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その転生者はスキルも魔法も【視て盗む】〜異世界転生ものが大好きな男の異世界転生〜  作者: 空茶日
第2章 少女が見た英雄の背中は

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第18話 伯爵令嬢は7年前から知っていた



「なるほど。君たちはこのワイバーン2体の討伐依頼を受けてこの場に来たのだね」

「そうなります」


 アルが俺たちを代表して返答する。



 自己紹介を終えた後は、俺たちがここにきた経緯などを軽く説明した。説明といっても、伯爵の発した先の一言でほぼ全て説明できてしまうのだが。



 セレナ嬢はあの後すぐ、女騎士グレース(セレナ嬢の護衛騎士らしい)に連れられて馬車に戻って行った。他の騎士達が犠牲になった騎士の埋葬をしているので、あまり見せたくなかったのだろう。


「ふむ。ならヴォルクスまで同行してもらえまいか? 私達も久々に訪れるのでね。現地で活動している者に街の近況を直接聞きたい。無論、討伐証明部位などの剥ぎ取りが終わるまで待とう」

「えぇ。もちろんです」


 領主様からのお誘いを断れるわけがない。


 ということで、街までは伯爵御一行と共に行くことに。


 あまり待たせるわけにもいかないので、手早く剥ぎ取りを行う。爪や牙、鱗などの高く売れる素材は伯爵御一行と分配する。

 亡くなった方々の遺族への見舞金に充てるらしいので、多めに渡した。



 馬車には伯爵親子とアル、女騎士グレースの4人が乗ることに。俺とテレーゼは街の近況なんて知らないからパスだ。


 ……同じくヴォルクスをホームにしているテレーゼが知らないのはおかしくない? って後でアルに聞いたら、「あいつはそういうやつだよ」って呆れ混じりに言われた。



 そして道中、馬車の外では。


「あの子、ルインだっけ? まだ子供なのにかなり強いな。うちの子なんか彼と同じくらいの歳なのに、いまだに泣き虫のままだぜ」

「でもそういうところが可愛いんでしょう?」

「分かってるねぇ! そうなんだよ!」

「こいつ本当に親バカでさぁ」

「ふふっ。家族愛があるのはいい事じゃない!」



 テレーゼがめっちゃ騎士に溶け込んでる件。


 その騎士達の助っ人をやったのは、テレーゼなんだから当然っちゃ当然か。


 馬車内はアルに任せ、外はテレーゼに任せ。

 俺は黙々と周囲の警戒にあたったのだった。



 ……馬車の中から、じーっと見られているとも知らずに。





☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




 馬車の中では。


「なるほど。表だって気になることは特になさそうだね」

「ええ。俺たちが知っている範囲では、ですけど」

「懸念があるとすれば、やはり7年前に報告があった帝国との抜け道か。実際に確認はできていないが、目は光らせておかないとね」


 魔物が徘徊する広大な森を抜け、山脈まで捜索の手を伸ばすのは現実的ではない。いまだ発見に至っていないのも仕方ないことだろう。


「それにしても、まさか君たちが例のスノーボアを討伐した者達とはね。あの報告は衝撃的だったからよく覚えているよ」

「まだ5歳だったルイン様も、戦われたというお話ですよね!?」


 今までずっと、窓からどこか一点を見つめていたセレナが、突然話に割って入る。


「セレナ、落ち着きなさい。すまないねアル君。……自分と年齢が一緒だからか、この子はその話を聞いてからルイン君に興味津々でね」

「い、いえ」

「ルイン様のことをもっと聞かせてください!」

「先ほどの彼を見て、もっとファンになってしまったようだ。ハッハッハ」


 まさかの初対面よりずっと前。7年も前から目を付けられていたようだ。これはさすがにルインも予想できない。


 そこへさらに会話に加わる者が現れる。


「彼、おかしくないか? 私のスキルを使ってたんだが……」


 ツッコみたいのをずっと我慢していたグレースが、ルインの話題になったところでようやくアルに訊ねる。


「あいつ曰く、『すごく目がいいから』だそうですよ」


 アルがすぐさま煙に巻く。嘘は言っていない。


「えぇ……。いくら目が良くても、スキルはそう簡単に使えるようになるものではないのだが……」


 グレースはまるで信じていないが、あまり詮索するのもマナー違反かと思い追求はここでやめた。


「それよりルイン様の武勇伝を聞かせてください! アル様!」

「では武勇伝ではありませんが、初めてあった時のことでもお話ししましょうか」

「まぁ! ぜひお願いします!」


 セレナのことを内心で少し子供っぽいな〜と思ったアルだが、むしろ12歳ならこれが普通なんだよなと考え直した。異常なのはルインの方である。


 そしてアルは、村でルインと初めて会った時のことから話し始めた。


 その姿を、ガーランド伯爵は目を鋭くして見つめていた。

 まるで、『娘が気に入っている相手の情報を一言一句聞き逃すまい』とするかのように。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




 あれからは特にトラブルもなく、無事に街に到着した。


 街の中まで伯爵御一行と一緒に行動をしていると、ちょっと目立ちすぎるので門の前でお別れすることに。


「改めて礼を言うよ。君たちがいなかったら、私も娘も危なかった」

「そのお言葉。ありがたく頂戴いたします」

「アル君、テレーゼ君、……そしてルイン君」

「は、はい」


 なんか俺を呼ぶ時だけ圧が強い。強くない?


「機会があったらまた会おう。では」

「ルイン様! 必ずまたお会いしましょうね!」

「は、はい」


 こうして彼らは街の中へと消えていった。



「なんかセレナ様からの好感度高すぎじゃない? アル、馬車の中でなんか聞いた?」

「7年前のスノーボアの件。あの騒動の報告を聞いた時からお前のファンだったらしい。んで、さっき助けた時に、実際戦ってる姿を見てもっとファンになったらしい」

「Oh……」


 そのパターンは考えてなかったわ。さっきので多少良い印象は持ってもらえてるかな、とは思ってたけど。まさか7年前って。


「お貴族様と会う機会なんて、もう2度とないだろうし気にする必要もないさ」

「そうよ! きっともう会うことはないわよ!」


 やめろ! 無理矢理フラグたてようとすんな!



知らないのか? テンプレからは逃げられない

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