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その転生者はスキルも魔法も【視て盗む】〜異世界転生ものが大好きな男の異世界転生〜  作者: 空茶日
第5章 ダンジョン都市『ファランダール』

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第52話 ルイン、修羅に入る


 ダンジョン生活2日目。


「ということでね。朝イチで2階層にやってきたのだ」


 2階層からは洞窟エリアとなる。


 さて、この階層にはどんな魔物が出るのかなんだけど。

 ローグ先輩曰く、洞窟エリアの出現魔物はスライム系、バット(こうもり)系、ラット(ねずみ)系あたりのようだ。


「今日は1日中潜っていられるから、かなり進めそうね」

「おー!」

「ルイン、今日の目標はどの辺りだ?」

「そうだなぁ」


 ビルからの問いに、少し考える。


「今回と次のダンジョンアタックで、10階層の転移装置を開放したい。後半は低階層ほどスムーズにはいかないだろうから、行けるようなら今日は7階層の転移装置まで行きたいかな」

「ふむ、なるほど。了解だ」


 と、そこでローグが手を上げたので指してあげる。


「はい、なんだねローグくん」

「オイラが階段までのルートを把握してるのは6階層までだぜ。7階層は軽く見たことはあるけど、階段まで行ったことはねぇや」

「それでも十分よ。道案内は頼んだわ」

「おうっ!」


 ちょっと申し訳なさそうにするローグだが、カトレアがすぐフォローを入れる。頼もしいね。


「ほいじゃ、今日も油断せずに頑張っていこう」

『おー!』




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




「スライムばっかだな」


 階段までの最短ルートを案内してもらいながら、今通り過ぎた魔物を見て俺は呟いた。


「2階層はスライムしかいねーぞ」


 小さな声だったのに、ローグが耳聡くそれを拾ってくれる。


「そうなの?」

「2階層はスライム。3階層はケイブバットが加わって、4階層はさらに追加でビッグラットが出てくるぜ」

「なるほど。1階層につき1種類追加される訳ね」

「そうそう。洞窟エリアが終わったら、出現する魔物はまた変わるけどな。言わなかったっけ?」


 聞いてないですね。どうせなら楽しみたいので、あまり深掘りしなかったっていうのもあるけど。


 せっかくの初ダンジョンだからね。


 油断はダメだけど、せっかく潜るなら楽しまないともったいないお化けが出ちゃうぜ。危険の少ない序盤くらいは許しておくれ。


 ……でも、ケイブバットか。こいつはなぁ。


「スライムもわざわざ倒すメリットが無いのよね」


 話を聞いたカトレアが会話に参加してきた。


「一応試しに戦ってみたけど、カトレアの魔法1発で終わったしなぁ。時間と魔力を無駄にした感がすごかったね」

「ほんとよ。案の定ドロップもなかったし」

「ダンジョンで食っていくなら、せめて4階層くらいは余裕で探索できないと話にならねーからな。……おっ、階段が見えたぜ」


 話していたら、階段に着いたようだ。ここで止まる理由も無いので、さっさと3階層に降りて転移装置を解放することに。



「さて、よいか? 今から3階層を探索する訳なんじゃが」

「いったい誰のマネよ。お祖父ちゃん?」


 最近、カトレアがちゃんとツッコんでくれるようになってきた気がする。いいぞ。


「ここからはケイブバットが出るんだったか?」

「うん……そうだね」

「? どうしたルイン。何かあるのか?」


 ビルが訝しんでいる。それだけ俺の表情が分かりやすかったのだろう。


「どうしたルイン! お腹痛いのかー!?」

「そうなのかルイン。少し休むか? オイラは構わねーぜ」


 みんなにえらい心配されてもうた。こんな大事にされたら言い出しづらい事この上ないんですが……。


「大方、コウモリが苦手なんでしょ。大した理由じゃないのに、みんなが過剰に心配するから言い出しにくくなってるのよ、この子」


 完全にバレてるじゃん。オカン並みの洞察力である。


「ふむ、そうなのか?」

「……」(コクッ)

「ハッハッハ! お前にも子供らしいところがあって安心したよ。それじゃあケイブバットの相手は俺たちがするか?」


 みんなの温かい視線がこっぱずかしい。でも、心配はフヨウラ!


「問題ないよ。遠距離から【ライトニング】ブッパで処す。むしろこの階は俺がサーチアンドデストロイするから」

「ふっ、了解だ」


 話はまとまったので、再びローグに道案内を任せ出発した。



 これより我ら修羅に入る。




     ※  ※  ※




「しね(直球)! 【ライトニング】」


 ───バチバチィッ!


『キー!』


「よし、クリア。先を急ごう」


「そ、そうね」

「う、うむ」

「おー!」

「……す、すげぇ」


 あまりにも鬼気迫る俺の顔に、全員ドン引きである。


 ……

 …………

 ………………


『キ』

「墜ちろカトンボ! 【ライトニング】ゥッ!」


 ───バチバチバチィッ!


『キー!』

「出てこなければ、やられなかったのに!」


 今の俺には歴戦のニュータ◯プ達が降臨している。どこから敵が出てきても、瞬殺する自信がある。


 この後も、邪魔するものは全て薙ぎ払いながら、3階層を駆け抜けた。




「これで4階層にも、いつでも来られるようになったわね」

「ふーっ! ふーっ!」

「どうどう。ルイン、落ち着きなさい」

「ハッ! ……俺は一体」


 正気を取り戻す俺。どうやらいつの間にか暴走モードに突入していたらしい。


「ふぅ、もう大丈夫だ。ごめんねみんな」

「いえ、それはいいんだけど……」


 みんなを見ると、なぜか一様に微妙な表情を浮かべている。……え、なんです?


「普段のあなたなら絶対に気づいているはずなのに、まだ冷静じゃないのね」

「な……何を言って……」


 カトレアの思わせぶりな発言の後にビルが続く。


「あのなルイン、さっきローグが言っていただろう。『2階層はスライム。3階層はケイブバットが加わって、4階層はさらに追加でビックラットが出てくるぜ』と」

「……」


 ……いやだ、聞きたくない。


「大丈夫だぜルイン! 洞窟エリアは4階層までだから、ここを抜けちまえばもうコウモリは出てこねーぞ!」

「……」


 4階層までケイブバットが出てくるという事はつまり、この階層まではケイブバットが出現するという事です。



 ひどいよ……こんなの……あんまりだよ……!


 俺のソウルジェムが濁っていくのを感じる。


「仕方ないわね。私たちでルインをフォローするわよ。さっさとこの階層を抜けて、この子を正気に戻しましょう」

「賛成だ」

「おー! ルイン、元気出せー!」

「よっしゃ、んじゃ飛ばすから、しっかりオイラについてきな!」


 みんなの献身的な介護により、俺が次に意識を取り戻したのは、5階層の転移装置の前であった。


 ……パーティーの大切さを、再確認したよ。ありがとうね。



何気にこの話だけで3階層も踏破している件。

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