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その転生者はスキルも魔法も【視て盗む】〜異世界転生ものが大好きな男の異世界転生〜  作者: 空茶日
第6章 東の森のスタンピード

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第75話 打ち上げでどんちゃん騒ぎ

第6章ラストです


「ご無事のスタンピード鎮圧、おめでとうございます!」


 突然やってきた聖女セシリアが、綺麗なお辞儀をする。これはどうもご丁寧に。お辞儀されると、条件反射でお辞儀を返してしまう。……元日本人の逃れられぬカルマである。


「ありがとう。わざわざそれを言いに来てくれたの?」

「はいっ!」

「相変わらず行動力がすごいね」


 マグロみたい子だな。常に動いてないと死んじゃうのかな? と、失礼なことを考えていたら、ソフィに服の袖をちょいちょいと引かれる。


「ねぇ、ルイン君。この子は?」

「あ、ごめんごめん。この子は王都のリーン教会本部から来た──」

「セシリアと申します。聖女やってますっ!」


 なんとも軽い聖女である。


 気持ち的にナイトやってそうなノリで言うなや。つい『ジョブシステムなんてないだろ!』ってツッコミたくなるじゃん。


「せ、せいじょさま……!?」

「はい。気軽にセシリアって呼んでくださいね。あなたのお名前は?」

「わ、私はソフィよ。この宿の娘で──」

「看板娘なんですね! ぜひ私とお友達になってください!」

「え、えと。あのっ! あわわ……」


 コミュ強すぎる。あまりにもグイグイ来るセシリアに、ソフィがあっという間にグルグルお目々にされてしまった。そろそろ助け舟を出した方が良いか。


 しかしその時、救いの女神が颯爽と現れる。


「ストップよ、聖女様。友達になりたいなら、ちゃんと相手のことも考えてあげないとダメでしょうが」


 おっとぉ! 我らがカトレアパイセンが、お姉さん風をビュンビュンに吹き荒らしながらのご登場だい!


「黙りなさい」

「…………」


 喋ってないのに黙らされた。これは多分、「はい」って答えても怒られるやつだから完全に黙る。


「ここには邪魔者ルインがいるから、向こうでゆっくり話しましょうか」

「分かりました! ルインさん、また後でお話しましょうね」

「うぅ……カトレアぁ〜」

「よしよし。ソフィもあっちで少し落ち着きましょう」


 眩しい笑顔のセシリアと、泣きつくソフィを引き連れてカトレアは少し離れた席へと去って行った。



「慌ただしいのう」

「ほんとにね」


 この場に残された俺は、カトレアと一緒にずっと近くにいたガルフと、そんな感想を交わす。


 そこにアルとテレーゼが現れた。


「よお。お疲れさん」

「こんばんわ!」

「2人ともお疲れ様。今日はありがとうね。おかげで俺たちはキメラだけに集中できたよ」


 忘れないうちにお礼を言っておく。


 実際、彼らの奮闘があったからこそ、あんなにあっさりとスタンピードは終息したのだ。まさに功労者である。


 ……ちなみに、位置的に全く確認できていなかった左翼側では、案の定リアラさんが大暴れしていたらしい。実際に戦うところを見てみたかったな。なんか盗めたかもだし。


「いいって事よ。それより、ルインとガルフの組み合わせはあの頃を思い出すな」

「ちっちゃいルイン、可愛かったわ!」

「フォッフォッフォ。ルイン坊には驚かされてばかりじゃったのぅ」


 思い出語りモードに突入してしまった。……でも、確かに懐かしいね。


「こうして世間話するのも久々に感じるよ。森でのフリードの件からこっち、"フェザーテイル"とゆっくり話す時間が無かったもんね」

「違いない」

「そうよ! フリードと言えば、なんでこの街にいるのかしら!?」


 気になるよね。話が長くなりそうだったから俺は逃げたが。


「今はおそらく、ガーランド伯爵と会談中であろう。近いうちに、その件でわし達も呼ばれるじゃろうて」

「また厄介ごとかよ……」


 アルが嫌そうに言うが、俺の近くにいると期間限定イベントには事欠かないんだ。諦めてくれ。


 ……もしイベントから逃げようとしても、絶対に逃がすつもりはないが。アル君、俺たちはズッ友だよ。


「俺たちも、あの時からはだいぶ強くなってるし、何があっても乗り切れると信じよう」

「だな。なんせこっちには女神の使徒様がいるんだ。頼んだぜ」

「ふふっ! お願いね!」

「また雑な無茶振りを……」


 アル達と気安い掛け合いを繰り広げていると、俺たちの頭上から"ヌゥ"っと影が落ちてきた。このデカさ……さては熊さんだな。


「ビルもこっち来たの? 子供達(20歳と13歳)は?」

「あそこだ」


 ビルが指差す方を見ると、そこにはお腹ポンポコリンになったエルルとローグが、床でヘソ天になっていた。


「えぇ……」

「しばらく休ませてやろうと思ってな。オレもこっちに来た」

「お疲れさん」


 そして、ビルも含めて5人でワイワイしていると、ずっとこちらをチラチラ見ながらコソコソ話し合っていたカトレア達が戻ってきた。


「ただいま」

「おかえり」


 ……

 …………

 ………………


「何があったのか聞きなさいよ!」

「イヤだよ! だってソフィはなんか顔赤いし、セシリアは意味深に微笑んでるし! その藪、つつかなくても蛇が"コンニチワ"してるじゃん! 溢れかえってるじゃん!」


 地雷原でタップダンスなんてレベルじゃねーぞ!


「全くあんたは! ……まぁ焦ることでもないし、今日のところは見逃してあげるわ」


 ゆ、許された。


「ふふ、ルインさん。改めて今日はお疲れ様でした」

「る、ルイン君っ、お疲れ様。この街を守ってくれてありがとうっ!」


「──っ」


 セシリアに続くソフィの言葉に、ハッとさせられた。


(あぁ、そっか)


 今の今まで、実はあまり実感が無かった。……当たり前だ。本当に、道中の魔物を除けば、キメラとしか戦わなかったのだから。


 しかも戦場全体を見ても、危機という危機に陥った訳でもない。結果だけ見れば余裕も余裕の完封勝利だった。 


 でも、だ。


 だからこそ、何気ない日常というものを、ほんの少したりとも損なう事なく『守れた』という事実を、俺達は誇るべきなのだろう。


 そんな当たり前のことに、たった今気付かせてくれたこの女の子にこそ、お礼を言わなきゃいけないな。



「こちらこそ大事なことに気付かせてくれて……ありがとう。ソフィ」

「ぽぁ!?」



 そして俺は、先ほどよりも幾分晴れやかな気持ちで、みんなとの会話に花を咲かせに行くのであった。




「なるほど。あの笑顔はずるいですね」

「はぅ……」

「ソフィが放心しちゃってるわ」


ここまで読んでいただきありがとうございます。


フリードが何しにきたかは次章で明らかになります。

そして、第7章はルインが外国に行きます(雑な予告)


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