第39話 "アルゴスアイズ"のステータスを確認しよう
ついにステータス公開です。
「さて、明日から『例の抜け道』の捜索に入る訳だが」
夜、思い思いの時間を過ごした俺たちは、宿屋の食堂を借りて作戦会議を始めた。アルの第一声に全員の顔が引き締まる。
「この村から森に入った浅い場所は、ルインの遊び場だったんだよな?」
「遊び場言うな。れっきとした修行じゃい」
失礼な。ここで【剣術】と【槍術】が開花したんだぞ。槍はスキル覚えたあたりで満足しちゃって、全く使ってないが。いつか槍もゴルドフに作ってもらって、使い分けとかしたいな。
俺はさらに続ける。
「少し奥に潜るとゴブリンや、角ウサギなんかがいる。俺が狩場にしてたのはそこまでだね。それ以上進むと、普通に迷いそうだったから、森の中層までは行ってない」
「賢明だな。たとえ冒険者であっても、森を舐めてたら普通に死ぬからな」
「……ですよねー」
出発前に買い込んだ物資の中から、紙と羽ペンを取り出す。えーと、ここがこうで、こんな感じかな?
「俺が把握してるのは……ここまでだね。あとは初見と変わらないよ」
俺が描いた簡易的な地図を、みんなで覗き込む。
しばしの間をおき、先に考えが纏まったのはやはり"フェザーテイル"の面々だった。ガルフが口を開く。
「なら、二手に別れた方が良かろう。ちょうど互いのパーティーに、探知魔法の使い手がおるしのぅ」
「そうね!」
「じゃあ村から森に入った地点を中心に、俺たちは西側を進む。"アルゴスアイズ"は東側を進んでくれ」
それが妥当かな。
「俺に異論はないよ。2人はなにかある?」
「特にないわ」
「同じく」
決まりだ。パーティーごとの行動は、やりやすくていいね。
「もし何も見つからなかったとしても、必ず余裕を持って日が暮れる前に戻れ。いいな?」
アルが念を押してくる。それだけ夜の森は危険ってことだ。
「了解。……あ、聞くの忘れてた。もし探知で帝国の密偵らしき反応を捉えたらどうするの? 跡をつけるのか、捕らえるのか」
少し考えた様子のアルから返ってきた答えは、
「可能なら追跡。無理なら場所だけ記録して放置、だな。こっちが探っていることを、まだ知られたくない」
「じゃあ逆に、向こうが先に俺たちを捕捉して、仕掛けてきた場合は?」
「他の仲間に報告される前にやれ」
「了解」
なかなか神経を使う仕事になりそうだ。
「とりあえずはこんなもんか。何か気になる事があったら、その都度相談しよう。んじゃ、解散」
話し合いが終了し、それぞれ自分の部屋へ戻ろうとするが、俺は自分のパーティーメンバーを呼び止める。
「カトレア、ビル、この後少し時間もらえる?」
2人は顔を見合わせ『なんだろう?』みたいな表情を浮かべるも、快く了承してくれた。
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俺とビルの部屋に場所を移し、重々しく告げる。
「さて、諸君。集まってもらったのは他でもない」
「ふざけるのなら帰るわよ」
「ごめんて」
速攻で怒られてしまったので、普通に切り出すことにした。
「今まではマナー的にも、なんか触れちゃいけないような空気だったから触れずにきたけど、そろそろぶっちゃけようか」
「ぶっちゃけるって何をよ?」
「ステータス」
そう。帝国の人間と一戦交える可能性がある今、情報共有は徹底したい。
「もちろん俺が先に開示するよ。っていうか、この辺のこと全然知らないんだけど、ステータスって他の人に見せられるの?」
ずっと村暮らしだったから、マジで知識がないんだよね。ここの村人達もその辺はまったく知らなかったし。
「……呆れた。あなた仮にもCランクでしょうが。なんで知らないのよ」
「面目ねぇ……」
いや、ほんとに。
「カトレア、その辺でいいだろう。さっさと教えよう。このままじゃ話が進まん」
優しい熊さんが、針の筵の俺を救ってくれた。ありがてぇ。
「……それもそうね。今度時間をとって、あなたの一般常識を1度確認するわよ」
「うぃ」
「やり方は『ステータスオープン』って唱えればいいだけよ」
……。
…………。
………………え?
おいおいおい。
「完全にテンプレじゃねーか!」
なんで今まで試さなかったんだよ、俺! 今世で一番のテンプレかもしれないレベルだぞコレ! ポカってレベルじゃねーぞ!
「この子、なんでショックを受けてるのかしら?」
「さぁ」
しばし待たれよ。すぐに立ち直るから。
……よし!
「話は分かった。じゃあ早速俺から見せるよ。『ステータスオープン』」
ヴォン
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ルイン
レベル12
魔法
【点火】【氷の盾】【ウィンドカッター】【ヒール】【ライトニング】【ウォーターハンマー】
スキル
【視て盗む】【魔力操作】【突進】【剣術】【槍術】【気配察知】【身体強化】【水鏡】【鑑定】
称号:転生者 格上キラー
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「「……」」
無言で見入る2人。なんか顔が険しくない?
先に口を開いたのは、カトレアだった。
「色々言いたいことはあるけど……」
「けど、何?」
「ちゃんとステータスは整頓しなさい!」
「へぁ?」
ステータスの整頓って? なんそれ。
ビルを見ると、彼も「うんうん」と頷いている。
「もういいわ。私のも見せるから、ステータスを出しながらこんな感じにしたいって念じなさい」
「おかのした」
「全く世話が焼けるわね。『ステータスオープン』」
ヴォン
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カトレア
レベル 11
魔法
・水魔法
【ウォーター】【ウォーターバレット】【ウォーターアロー】【ウォーターカッター】【アクアブレード】
・雷魔法
【スタン】【サンダーボール】【サンダーアロー】【ライトニング】
・無属性魔法
【サーチ】【魔弾】【クリーン】
スキル
・パッシブスキル
【魔力操作】【家事】
称号:大魔術師の孫
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「おぉっ、見やすい!」
称号に気になるワードが見えた気がするけど、見なかったことにしよう。
それにしても、ステータスってこんな事ができたのかよ。全然知らなかった。「見にくいなぁ」とは思ってたけど「別にいいや」って構えだったわ。
聞いてみると、自分の見やすいようにスキルの表示順を並べ替えたりもできるし、結構いじれるらしい。……行き届いてるっ!
とりあえず念じてみよう。整頓されろください!
その瞬間、画面にノイズが走り、それが収まるとステータスの整頓は完了していた。
整頓後のステータスがこちらです。
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ルイン
レベル 12
魔法
【点火】【氷の盾】【ウィンドカッター】【ヒール】【ライトニング】【ウォーターハンマー】
スキル
・パッシブスキル
【魔力操作】【剣術】【槍術】
・アクティブスキル
【視て盗む】【突進】【気配察知】【身体強化】【水鏡】【鑑定】
称号:転生者 格上キラー
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めちゃくちゃ見やすくなった。
……だから、ステータスを整頓する必要があったんですね。
ちなみに、魔法に関しては属性別に分けたら、ごちゃごちゃして却って見づらくなったから戻した。
「さて、じゃあ最後はオレだな。『ステータス』」
ヴォン
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ビル
レベル12
魔法
なし
スキル
・パッシブスキル
【盾術】【頑強】
・アクティブスキル
【身体強化】【鉄壁】【挑発】【シールドバッシュ】【カバー】
称号:守護する者
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「おぉ。タンクの中のタンクだな」
ビルが1番シンプルに分かりやすいな。『タンクです』この言葉で全てが片付く。
「というよりも」
カトレアにちらっと見られる。
「ルインのスキルと、称号の『転生者』ぐらいじゃないか? 説明が必要なのは」
ビルも続く。
そうだね。俺もそう思うよ。なので、ここで全部話しちゃおう。【視て盗む】はともかく、転生者がネックだけど……。
……ま、いっか。信じてもらえなかったら、その時はその時に考えよう。
「じゃあ話そうか」
こうして俺は、この世界に転生してから初めて、自分が転生した事を打ち明けたのだった。
※後書き
仲間はずれはかわいそうなので、エルルのステータスもここで公開。
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エルル
レベル15
魔法
なし
スキル
・パッシブスキル
【槌術】【怪力】【鍛治】
・アクティブスキル
【身体強化】【パワースタンプ】【ランドブレイク】
称号:なし
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彼女だけレベルが高いのにはちゃんと理由があります。




