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その転生者はスキルも魔法も【視て盗む】〜異世界転生ものが大好きな男の異世界転生〜  作者: 空茶日
第7章 雪が呼ぶ、いつかお前が還る場所

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第79話 王都からの使者『記録官マルクス』


マルクスは忍野◯メかテイル◯オブヴェスペリアのレ◯ブンみたいなイメージ


「それがそういう訳にもいかなくてね」


 俺の「全部お前がゴリ押しでなんとかしろよ」発言に、表情ひとつ変えないフリードからノーが突きつけられる。


「え、なんで?」

「ハインツ様が皇帝になられた後のことを考えてみろ。王国に協力してもらうことで新皇帝、ひいては新体制では『両国が友好関係を結んだ』ということをアピールしたい」


 そこまで言われて、ようやく理解できた。


「帝位交代後に王国から受ける支援を、スムーズに行き渡らせるためか」

「ご名答だ。もちろん、それだけじゃないがね」


 これは王国にとってもメリットが大きい。仮想敵国であった2国のうち、1国と同盟を結べるとなれば、最近きな臭い法国に対する牽制としても充分効果が期待できる。


 しかも、帝国は上質な鉱石が豊富に採れることで有名だ。貿易の相手としても悪くない。


 考え込む俺をよそに、ガーランド伯爵が言葉を重ねる。


「この件は私の一存で決める訳にはいかないからね。急いで王都のお歴々にお伺いを立てていたのさ。その結果は彼から話していただこう。……申し訳ありませんが、自己紹介もお願いしてよろしいですか?」

「あいよ」


 そこで王都からの使者であるズボラな青年(偏見)が、初めて声を発した。


「王家直轄の調査室所属、特別記録官のマルクスでーす。ど〜ぞ、よろしくね」


 肩書きは堅苦しいのに口調がめっちゃ軽い。なんてアンバランスな人物なんだろうか。掴みどころがなくて、観察から入る俺にとっては最も苦手なタイプかもしれない。


「んじゃまあ、俺も回りくどいのは嫌いだから、結果だけ伝えるよん。『ルミウム王国は第2皇子ハインツを支援する。裁量は全てダグラム伯爵に任せる』ですってよ」


 名指しで丸ごとブン投げられた伯爵は、目を瞑って渋い顔をしている。


「国として軍を派遣する訳にはいかないからね。それやっちゃうと、ハインツ皇子の『革命』じゃなくて、王国の『侵略』になっちゃうから。匙加減が難しいのよね〜この問題」


 そこで、再び伯爵にバトンタッチ。


「ゆえに、あくまで皇子主体の作戦に、王国側も重要人物を派遣していたという形をとることにした」


 そこで、チラッと俺を見る伯爵。





 ……まじかぁ。


 リーン様。まさかこれか? 突然、俺を『女神の使徒』とか言い出してくれちゃった理由は。


 直前の伯爵の発言を聞くまで、完全に他人事だったんだよ俺は。


 この場には、リアラさん、"フェザーテイル"に"レイブン"までいるんだ。万が一、俺が指名されたとしても、『だが、断る』って言うつもりだったのに。


 それがここに来て、見事にひっくり返された。


 ルミウム王国に総本山があるリーン教。もちろん帝国民も、大多数はリーン教徒だ。その『女神の使徒』を『王国が』派遣する。なるほど、これ以上に効率的なカードはないだろう。



 恐る恐る、俺は伯爵と目を合わせながら、人差し指で自分を指差す。『え、まさか、俺に逝ってこいって言うつもりじゃないですよね?』と。


 すると、


 伯爵は見たことがないような、申し訳なさそうな表情で重々しく頷く。

 しかし、確かにその目は『Exactly (そのとおりでございます』と語っていた。


「というわけでよろしくね〜、『女神の使徒』くん。俺と君は帝国行き決定だからさ。子供の君には悪いとは思うけどね。仲良くしようぜぇ」



 まぁなんだかんだとぐずってしまったが、実はちゃんと理由があるなら何がなんでも行きたくないって程でもない。帝国も一度は見てみたかったし。……こんな状況じゃなければ、もっと良かったが。


 腹を決めるか。逆に考えれば、これさえ片付けちゃえば、当面の問題は聖エルディライト法国だけになるんだし。



「はぁ、分かりました。どうせ逃れられないなら、まだ見ぬ国への冒険だと思って楽しみますよ」

「前向きだねぇ〜。あ、旅の同行者になるんだし、俺にはタメ口でいいよん」


 マルクスがそう言った途端、伯爵が一瞬焦りを見せた。……まぁ立場が上の人間だもんね。


 だが、俺は『女神の使徒』だぜ。妙なことに巻き込んでくれたんだ、これくらいは許してもらおう。


「そう? じゃあ遠慮なく」

「はっはっは〜。素直な子供は嫌いじゃないぜぇ」



 そんな俺とマルクスのやりとりを、黙って見ていたフリードがボソッと呟く。


「ルイン。お前、女神の使徒様だったのか……」


 女神の使徒を相手に、かなり本気の【炎剣】をぶちかました事を思い出したのか、ちょっぴり青い顔をしていた。


 ……あの時はまだ使徒じゃなかったけど、黙ってようっと。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



「俺も行くぞ」


 アルが鼻息を荒くして言い放った。


「こいつ一人で行かせられるか! 俺もついて行くぞ」

「落ち着きな小僧」


 そんなアルを止めたのはリアラさんだ。


「おい、『炎剣』。お前さんはどの程度の状況まで想定している?」

「そうだな。最悪、皇帝についた傭兵や、軍の人間と事を構えることになるかもしれない、と言っておこうか『剛拳』」

「ふん」


 リアラさんは続けて、ギルド長に話を振る。


「だそうだぞ、ルーカス。お前が派遣する戦力を見繕え」

「うーむ。その前にルイン。お前のパーティーメンバーは連れて行かんのか?」


 当然の疑問だね。でも今回は別行動だ。


「セシリアが心配だからね。まだ法国が何かしてくるとは思えないけど、万が一があるかもしれない。他のメンバーには聖女の護衛を頼みたいんだ。それと、俺が戻るまではあまりヴォルクスの戦力を薄くしたくないから、リアラさんにも残ってほしい」


 そう。念には念を。こういう時、大体戻った際に大問題が起こってたりするものだからね。お約束ってやつよ。あらかじめ潰せるテンプレは潰しておこうね。


「あの〜」


 "リーナの福音"のビアンカがそろりと手を挙げた。


「そう言う理由なら、ウチらもリーナ姉さんが心配だし、戦力的にも足手まといになりそうだから不参加でいいかな〜? なんて言ってみたりして」


 気まずそうにそう言う彼女に、リアラさんが優しく諭す。


「自分に出来る事と出来ない事をちゃんと分かってるってのは、優秀な冒険者の証だよ。卑下したり、すまなそうにする必要もない。胸を張るんだね」

「リ、リアラさんっ!」


 良いこと言うね。さすがAランク冒険者だ。俺も今の言葉は胸に刻もう。



「さて、どうしたものか」


 ギルド長のそんな声を皮切りに、帝国への同行者決めが始まった。


次回はセレナに会いに行きます。



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