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その転生者はスキルも魔法も【視て盗む】〜異世界転生ものが大好きな男の異世界転生〜  作者: 空茶日
第5章 ダンジョン都市『ファランダール』

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第58話 VS10階層ボス『レッドオーガ』


『グガァアァァァァッ!!!』


 合図なんかは特に無い。先手を取ったのはレッドオーガの【雄叫び】だった。


 くっ、初っ端から来ると思ってなかったから盗み損ねた。視線だけでみんなの様子を確認する。行動不能者はなし。上出来だ。


「【ウォーターバレット】」

「【ウィンドアロー】!」


 遠距離からカトレアが、中距離からは接近しながらローグが魔法での牽制を行う。


『ッ! グッ……ガァ……ッ!』


 ほとんどは手に持つシャムシールと俊敏な身のこなしによって防がれてしまうが、何発かは直撃。若干の怯みが発生する。


「【パワースタンプ】っ!」


 その隙を逃さずエルルが仕掛ける。これをレッドオーガはローリングで無理やり回避した。


「マジか」


 ……そんな動きもできるのか。魔物相手というよりは、対人戦のつもりでやった方が良さそうだ。


 転がるレッドオーガの進行方向にはローグが詰めている。体勢を整えられる前にスキルを発動。


「【ソニックスラスト】!」


 疾風の如く迫りくるダガーを、レッドオーガはシャムシールでギリギリ逸らす。さらに驚くことに、オーガは剣を持っていない方の手でローグへと拳を放った。


「【カバー】っ!【鉄壁】!」


 そこへビルが割って入る。さらに防御スキルも発動するが、


──ズドンッ!


「グッ!」


 盾で受け止めたはずなのに、ビルが膝から崩れ落ちかけた。……これは間違いなく【通打】だろう。その証拠にスキル習得時のあの感覚がした。


『グギギッ!』


 追撃しようとするレッドオーガだが、ビルの後ろから飛び出した俺がそれを阻止する。【水鏡】だと2人を巻き込んでしまうので、ここは『崩し』に徹することに。


「【突進】、からのー……」


 急接近する俺にレッドオーガは反応が遅れる。そこへ、たった今覚えたばかりのスキルでやり返す。


「【通打】」


──ズドンッ!


『ッ!! ガハッ!』


 素手で殴りかかってきた俺を見て、防ぐまでもないと思ったのだろう。無防備に腹で受け止めたレッドオーガが目をひん剥いて苦悶の声をあげた。


「うわぁ……」


 それを見て、ローグがめっちゃ嫌そうな顔をした。……きっと出会った時の、あの思い出の腹パンが脳裏をよぎったのだろう。


 っと、今はそれどころじゃない。


「ビルっ!」

「おうっ! 【シールドバッシュ】」


 俺の声に呼応したビルが、隙だらけの鬼に大楯を叩きつける。ガードが間に合わずそれをまともに受けたレッドオーガから、ボキボキと鳴っちゃいけない音が聞こえた。


「よしっ、トドメを──。っ!全力で防御しろっ!」


 満身創痍のレッドオーガが怒りの形相でこちらを睥睨すると、淡い光を放つシャムシールを何もない空間に力任せに振り下ろした。


 その瞬間、空中に無数の刃が現れて俺たちに襲い掛かる。


「ここで範囲攻撃かよ! カトレアがまずいかも。【ウォーターハンマー】っ」


 襲いかかってくる刃を黒鋼の剣で斬り払いながら皆の様子を確認。カトレアだけ危なそうだったので【ウォーターハンマー】で彼女に迫る刃をまとめて吹き飛ばす。


 ……やばい、思考が追いつかない。と思っていたら、急に頭がクリアになった。これは多分、自力でスキル覚えたな。


「ルインっ! 助かったわ!」

「それよりみんな防御で手一杯だ! トドメさせるか!?」

「任せてっ! 【ウオーターカッター】」


『グガ──』


──スパッ


 水のレーザーみたいなものがカトレアの手の動きに合わせて横薙ぎにされると、最もあっさりレッドオーガの首が落ちた。もう防御する余力はなかったみたいだね。



「皆お疲れ様。少し休もうか」

「賛成よ」

「【通打】はかなり危険なスキルだな。思った以上にダメージが貫通してきて驚いた」

「親父はフツーに気絶してたぞ!」

「さすが『剛拳のリアラ』だぜ!」


 光の粒子となって消えていくレッドオーガくんを見届けながら、いつもの雑談を始める。案外余裕あるね、君ら。


 少し休憩してからドロップ品を拾いに行くと、そこには奴が持っていたものと同じシャムシールが落ちていた。


「…………一応聞くけど、これいる人〜?」

「「「「……」」」」


 満場一致で売却が決定しました。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




「11階層は1階層と似た感じのザ・ダンジョンだな」

「なぜかしら。ダンジョンと言ったら、この石造りの遺跡みたいなイメージなのよね」

「分かりみが深い」


 まずは11階層の転移装置を解放してから、どうするかの話し合いを始める。そこですかさず俺がお願いを差し込んだ。


「すごい個人的な事情で、誠に申し訳ないのですが」

「なによ急に」

「とりあえず言ってみろ。よほどのことがない限り無下にはせんぞ」

「言ってみろー!」

「どんとこいだぜ」


 みんなの優しさに甘えて、スキルを覚えたいのでもう2周させてはくれまいかとお願いしたところ、快くOKをもらえた。……あったかいんだから。



     ※  ※  ※



 1時間後、再び11階層の転移装置に戻ってきた俺たち。


 その顔は一様にホクホクしていた。なぜかって? みんなレベルが上がったからなんですね。


 ドロップ? ちょっと何言ってるか分かんないですね……。


「もしかして、ボス魔物って経験値効率がいいのでは?」

「そうね。なんでみんなやらないのかしら」


 俺とカトレアの疑問には、我らが斥候さんが答えてくれた。


「やってる奴もいるにはいるが、本当にごく少数だぜ。この都市に集まる奴らのほとんどは、別に強くなりたいわけじゃねーからな。日銭を稼げればそれでいいから、レベルなんて二の次だと思うぞ」

「なるほどねぇ」


 どおりでボスの順番待ちとかが無かった訳だ。


 ちなみに『ボス部屋の出入りは自由』っていうルールがあったと思うが、これを悪用して他パーティーの邪魔をすることはできない。


 ダンジョンがどこで判断しているのか分からないが、悪意を持ってそれをやると強制的にダンジョン外へ飛ばされるらしい。ご都合システムですね。


「あとは、ボスドロップがしょぼいからっていうのもあるぜ」


 すごい説得力である。


 ローグの元パーティーメンバー含め、あの時冒険者ギルドにいた奴らがストイックにレベリングに励むとはとても思えない。

 こんな明らかに量産品っぽいボスドロップの剣も、もちろんいらんだろうし。


「とにかく付き合ってくれてありがとう。今日はここまでにして帰ろうか」

『おー!』


 お礼に今日は腕によりをかけて、美味しいものをたくさん作ってあげよう。


 感謝の気持ちはカタチにしないとね。





=============================

※58話終了時のステータス


───────────────


ルイン


レベル 13


魔法

【点火】【氷の盾】【ウィンドカッター】【ヒール】【ライトニング】【ウォーターハンマー】


スキル

・パッシブスキル

【魔力操作】【剣術】【槍術】【危機察知】【並列思考】


・アクティブスキル

【視て盗む】【突進】【気配察知】【身体強化】【水鏡】【鑑定】【炎剣】

【投擲】【跳躍】【通打】【乱刀】【雄叫び】



称号:転生者 格上キラー


───────────────



───────────────


カトレア


レベル 13


魔法

・水魔法

【ウォーター】【ウォーターバレット】【ウォーターアロー】【ウォーターカッター】【アクアブレード】


・雷魔法

【スタン】【サンダーボール】【サンダーアロー】【ライトニング】


・無属性魔法

【サーチ】【魔弾】【クリーン】


スキル

・パッシブスキル

【魔力操作】【家事】


称号:大魔術師の孫


───────────────



───────────────


ビル


レベル13


魔法

なし


スキル

・パッシブスキル

【盾術】【頑強】


・アクティブスキル

【身体強化】【鉄壁】【アピール】【シールドバッシュ】【カバー】


称号:守護する者


───────────────



───────────────


エルル


レベル16


魔法

なし


スキル

・パッシブスキル

【槌術】【怪力】【鍛治】


・アクティブスキル

【身体強化】【パワースタンプ】【ランドブレイク】


称号:なし


───────────────



───────────────


ローグ


レベル11


魔法

【ウィンド】【ウィンドアロー】


スキル

・パッシブスキル

【短剣術】【罠察知】


・アクティブスキル

【身体強化】【罠解除】【気配察知】【気配遮断】【ソニックスラスト】

【急所突き】

称号:なし


───────────────

実はルインがもっと深く考えていたら、ここでダンジョンマスターと会えるルートもありました

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