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その転生者はスキルも魔法も【視て盗む】〜異世界転生ものが大好きな男の異世界転生〜  作者: 空茶日
第3章 Cランク昇級試験

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第28話 昇級試験の準備をしよう


「ごめんくださ〜い!」


 翌日の昼過ぎ、新たな魔法の習得を企む俺はリーン教会へと足を運んだ。


「あら、ルインさん。リーン教会へようこそ」

「こんにちは、エカテリーナさん」

「ふふ、こんにちは。今日はどうしたのかしら?」

「以前、お約束した礼拝に来ました。こちらをどうぞ」


 そう言って寄進を手渡す。


「まあ! ありがとう。正直助かるわ。教会本部からの支援も結構ギリギリだから……」

「子供たちにひもじい思いをさせたくありませんからね」

「本当にその通りね。さすがセレナが見込んんだ人だわ」


 おっと、話の流れがおかしな方にいきそうだ。


「とりあえず、お祈りをさせてもらいますね」

「ごゆっくりどうぞ」


 許可をとり、礼拝堂の奥にある女神像の前へ進み跪く。細かい作法なんかは知らないので、ひとまず両手を胸の前で組み祈りを捧げよう。



 ……どのくらいそうしていただろうか。祈りを終え立ち上がると、ふと女神像と目が合った気がした。

 女神リーンを象ったその像は、かすかに優しく微笑んでいるように、俺には見えたのだった。




    ※  ※  ※




「はい、お茶をどうぞ」

「ありがとうございます」


場所は変わって、ここは前回来た時に孤児のゼン達が出てきた、ドアの先にある応接室だ。綺麗に掃除され、手入れも行き届いている。


「セレナから聞いたわよ。この近くで大変なことが起こっていたのね」

「そうですね。セレナ様が無事で良かったですよ」


 いや、本当に。


「あなたに助けられた時のことを話すあの子は、とても嬉しそうだったわよ?」

「それも無事に今を迎えられたからこそ、ですね」


 この後もエカテリーナさんと雑談に興じる。


 共通の話題といったらセレナ様のことくらいしかないので、その話題の比率が高くなってしまったのはご愛嬌ということで。


 話し始めて小一時間が経過した頃、1人の孤児が部屋に駆け込んできた。


「うわ〜ん! シスター!」


 この前の3人組の子だな。確かロイドだっけ。


「ロイド、どうしたの? ……あら、膝を擦りむいてるわね。転んじゃったのかしら。こっちへいらっしゃい」

「グスッ」


 泣きながらトコトコ歩いてくるロイド。


「ごめんなさいルインさん。少し待っていてもらえるかしら」

「もちろんです。ロイドを見てあげてください」

「ありがとう」


 そう言いながら、エカテリーナさんはロイドの前で屈み込む。

 そして、膝に手を添えるようにして魔法を行使した。


「【ヒール】」


 淡い光がロイドの膝を優しく包み込み、それが消え去った時には傷はもうどこにも見当たらなかった。



 ……一部始終を見ていた俺は、魔法を習得した手応えを感じる。



───────────────


ルイン


レベル11


魔法

【点火】【氷の盾】【ウィンドカッター】【ヒール】←NEW


スキル

【視て盗む】【魔力操作】【突進】【剣術】【槍術】【気配察知】【身体強化】【水鏡】【鑑定】


称号:転生者 格上キラー


───────────────



 これが本日の目的、『回復魔法』だ。


 今までは運よく無傷で切り抜けることができていたが、これからはきっとそうもいかなくなるだろう。

 もしくは、俺が無傷でも周りの人が傷つくことだって十二分に考えられる。だから回復手段をこのタイミングで確保しておきたかったのだ。


 教会は治癒院の代わりをすることもあるから、必ず回復魔法使いが1人は常駐している。

 この小さな教会にはエカテリーナさん1人しかいないため、確定で回復魔法が使えると思った訳である。


 ……問題はどうやって使ってもらうかだったんだけど。最悪自傷するしかないかなぁ、と思い始めた時に、ロイドがタイミングよく来てくれたのだった。



「ありがとうシスター!」

「お外で遊ぶ時は気をつけるのよ」

「うん!」


 傷が癒えたロイドは、先ほど泣いていたのが嘘のように、元気いっぱいに去っていった。


「待たせてしまってごめんなさいね」

「いえ、気にしないでください」


 ともあれ目的は果たした。だいぶ居座っちゃったし、お暇しますかね。


「結構長くお邪魔しちゃいましたし、そろそろ行きますね」

「あら、気を使わせてしまったかしら。またいつでも来てね」

「そうさせてもらいます。ではまた」


 挨拶を済ませ、入り口まで見送ってくれるエカテリーナさんに手を振りながら、俺は教会を後にした。





☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★





 さて、教会を後にした俺が向かった先はというと。


「……」


 ガチャ


「礼儀も知らんガキは帰れ!」


 バタン!


 このやりとりでお分かりだろう。

 『ゴルドフ鍛冶屋』である。



「どうしろっつーんだよ!」


 この前、挨拶しながら入った時もダメだったじゃねーか!


 ……あれ? 『お邪魔します』だからダメだったのか? 普通に『こんにちわ』とかなら大丈夫なのかな? やってみよう。


「こんにちわー」

「それでよい」


 いいんだ……。それにしても、なんてめんどくさい店なんだ。他にいい鍛冶屋はないか探しとこう。今度は癖が強いドワーフ以外がやってる店がいいな。


「剣の研ぎを頼む」

「見せてみろ」

「ほれ」


 ゴルドフに剣を渡すと、じっくりと観察を始めた。

 ややあって、


「ふむ、これなら軽くでよさそうだな。お前の使い方が良いんだろう」

「それは嬉しいね」


 珍しく素直に誉められる。なんだよ、やればできるじょのいこ。


「少し待ってろ」


 剣を研ぎに奥へ引っ込むゴルドフと入れ違いに、娘のエルルがソワソワしながらやってきた。あ、俺に気付いた。


「ルインだ! 今日はどうしたんだ?」

「ゴルドフに剣の研ぎを頼みに。エルルこそどったの? 落ち着かないにも程があるんだけど」

「明後日に昇級試験があってな! ボクも受けるんだ!」


 俺以外の受験者3名のうち、1名が判明した瞬間だった。


「エルルだったのか。Cランクのだよな? 俺も受験者だよ」

「ほんとか! 知ってる人がいて良かったぞ!」

「ちなみに、後の2人のことって知ってる?」

「知らないぞ!」


 ま、どうせ当日になったら会うんだしいっか。


「エルルの武器って手に持ってるそのハンマー?」

「そうだぞ!」


 なんか今日はデカいハンマー持ってるから、気になってたんだよね。シティーハ○ターで、ヒロインが主人公を殴る時に使うやつみたいなの。


「これで前衛が2人か」


 まさか、全員前衛とかはないよね?


 嫌な未来を想像しかけたタイミングで、ゴルドフが戻ってきた。


「ほれ。出来たぞ。しばらくは自分で手入れするだけで大丈夫だとは思うが、心配なら見せに来い」

「分かった」


 とりあえず、昇級試験の準備はこんなもんかな? あとは消耗品を買うくらいか。


「じゃあ帰るよ。エルル、試験ではよろしくね」

「こっちこそだぞ!」


 ゴルドフの店を出た時には、空がもう茜色に染まり始めていた。『渡り鳥の止まり木』へ向けて歩き出す。


 さて、初めての昇級試験はどうなることやら。


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