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その転生者はスキルも魔法も【視て盗む】〜異世界転生ものが大好きな男の異世界転生〜  作者: 空茶日
第7章 雪が呼ぶ、いつかお前が還る場所

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第80話 久々にセレナ様とお茶しよう


 うん、あれだけごちゃごちゃ言っておいてなんだけど、帝国への同行者決めはすぐ終わった。


「今回はよろしく頼む」

「こちらこそ」


 ヒエイが握手を求めてきたので、快く応じる。なんかこの前から思ってたけど、距離の詰め方が上手いな。さてはヒエイ、陽の者だな?



 結局、今回の遠征に参加するメンバーはこうなった。


 "レイブン"

 "フェザーテイル"

 記録官マルクス

 そして俺だ。


「めちゃくちゃ予想通りだね」


 知ってた。


「むしろこれ以外無いだろうが」

「それはそう」


 俺の呟きを耳聡く拾ったギルド長ルーカス。


 俺へのツッコミを済ませると、何やら難しい話をしている伯爵達に向かって手振りで合図を送った。

 ……すげぇ。貴族相手にハンドサインて。そんな蛮行かましておいて、よく殺されないな、この人。


「どうやら話はまとまったようだね。じゃあ細かい部分を詰めようか」

「そうだねぇ。アルくんだっけ? 冒険者組は、どのくらい準備に時間が欲しい? なる早で頼むよん」


 伯爵とマルクスの言葉にアルは少し考えてから返事をする。


「できれば2日、どうしてもと言うなら1日だな」


 その後にヒエイも続く。


「うちもそうだな。物資の買い出し準備なんかに1日。できればもう1日、休養をとってから万全のコンディションで依頼に臨みたい」



 ちなみに報酬はひとまず王国側が出してくれるみたい。その分は革命成功後に帝国に請求するってさ。当たり前っちゃ当たり前だけど、ちゃっかりしてるね。


「……だそうだよ。炎剣の旦那的にはどう? 待てるかぃ?」

「僕としては当然早い方がいいが、こちらはお願いしている立場だからな。いいだろう。準備期間は2日だ」


 フリードも焦りはあるだろうに、こちらの都合を優先してくれるらしい。なるほど、落ち着いた大人の対応だ。味方になると頼もしいね。


 フリードの言葉を聞いたマルクスは、両手を"パンッ"と打ち合わせて話を締めにかかる。


「あいよ。じゃあ、3日後の朝に北門集合ってことでよろしく〜。遅れないようにね。遅れたら王様にチクっちゃうからね」


 最後の最後に、やばいこと言い出したぞ。絶対に遅れるわけには行かなくなった。……いや、元から遅れるつもりはないけどさ。



 その後は、お偉いさん方で細かい打ち合わせをするそうで、俺たちヒラの冒険者は先にお暇することに。


 「お先っす」とばかりに会議室を後にすると、そこにはグレースさんが待ち構えていた。……良かった。この後はどうすればセレナ様に会えるのかちょっと分からなかったんだ。


 彼女に声をかける前に、冒険者達に一言断りを入れておく。


「みんなは先に帰ってもらっていい? ちょっと用事があって……」

「ん? あぁ、セレナ様のとこか。了解。先にみんなに事の次第を説明しとくわ」


 多少は事情を知っているアルが、代表して返事をしてくれる。


「悪いけど、よろしくね」

「おう、任せろ」


 後のことは彼に任せて、グレースさんの元へ歩を進める。


 ……横からリアラさん、ヒエイ、ビアンカの3人には野次馬根性丸出しの視線を向けられてしまったが、完全に無視した。



「話し合いは終わったようだな。お嬢様がお待ちだ」

「すみません、お待たせしてしまいましたね。案内をお願いします」

「うむ。場所はこの前と同じだ。私に着いてきてくれ」


 そう言って歩き出すグレースさんの後に続いて、テクテク歩きだす。




     ※  ※  ※




 特にこれといった会話もなく庭園のガゼボにたどり着くと、前回と同じようにセレナ様がパァッと笑顔で出迎えてくれた。


「ルイン様! お久しぶりです。どうぞお座りになってください」

「お久しぶりです、セレナ様。お招きいただき、ありがとうございます」


 向かい合わせで席に着くと、音も無くメイドさんが現れてお茶の準備をしてくれる。……やっぱり絶対強いな、この人。まぁメイドだから当然か(異世界脳)


 お茶と焼き菓子を丁寧に並べ終えると、彼女は綺麗なお辞儀をして去っていった。


「ルイン様は最近お忙しそうでしたが、お元気でしたか?」

「ええ。忙しかったのは否定しませんが、元気でしたよ」


 忙し"かった"ではなく、忙しい"最中"だけどね。


「まぁ! ではまたお話を聞かせてくださいませんか? ルイン様のお話は『冒険譚!』って感じがして、聞いていて楽しいんです」


 瞳を輝かせながら言うセレナ様に、自然と俺の顔にも笑みが浮かぶ。


「もちろん構いませんよ。では、ダンジョン都市のお話からしましょうか」

「ダンジョンですね! 実はルイン様がファランダールに行ったと聞いてから、ずっと気になっていたんです。ぜひお願いします」

「分かりました。ことの発端はある日、Aランク冒険者のリアラさんに呼び出されたことですね。それで───」


 こうして俺は、ダンジョン都市ファランダールで体験したことから今日に至るまでのことを、ゆっくりと話し始める。



 ところどころ挟まる彼女の質問に答えたり、脱線して全然違う話に飛んでしまったりしたが、とてもゆったりした楽しい時間を過ごすことができた。


(ああ。やっぱりこの時間は癒されるなぁ)


 前のお茶会でも思ったことだが、セレナ様とお茶している時間は最高に癒される。……毎日ここでお茶したい。


 ……

 …………

 ………………


「それで、今度はアルセイン帝国へ行くんですよね?」

「そうですね。先ほどお話しした通りです」


 そろそろお暇しようかという頃に、話の中でチラッと触れた今度の遠征について聞かれた。もちろん、具体的なことは言っていない。


「またしばらく会えなくなっちゃいますね……」


 めちゃくちゃ寂しそうな顔をされてしまう。この表情をされると俺は弱い。クソ雑魚ナメクジになってしまうので、すかさずフォローを入れる。


「なるべく早く戻ってこれるように頑張ります。ヴォルクスに帰ってきたら、すぐに会いに来ますね」

「約束ですよ?」

「はい、必ず」


 そう言うと、少しだけ悪戯っぽい笑顔を浮かべるセレナ様。……なんだろうか。


「じゃあもし約束を破ったら、私のわがままを1つ聞いてもらってもいいですか?」


 なんだ、そんなことか。


「いいですよ。約束です」


 こうして今回のお茶会の最後に、軽い約束をしてから帰宅することになった。


 お見送りしてくれたグレースさんが、「やっちまったなお前」みたいな顔をしていたのが、少しだけ気になる俺だった。


セレナがルインに何をするつもりなのか気になる方は、

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