ミューラー、情けは無用だ。我に逆らう愚か者どもを、一人たりとて生かして帰すな!」

「はっ!」


 場の雰囲気がひりつく。いよいよ決戦だ。


 ハインツ皇子の一声で、こちらも体勢を整える。


「ゆくぞ、フリードっ!」

「はっ! お前たちも、すまないが手を貸してくれ!」

「分かってるよ」

「おう」


 フリードに声をかけられた俺とアルも返事を返す。


 さぁ、さっさと全部終わらせて王国に帰ろうか。




     ※  ※  ※




 雪だ。


 いつの間にか降り出した雪が、ハラハラとこの庭園へと落ちてくる。吐く息は白く、夜の闇へと溶けていく。



 真っ先に飛び込んだのはフリード。遠慮無用の【炎剣】が皇帝の前に立つミューラー中将へと牙を剥く。


「皇帝陛下に手は出させんぞ、フリードォ!」

「ミューラー! いつから僕を呼び捨てにできるほど偉くなった!」


 おもむろにミューラー中将が得物である大剣を片手で持ち、空いた手を前へと突き出した。すると、彼を覆うようにドーム状の障壁が発生し、爆発を完全にシャットアウトする。


 あれは風の障壁だ。事前に話は聞いている。特等席で"視て"いた俺はほくそ笑む。



 ──早速使ったな。それが欲しかったんだよ。



 新たな魔法習得の感覚に湧き上がる高揚感を必死に抑えて、俺も行動を開始する。


「【インビジブル】」


 爆発のどさくさに紛れて、隠密状態に入る。その直前でハインツ皇子とアルにアイコンタクト。


 その間にフリードは間合いギリギリまで下がる。


「【ペネトレイトアロー】っ!」


 すかさずテレーゼの放った矢が目にも止まらぬ速さで皇帝を狙う。


「ナメるな小娘!」


 ──ザンッ!………カランカラン


 一刀両断。


 まじか……。あの速度の矢を正確に迎撃した。甘く見てた訳じゃないが、皇帝もやはり強い。認識を改める。


 さて、いつまでも様子見してても仕方ない。仕掛けよう。


「【シャドウニードル】」

「むっ!?」


 ミューラー中将の足元に影の針を無数に生やす。真下には障壁張れないだろ?


 ……思った通り、奴はバックステップで針山から距離を取る。そこに待ち構えていたのは剣を構えたアル。


「おらっ!【スラッシュ】!」

「小癪なァ!【ヘビーブレイド】!」


 ──ズガァァァン!


 凄まじい衝突音を響かせて剣と剣がせめぎ合う。その隙に俺はこっそり近寄ってスキルを発動する。


「【炎剣】」


 さぁ、フリードが皇帝を仕留めてしまう前にさっさと終わらせよう。


 炎を纏わせた剣でミューラー中将に斬りかかる。アルと鍔迫り合いしている今、こいつが取る手段は間違いなくコレ。


「ちっ! 【ウィンドシールド】!」


 予想通り。アルが風の障壁に弾き飛ばされたのを視界の隅に捉えつつ、用意していた手札を切る。


「【破砕撃】」


 剣を引っ込めた俺は、逆の手で障壁を思い切り殴りつけた。


「なっ! なぜ貴様がヴィクトルのスキルをっ!」

「砕けろ」


 ──パァァァァン!


 風船が割れるような音と共に風のバリアが弾け飛ぶ。やはり物理系にはそこまで強くない。


「ぐうぅぅっ!!」


 焦りの声を上げ、慌てて何かをしようとするミューラー中将に、我らが後衛組からの追撃が飛ぶ。──悪いけど、もうお前には何もさせてやらない。


「【ウィンドボム】」

「【スタンアロー】っ!」


 どちらも殺傷力は低いがノックバックやスタンを付与する、やられると地味に嫌な魔法とスキルだ。かわしきれなかったミューラー中将が、被弾のたびに壊れた人形のように踊る。



 これで、"チェック"だ。



「【アイアンザッパー】ァッ!」

「【水鏡】」


 俺とアルの剣線が十文字に交わる。



 ──血飛沫が宙を舞った。



「……ば、かな…………こんな……ハズでは……ガハッ!」


 死への恐怖からだろうか。


「…………皇帝、へい……か。……ばんざ……い……」


 見開いた目から涙を流しながら、ゆっくりと倒れ込んだミューラー中将。地面に積もる雪を赤く染め広げながら、やがて彼は息絶えた。


「ルイン」

「うん。分かってる」


 ぼさっとしてる暇はない。まだ終わりじゃないからね。



 残すは1つの国の未来を賭けた、壮大な親子喧嘩だけだ。





───────────────


ルイン


レベル 21


魔法

【点火】【ファイアボール】【ウォーターハンマー】【氷の盾】

【ウィンドカッター】【ウィンドシールド】←NEW【アースクエイク】

【ライトニング】【ダーク】【シャドウボール】【シャドウニードル】

【ヒール】



スキル

・パッシブスキル

【魔力操作】【剣術】【槍術】【盾術】【鎌術】【危機察知】【並列思考】


・アクティブスキル

【視て盗む】【インビジブル】【気配察知】【身体強化】【跳躍】

【突進】【乱刀】【水鏡】【炎剣】【首刈り】【通打】【破砕撃】

【投擲】【ドレインタッチ】【雄叫び】【鑑定】



称号:転生者 格上キラー 女神の使徒


───────────────


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