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その転生者はスキルも魔法も【視て盗む】〜異世界転生ものが大好きな男の異世界転生〜  作者: 空茶日
第2章 少女が見た英雄の背中は

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第19話 リーン教会にて



 伯爵御一行と別れた俺たちは、その足で冒険者ギルドに報告することにした。


「みなさん、ご無事で何よりです。依頼はどうでしたか?」

「なんとか無事に終わったぞ。……お前らは先に帰ってるか? 完了報告と証明部位の提出、確認。素材の換金と結構時間かかるぞ」


 アンナさんに声をかけられたので、アルが返事をしながらカウンターに歩みを進める……途中で俺たちに向き直って聞いてくる。


「じゃあ、俺はその間にFランクのクエストでも受けるよ。早く冒険者ランク上げたいし」

「あたしは宿に戻ってお昼寝するわ!」

「分かった。じゃあガルフに軽く報告しといてくれ」

「分かったわ」


 ということに。


 今日もささっとお使いクエストを頑張りますかね。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



 今日の依頼は、手紙の配達だ。


 依頼主は領主館の近くにあるお役所である。


 なんでも、配達員をしている役所の職員さんがぎっくり腰になってしまったらしい。代わりに手紙を配達してくれとのことだ。


 ……その職員さん、ガルフって名前じゃない? 確認したところ、ちゃんと別人だった。



 この街の地理を頭に叩き込みながら、1件1件しっかりと手紙を渡していく。冒険者の身体能力にモノをいわせて一心不乱に働いた結果、


「おっ、次で最後だな」


 手元に残る手紙は最後の1通となった。届け先に目を通すと、


「『リーン教会シスター エカテリーナ』さんね」


 ……あー、宗教関係きちゃったかぁ。


 ちょびっとだけテンションが下降する。


「でもま、エルディ教じゃないからいっか」


 これから行くのは大陸全土に信者がいる、女神リーンを信仰するリーン教会。

 以前、ちらっと触れたお近づきになりたくない、聖エルディライト法国を中心に信仰されているのはエルディ教という。



 他の信仰にも寛容で、あくまで信仰は心の拠り所に過ぎないから、みんなで助け合いましょうね。というのがリーン教。


 エルディ教以外は全部邪教だから、そんなもん信仰してる奴は悪魔の手先だ! やっちゃってよし! というのがエルディ教。


 ね? これだけでヤバさが伝わってくるでしょ?


 ともあれ、リーン教会は1度行ってみたくもあったから、良い機会っちゃ良い機会かもしれない。


「おっ、ここだな」


 目の前には小規模ではあるが、これまた『The 教会』といった建物が。位置的には街の北東区画、若干スラム寄りだ。


「ごめんくださーい」


 正面の両開きの扉を開くと、礼拝堂らしき場所のようだ。正面に見える祭壇には女神像らしきものもある。あれが女神リーンかな?


「リーン教会へようこそ。本日はどういったご用件でしょうか」


 しばし見入っていると、掃除中だったのか箒を手にした若いシスターに声をかけられた。


「冒険者ギルドの依頼で手紙の配達に来ました。こちらです」

「あらあら。今日の配達員さんはずいぶんとお若いのね」


 受領サインを書いてもらいながら軽く雑談へ。


「あなたこそ若いじゃないですか」

「くすくす。お上手ね。でも嬉しいわ」


 修道服に映える長い金髪に、窓から差し込む光が反射して神秘的だ。

 これは完全にシスターだわ。こんな全身からシスター感を出してる人なんて、なかなかお目にかかれない。


「ん?」


 ふと視線を感じると礼拝堂の右奥側にある扉の隙間から、縦に3つ並んだ顔がこちらをじーっと眺めている。……またベタなことをしおるわ。

 俺の視線の先を追っていったシスターもそれに気づく。


「? あっ! ゼン、ロイド、フローラ! 何してるのかしら?」


 見つかった3人はトコトコとこちらへやってきた。


「ヘヘッ! 誰か来たっぽいから見に来た!」

「僕も!」

「わ、わたしは止めたのに……」

「全くもう……」


 呆れながらもシスターの目はどこまでも優しい。聖母かな?


「まぁまぁ、とりあえず自己紹介しようか。俺は冒険者のルイン。よろしくね」

「俺はゼン!」

「僕はロイド」

「わ、わたしはフローラ、です」


 子供たちと自己紹介を済ませる。シスターさんも慌てて名乗った。


「私ったら名乗りもせずに大変な失礼を! この教会を預かっているエカテリーナよ」


 リーダー風のゼンが9歳。

 取り巻き感漂うロイドが7歳。

 おどおどしてる女の子がフローラで8歳らしい。


 見事にバラけてるな。


「ここは孤児院も?」

「えぇ。というよりは孤児院がメインね。神父様がこの街には常駐されておられないから」

「なるほど」


 教会としては、信者が自ら寄進して祈っていく、前世の神社みたいなスタイルってことかな?


「ここはスラムも近いから、どうしても孤児院の面が強くなっちゃうのよね」


 そう語るエカテリーナさんは悲しそうだ。

 やっぱりこの世界でも、スラムには孤児が多いのか。


「そういえばスラムの近くって、その、危なくないんですか?」


 若くて綺麗なシスターだ。1人でここを切り盛りしてて身の危険はないのかな?


「いくらスラムのならず者たちとはいえ、この国でリーン教会に手を出すものはいないわ。それに領主様のご厚意で、兵士隊がこの辺りを巡回してくださっているから、そこまで危険はないのよ」

「ガーランド様が?」

「えぇ。御息女であるセレナ様の乳母が私の母でね。それで気を使ってくださっているみたい」

「そういうことですか」


 それなら納得だ。てか、たまたま依頼を受けて向かった先で、こんなつながりがあるなんてね。世間は狭いわ。……っと、結構時間が経っちゃってるな。


「そろそろ行かないと。次に来る時は、ちゃんと礼拝させてもらいますね。ゼン、ロイド、フローラもまたね」

「「またな!」」

「は、はい……また……」

「ふふふ。手紙の配達お疲れ様でした。ぜひまたいらしてね」


今度来た時はちゃんと寄進もしないとな。子供たちのためにも。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




「おう、おかえり」


 ギルドに報告を終え、『渡り鳥の止まり木』へ戻ると部屋の前でアルが待っていた。


「あれ、どうしたの?」

「今日の報酬と素材の代金を渡しに来たんだよ。これ、お前の取り分な。ちゃんと等分で割った額だ。せこいマネはしてないから安心しろ」

「そこは疑ってないって。てか、多くない?」


 渡された際に袋から中身がちらっと見えたが、金色が何枚もあった気がする。


「ワイバーンだからってのもあるが、超緊急の依頼だったからな」

「あ〜」


 なるほど。配送でよくある、お急ぎ便みたいに手数料的なものがプラスされたわけね。


「あとは単純にBランクの依頼は危険な分、稼げる」

「でしょうね」


 改めて袋の中を見る。


 今日走り回って手紙を配達した報酬の何十倍、何百倍あるんだよ、これ。


「明日からはガルフが回復するまで俺たちは休むから、その間にルインはランク上げちまえ」

「そうする」


 いや、真面目に。


 『楽しい人生』を送るにはお金が必要=高ランクにならなければいけない。はい、ここテストに出ます。


 明日からは本腰入れて、お使いクエストやっていきますか。




「っと、忘れないうちに確認しとくか『ステータス』」


 ヴォン


───────────────


ルイン


レベル10


魔法

【点火】【氷の盾】【ウィンドカッター】


スキル

【視て盗む】【魔力操作】【突進】【剣術】【槍術】【気配察知】【身体強化】

【水鏡】←NEW


称号:転生者


───────────────



 レベルが1つ上がってスキルに【水鏡】が増えてる。


 体がかなり動かしやすくなるから、レベルが上がったらすぐ分かるんだよな、この世界。


 そして、スキル【水鏡】。


 やっとスキルが増えてくれた。

 【視て盗む】使ったのって【氷の盾】以来ってマ?


 待たせてごめんよ【視て盗む】。これから出番が増えるはずだから、へそを曲げないでおくれ。



 その夜、俺は自分のスキルに言い訳しながら眠りに落ちたのだった。



そマ?

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