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その転生者はスキルも魔法も【視て盗む】〜異世界転生ものが大好きな男の異世界転生〜  作者: 空茶日
第1章 辺境の村シーズ

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第5話 念願の初魔法、その名は【点火】

先生…!! スキルが見たいです……


「スキルが見たい?」


 アルが怪訝そうな顔でそう言った。



 "フェザーテイル"の3人が、森で偵察とボアの間引きを行った日の夜。


 彼らが持ち帰った肉を使って、村の広場で宴会が繰り広げられている最中の事だった。


 俺は回りくどいことはやめて、直接頼み込むことにしたのだ。そして、それに対して返ってきたのが先の言葉である。


「はい。大きくなったら俺、冒険者になろうと思ってまして。自分の適性を知るための参考になればと」

「なるほどねぇ。……冒険者ってのは、自分の手札は極力晒さない。それは理解してるか?」

「なんとなくは。ですので、冒険者なら誰でも持っているような、晒してもいい基礎的なスキルを見せていただけないかと」

「そういうことか。う〜ん、そうだなぁ」


 考え込む様子のアル。そこへテレーゼがやってきた。


「いいじゃない。ケチケチしないで見せてあげれば」

「そうじゃなくてな。俺みたいな近接系の初歩スキルって、パッと見で分かりにくいものが多いんだよ。【気配察知】とか、はたから見たら立ってるだけだし」

「あー、たしかにねー」


 なんだ、そう言う理由で迷ってたのか。単に教えたくないとかじゃなくて良かった。


「どうすっかな。ん? そうだ。おーい、ガルフ!」


 何かを思いついたらしいアルは、少し離れた場所で村長達と談笑していたガルフを呼んだ。あ、父さんと兄さんもそこにいるな。手振っとこ。


「なんじゃ? どうかしたかの?」


 さっきの一部始終を簡単に説明するアル。


「ふむ、なら【点火】なんかどうじゃ? 危険もないし、ぱっと見で分かりやすかろう」

「おっ、いいんじゃないか? どうだ、ルイン」


 【点火】はマッチやライターくらいの火を、指先から出す初歩の火魔法だ。野営でたき火を起こす時なんかによく使われる。地味に便利な魔法だ。


 もちろん俺は即答する。


「はい! お願いします!」

「ほっほっほ。了解じゃ」


 ガルフは人差し指を立て、上に向ける。


「行くぞい、ほれ。【点火】」


 ボッ!


 おぉっ、指先から火が出た! 熱くないのかな?


「それって熱くないんですか?」

「魔法を使う時に、自分が火傷するイメージを持つ者などおらんじゃろう? そういうことじゃな」

「そう言われればそうですね」


 そりゃ自爆するイメージで魔法を使うアホはいないわな。


 俺は忘れないうちにと、先ほどのガルフの姿を思い浮かべ、人差し指を立てた。


「【点火】」


 ボッ!


 よっしゃ、成功だ!


「「はぁっ!?」」


 アルとガルフの2人の声が見事にハモった。2人とも目を見開いて、口をあんぐりさせている。


「でた!ガルフさん!俺も【点火】使えましたよ!」


 どうやら俺も魔法を使えるようになったらしい。やったぜ。


「う、うむ。そうじゃな。……え、マジで? やばない?」

「動揺で言葉遣いがおかしくなってるぞガルフ。俺も驚いたけどよ」

「わしの知る限り、この年齢で属性魔法を発動させたなんて話は聞いたことがないぞい……」


 【視て盗む】でズルした結果だからなぁ。なんか勘違いさせてすまん。


「すごいわね、ルイン!」


 テレーゼだけはよく分かっていないのか、ニコニコと笑顔で褒めてくれた。





☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




 お忘れかもしれないが、俺はまだ5歳。


 そろそろおねむの時間なので、一足先に帰宅して布団に抱かれる。


「っと、寝る前に『ステータス』」


 ヴォン


───────────────


魔法 :【点火】


スキル:【視て盗む】【魔力操作】【突進】


───────────────


 よしよし。ちゃんと【点火】が生えてるな。


 さて、これまでの結果から推測できたことがある。


 【突進】や【点火】が覚えられて【スラッシュ】が覚えられなかった理由についてだ。


 これについては以前触れた、前世時代に飲食店でバイトしていたというくだりが鍵だろう。


 当時の俺は、料理を覚える際に『なんの材料』で『どんな調理法』で完成させるかを理解した上で、先輩シェフたちから『視て盗んで』いたのだ。


 スキル【視て盗む】という名称から、おそらく同じような制約があると考えられる。


 なので、スキル説明にあった『条件』とは俺自身がある程度、前提となる知識や技術を『理解または体得していなければいけない』といったものだろう。


 あくまで憶測に過ぎないが、そう外れてはいないと思う。


 それを踏まえてみると、


 【突進】は、体の動かし方を知っていれば再現は難しくない。言っちゃえばコレ、ただの体当たりだもん。


 【点火】も現代日本の科学に触れたことがある者なら、火の理解はこの世界の人間よりも遥かに深いだろう。


 【スラッシュ】に関しては、俺が剣の扱い方なんて知らないのだから、前提条件をクリアできていなかったのだろう。つまり訓練をすることによって、剣術関連のスキルも見れば盗めるようになると思われる。



 ……単純に【突進】と【スラッシュ】は同時に見たから、どちらか1つしか覚えられなかったという可能性もあるが、あの時俺は明らかに【スラッシュ】に意識を向けていた。

 なのに【突進】の方だけを覚えたというのは腑に落ちない。よって、この可能性は除外する。検証できる機会があればするが。



 う〜ん……そろそろ眠気が限界だ。


 考察はひと段落したし、今日はここまでだな。


「おやすみなさい」



 3、2、1……スヤァ




次回、早速ルインが点火を使います(ネタバレ)

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― 新着の感想 ―
ガルフの口調、昔はおじいちゃん口調じゃなかったんだろうなw なんか既視感がある気がする……デンケン??()
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