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その転生者はスキルも魔法も【視て盗む】〜異世界転生ものが大好きな男の異世界転生〜  作者: 空茶日
第3章 Cランク昇級試験

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第30話 Cランク昇級試験スタート


はい、よーいスタート(幻聴)



「ここから俺は口を出さん。離れて着いていくが、助力は期待するなよ」


 街を出てすぐに、ギルド長ルーカスはそう言った。


 彼が離れていったのを見届け、俺たちは話し合いを始める。


 なぜか自然と俺に視線が集まったので、この流れに乗っておくことにしよう。


「じゃあ、一応確認しとこうか。ビルは敵を引きつけてのタンクでいいんだよね?」

「おう。挑発スキルも使えるぞ」

「攻撃系はなにかある?」

「【シールドバッシュ】くらいだな」

「なるほど。ありがとう」


 ビルは見たまんまのスキル構成でオッケー、と。さっきから予想はしてたけど、いざ本番で「実は違いまっせ」的な食い違いがあったら嫌だからね。


「次はエルル」

「おー!」

「元気があって大変結構。エルルはそのハンマーでぶっ潰すスタイル以外には何かある?」

「ないぞ! ハンマーで叩くぞ!」

「アッ、ハイ」


 清々しいほど脳筋だわ。ドワーフの血が濃すぎる。


「最後にカトレア。いい?」

「ええ。どうぞ」

「得意な系統の魔法は? この試験で使用するつもりのものだけでいい」


 魔術師は特に隠したい手札も多いだろうしね。


「そうね……いいわ、教える。水と雷が得意よ。というか他の属性魔法は使えないわね」


 思いのほかあっさり教えてくれたな。でも。


「そこまで言っちゃっていいの?」

「いいわよ。だってあなた"フェザーテイル"と懇意なんでしょ?」

「? そうだけど……」


 それが何か関係あるの?


「ガルフは私のお祖父ちゃんなのよ」

「マジで!?」

「だからお祖父ちゃん達が信頼してるなら、別に教えても構わないわ」


 なんか最近、世間が狭すぎん?


 リーン教会のエカテリーナさんはセレナ様と知り合いだったし、エルルはあのゴルドフの娘だし。挙句のはてに、ガルフの孫まで出てきちゃったよ……。


 次はなんだろ? どうせ来るなら、テレーゼの妹とかでオナシャス。


「それで? 固まってないで。どうするの?」

「あ、ゴメン。そうだな……。てか俺が話進めちゃってるけど、いいの? 今更だけど」


 みんなを見渡しながら聞くと、


「いいぞ」

「おー!」

「別にいいわよ。私はやりたくないし、性格的にあなたが適任よ」


 と返ってくる。


 ……俺、一応12歳の子供なんだけど、いいんすかね。


 でもま、そう言うことなら遠慮なく。


「じゃあ、戦闘時の方針だけは今決めちゃおうか。ビルとエルルは普段通りで。細かいことは言わないから、ビルが引きつけてエルルがぶっ叩く。以上」

「「おー!」」


 ビルがエルルに合わせてるのが微笑ましい。


「カトレアは後方から撃てそうなら魔法よろしく。必要な時だけでいいよ。魔力は温存していこう」

「分かったわ。……あなたはどうするのかしら?」

「遊撃。状況に応じて立ち回りを変える。回復魔法も使えるから、怪我したら遠慮せずに言ってくれ」


 そう言ったら全員がバッ!と俺の方を見た。あれ、俺またなんかやっちゃいました?


 ……いや、鈍感系になるのはやめよう。もう流行らない。


 回復魔法の件ね。


 あれ結構なレア魔法らしいからなぁ。ほとんど教会か治癒院でしか見かけないみたい。


 独占というと聞こえが悪いが、この両組織の待遇が破格なので、ほとんどの回復魔法持ちは自らそこに行く。

 結果的にそうなってしまっただけである。ありがちな強引な勧誘とかは、特にないから安心だ。


「あ、あなた。回復魔法、ですって?」

「そう。別に元々使えた訳じゃないよ。今は『そういうことが出来るスキル』を持っているって認識でいい」


 3人はそれでひとまずは納得してくれた。……カトレアだけは最後まで何か聞きたそうにしてたけど。


「思ったより時間食っちゃったな。出発しよう」


 いつまでもここにいてもしょうがない。まずは森へ向かおう。




   ※  ※  ※




「こっちだぁ! 【アピール】ッ!」


 ビルの挑発系スキルを受けたコボルト3体が、彼めがけて突っ込んでいく。


 それぞれが手に持つ、ナタの様な武器による激しい攻撃は、ビルが構える大楯によって完全にシャットアウトされている。


(コボルト程度なら全く問題ないな)


 森に入って早々に魔物の気配を察知した俺たち。ちょうど良いので、こいつらで軽く連携を確かめる事にした。


「ギャッ! グギャ!」

「ふんっ! 効かんなぁ!」


 余裕の表情を浮かべるビル。

 一方で、コボルトの背後へ回り込んだエルルが、ハンマーを力いっぱい振り下ろした。


「どっせーいっ!」

「グギャ…」


 ───ドカーーーンッ!!


 そのハンマーは見事にコボルト1体を捉え、文字通り叩き潰した。


 ……すげぇ。これがよく耳にする『力こそパワー』ってやつか!


 残りは2体。これは俺とカトレアでやろう。


「カトレア、右のヤツいける?」

「もちろんよ。あなたは左かしら?」

「そゆこと」


 言うや否や、俺は全速力で駆け出す。


 速度を落とすことなく、駆け抜けざまの一撃で首を落とす。振り向くと、ちょうどカトレアが魔法を発動するところだった。

 ビルが魔法の発動を察知し、【シールドバッシュ】でコボルトを吹き飛ばして距離を作る。


(ふぅ、間に合ったか)


 カトレアの持つ杖から、黄金のスパークが迸る。……関係ないけどあの杖、ガルフの使ってるやつとそっくりだな。


「【ライトニング】」


 ──バチバチィッ!


 まるで真横に落ちる雷のようだ。

 放たれた雷撃は瞬く間にコボルトに到達、派手な音と共に目標を黒焦げにした。



(……よし、この感じは問題なく盗めたな)



 おそらく『男が憧れる魔法ランキング』で1位2位を争う、雷魔法をゲットだぜ!


 心の中でスキップしながら皆を労う。


「みんなお疲れ! やっぱDランクモンスター程度なら手こずる事もないか」

「当然よ。むしろ手間取るようなら、Cランクになる資格なんかないわよ」


 フンッと言いながらウェーブがかった青髪をファサッ、とするカトレア。

 やたらその仕草が似合うね、君。


 と、そこで頼れる兄貴分ビルが口を開いた。


「それでルイン。野盗の拠点は洞窟という話だったな?」

「そうだね」

「なら候補は絞られる。一番近い場所だとここから半日ほどのところだな」

「次に近い場所は?」

「1日は確実にかかる。道中のことを考えると2日は見たほうがいいだろう」


 なら最寄りで間違い無いかな。


「じゃあ順当に一番近いところから見ていこうか。……多分そこにいる」

「なんで分かるのよ? さっきギルド長に聞いてたことに関係あるでしょ。教えなさいよ」


 ビルからも、


「たとえ予想の段階であっても情報の共有はしておけ。パーティー行動するなら、些細な認識の齟齬が命取りになることもある」

「……その通りだな。ごめん、話すよ」


 そして俺は「あくまで確証はないが」と前置きした上で、ここにいるメンバーに野盗の『正体』を話した。



(エルルはヒロインになる予定は)ないです。

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