第63話 終わりはいつも唐突に訪れる
もはや日課と化したボス周回中。
「おっ、上がった! お〜いルイン! オイラもレベル21になったぜ!」
「お〜、そうか! ……ローグも立派になったなぁ」
「なんで急に父親目線なのよ……」
これで全員レベル21になった。綺麗に揃ったのは、やっぱり獲得経験値量の減衰があるからだろう。とにかく最低限21階層の適正レベルに到達することができた。
ここ毎日、とんでもない量のリーパー魔石を持ち込んでいるため、一部からは狂人を見るような目で見られているが、それも今日で終わりである。
これからは、若くして20階層を突破した腕利き冒険者として、尊敬の念を集めることになるだろう。
「それはないわ」
「……」
「恐怖の視線なら集まるかもしれないわよ」
かもしれないというか、ディーンくんの1件以来すでに集まっている。……ギルドのスタッフとは打ち解けたが。
カトレアの無慈悲な一言は聞こえなかったことにして、今の俺のステータスをご覧ください。ドヤァ……。
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ルイン
レベル 21
魔法
【点火】【ファイアボール】【ウォーターハンマー】【氷の盾】
【ウィンドカッター】【ライトニング】【ダーク】【シャドウボール】
【シャドウニードル】【ヒール】
スキル
・パッシブスキル
【魔力操作】【剣術】【槍術】【盾術】【鎌術】【危機察知】【並列思考】
・アクティブスキル
【視て盗む】【気配察知】【身体強化】【跳躍】【突進】【乱刀】【水鏡】【炎剣】
【首刈り】【通打】【投擲】【ドレインタッチ】【雄叫び】【鑑定】
称号:転生者 格上キラー
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ちょっとごちゃごちゃしてたから、少しだけ整頓してみた。こうして見ると、ファランダールに来てから魔法もスキルもかなり増えたなぁ。
……今に始まった話じゃないけど、ステータスにスキルが追加されるのを見る度に、コレクター魂的なものがムクムクしてくる。今後もどんどん増やしていこう。
「キリもいいし、今日はここまでにしようか」
「そうね。もう夕方だし、ちょうどいいわね」
「なら早く行こう。まだ少し早い時間だ。買い取りカウンターも、きっと空いているだろう」
「「おー!」」
全会一致で帰還が決定したので、そそくさと転移装置で脱出する。
ダンジョンから徒歩1分の物件である冒険者ギルドにて、本日乱獲した魔石を売り払っていると、買い取りカウンターの隣にある受付カウンターからニョキッと受付嬢が顔を出した。
「すみません。ギルド長から"アルゴスアイズ"の皆様が来たら、ギルド長室に通すよう言付かっておりまして。この後、お時間よろしいでしょうか?」
……油断していた。
ここ最近、平和に(?)リーパーを虐殺する日々を送っていたので、心に隙ができていたようだ。
「何の用かしらね。……ルイン?」
「断言しよう。俺たちのレベリングは今日、終わりを迎える」
「あっ(察し)」
カトレアも察してしまったようだ。
「あの〜」
おっと、受付嬢さんを待たせてしまった。
「あ、ごめんね。じゃあ案内してくれる?」
「はい! 私についてきてください」
先を歩き出す彼女の後を、全員でついていく。その最中、階段を登りながら俺は覚悟を決めた。
……さぁ、新たなイベントの始まりだ。
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受付嬢に案内されてギルド長室に入ると、執務机で仕事をしていたフィアーナが顔を上げた
「よく来てくれたな。ん? ……ほう、かなり強くなったようだな」
「ひと目見ただけでよく分かるね」
「今まで多くの冒険者を見てきたからな。見れば大体の強さは分かるさ。……たった数日会わなかっただけで、よくそこまで鍛えたものだ」
「リーパー道場の成果だなぁ」
ありがとう、リーパー先生。君のことは忘れない。
「もうBランクのレベルには十分届いていると思うぞ」
「それは嬉しいね」
Bランクの昇格条件は、2人のギルド長の推薦とAランク冒険者との模擬戦だっけな。ルーカスとフィアーナがそのうち推薦してくれそうだね。
「あのぅ、ギルド長」
「あぁ、すまない。立ち話をしてしまったな。とりあえず座ってくれ」
受付嬢に声をかけられたギルド長が着席を促す。ソファに座った俺たちに、お茶を出した受付嬢が退室すると、いよいよ本題が始まる。
「回りくどいのは苦手でな。単刀直入に言うぞ」
「どうぞ」
さて、どっちだろうね。
「ヴォルクスのギルド長ルーカスからの伝言がある。『ヴォルクス東の森にて、近くスタンピードが発生する恐れあり。可能なら帰還し、力を貸してほしい』だそうだ」
「なるほど。そっちか」
「なんだ? 他にも心当たりがあったのか?」
「まぁね」
主に帝国関連ですね。あっちはあっちで、今どうなってるんだろうか。
どちらにせよ、1回戻るのは有りかもしれない。あまり長いこと離れてしまうと手持ちの情報が古くなってしまって、その時その時での適切な判断ができなくなる。それは避けたい。
「俺は戻るのに賛成かな。みんなはどう? なんなら俺だけ戻って、みんながいないとマズそうな状況なら呼びに来るとかでもいいけど」
何が何でも全員で行動しなきゃいけない訳じゃないからね。前にも言ったけど、気が乗らないなら別に不参加でも構わないし。
「メンバー間で攻略階層に差が出たら2度手間じゃない。戻るなら全員で戻った方が良いわよ」
「だな。オレも久々にヴォルクスに帰りたいしな」
「ボクはお母ちゃんに会いたいぞ!」
「オイラも"剛拳のリアラ"に会いてぇぜ!」
結局全員で帰還することに決定した。特に準備することもないから、借りていた家を掃除して休養日を挟んだら出発しよう。
ふと、フィアーナが俺たちを優しい眼差しで見ていることに気づいた。
「……ギルド長?」
「なに、"アルゴスアイズ"は良いパーティーだなと思っただけさ。大事にするんだな」
「……うん。そうだね」
常々思っているよ。カトレア、ビル、エルル、ローグ。……彼ら彼女らと出会わせてくれて本当にありがとう、リーン様。
願わくばスタンピードはもちろんのこと、この先起こるであろうイベント全てに手心を加えていただけると嬉しいです。
(何卒……何卒よろしくお願い申し上げ奉るっ!)
全力でリーン様にお祈りという名の圧をかけつつ、久々に帰還するヴォルクスに思いを馳せるのであった。
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