表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その転生者はスキルも魔法も【視て盗む】〜異世界転生ものが大好きな男の異世界転生〜  作者: 空茶日
第2章 少女が見た英雄の背中は

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/31

第17話 ルイン、女騎士からパクる




「ルインさんが"フェザーテイル"の依頼に荷物運びとして参加する?」

「ああ。手続きよろしく」


 翌日の朝イチで、俺が"フェザーテイル"に同行することを冒険者ギルドに知らせに行く。応対してくれたのは、昨日に引き続きアンナさんだ。


「えーっと。彼、昨日登録したばかりなんですよ? ワイバーンってBランクの魔物ですけど、大丈夫なんですか?」

「見た目はこんなんだが、こいつはかなりやり手だぞ?」


 こんなん言うな。


「アルさんがそうおっしゃるなら……。分かりました。すぐに手続きしちゃいますね。皆さんは元々お知り合いだったんですか?」

「依頼でルインの村へ行ったことがあってな。その時に知り合った」

「そうだったんですか」


 つい最近、似たようなやりとりを聞いた気がしますね。主に『渡り鳥の止まり木』で。


「はい。手続きの方が完了しましたので、いつでも出発していただいて結構ですよ」

「わかった。そんじゃ行くか」

「皆さん、お気を付けて」


 最後にアンナさんの声に背中を押され、俺たちは冒険者ギルドを後にした。




「それで、ワイバーンは北の街道に出るんだよね?」


 北の門に徒歩で向かいがてら、確認の意味も込めて聞く。


「ああ。目撃情報だと2体だから、おそらくツガイだな。あいつらは食いでのある馬が大好物だから、馬車なんかが狙われる」

「よく行き来する商人が特に困るのよね」

「そういうことだな。その商人達からの嘆願で動いた、商業ギルドが今回の依頼主だ」


 ここまでは昨日聞いたな。



 街の北門を出て、そのまま街道をずっと進むと領都である『城塞都市ダグラム』がある。ヴォルクスとダグラムを結ぶ街道上にワイバーンが出没するようになってしまったらしい。

 ちなみに、俺がシーズ村からこの街に来たときに通ったのは西門だ。


 ここを餌場認定したワイバーン2体によって、既に馬だけでなく商人にも犠牲者が出てしまったため、大至急討伐してほしいというのが今回の依頼となる。



「それで俺たちは依頼主から受け取っている馬肉で、ワイバーンを誘き寄せて討伐するんだが……」

「ちょっと待った! ……え? おかしくない? ……正直に言っていい?」

「言いたいことは大体予想がつくが、なんだ」

「雑すぎィ!」


 なんだそのガバガバな作戦は! ほとんど運任せじゃねーか!


「まぁ聞け。ルイン」

「一応聞こうか」


 なんだね、アルくん。


「本来ならこれ(馬肉)に加えて、ガルフの探知魔法で索敵する予定だったんだよ」

「そらそうでしょうよ」


 誰だってそうする。俺だってそうする。 


「でもヤツは、せっかくの見せ場だっていうのに何もない所で腰をイワした」

「えぇ……」


 マジかよ。何か重い物を持ち上げようとして、とかじゃないんだ。それもう冒険者引退したほうがいいよ。


「そこで犬獣人であるテレーゼの出番だ」

「わぉ〜ん!」


 ここまで黙っていたテレーゼが軽く遠吠えをする。あざといけど可愛いです。


「トカゲっぽい匂いを探ればいいのよね! たぶん大丈夫よ!」

「ほんとかなぁ……」


 不安だけど任せるしかないか。





☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




 ということでね。街道にやってきたのだ。


「目撃情報だともう少し先だな」

「街からは結構離れてるのよね」

「あいつらも馬鹿じゃないからな。なるべくリスクの低い場所を狙ってるんだろうよ」


 街を出てからは冒険者の身体能力を如何なく発揮し、超ハイペースで走っている。普通に原付バイクと同じくらいの速度は出てる。


 聞いて驚いたのだが、なんとガルフもこのペースで走れるらしい。さっきは引退した方がいいとか思ってごめんよ。


 この話を聞いた時、某魔法学校の校長みたいな見た目のあのお爺ちゃんが、原付バイクと同じスピードで走ってる絵面はシュールだな。とかどうでもいいことをつい考えてしまった。



「よし、そろそろだな。こっから先は頼むぞテレーゼ」

「任せなさい!」


 目を瞑り、鼻をひくひくさせるテレーゼ。あっち向いたり、こっち向いたりと忙しなく動き回ることしばらく。

 突然、ピタッと動きを止めると、目を開いて一つの方向を指差した。


「あっちからそれっぽい匂いがするわ! あと、血の匂いもする!」

「「!!」」


 誰かが襲われている。


 その瞬間。まるで示し合わせたかのように俺たちは全力で駆け出した。


「距離は分かるか!?」

「このペースなら後2分!」

「チッ! 間に合うか?」


 急いで現場へ急行していると、戦闘音が聞こえてきた。そしてその音の発信源では、3人の騎士らしき者たちがワイバーンと戦っていた。


 周りには5人ほどの同じ鎧を着た者達が、血を流したり黒焦げで倒れている。乗っていたであろう馬の死体もそこかしこにあり、かなりひどい状況だ。


「……1体だけ? もう1体は?」

「あっちだ!」


 アルが指差す方を見る。


 少し離れた場所で、馬車を守るように1人の騎士がワイバーンを食い止めている。


「テレーゼは3人の方をバックアップ! 俺とルインは馬車の方に!」

「「了解!」」


 すかさず飛んだアルの指示に返事を返す。



 早速行動に移ると、この場にいる騎士達へ声をかけた。


「加勢する!」

「助かる! 絶対に馬車には近づけないでくれ!」


 意外にも1人でワイバーンを食い止めていた騎士は女性だった。


「グルルルル!」


 ワイバーンがこちらを敵と見定め、翼と一体化している前腕を叩きつけてくる。


「よっ」


 スレスレでかわしながら懐へ潜り込む。短剣で腹を切り付けてみるが、


 ガキン! と、硬質な音と共に弾かれる。ですよね〜。知ってた。

 それなら、こいつはどうだ。


「【ウィンドカッター】」

「グギャァァァ!」


 硬い鱗に覆われていないお腹側でも浅く傷がつく程度、と。

 うん。やっぱこのクラスの魔物相手じゃ俺が殺しきるのは無理だな。


「アル! 騎士さん! このまま引きつけとくから大技よろしく!」


 できれば騎士のお姉さんにお願いしたい。


「了解だ! 騎士様、先に俺が行くからトドメはよろしく」

「分かった。すまないがよろしく頼む!」


 と、話してる間にワイバーンが息を吸い込んだ。さてはブレスだな?


「【氷の盾】」


 ヤツの顔にくっつくくらい至近距離に魔法を展開した直後。


 ゴォォォォ!! ジュゥゥゥ!


「グギャアア!!」


 盛大に自爆した。


 【氷の盾】によって行き場を失った炎のブレスが、ワイバーンの顔を見事に焼いている。

 その隙を逃す彼らではない。


「【アイアンザッパー】!」


 鉄をも両断するアルのスキルが、硬い鱗をものともせずにワイバーンを斬り裂いた。


 続けて、


「【水鏡みかがみ】」


 女騎士のスキルが発動。剣が水平に振り抜かれ、ワイバーンの両脚を胴から切り離す。




 俺はそれをしっかりと『視て』いた……。




 足が失くなったことで届くようになった首へ、女騎士が再度剣を振るおうとするが、その前に。


「【水鏡みかがみ】」


 ワイバーンの背中に登っていた俺が、少しの溜めの後にスキルを発動。水平に奔った剣線が、胴から首を斬り飛ばした。


 素の状態じゃ柔らかいお腹側でも傷つけられなかったのに、スキルを使ったら一発だった。これはずるいわ。


「え?……は?」


 なんか女騎士が放心してるけど、まだ状況は終わってないぞ。向こうはどうなった?


「あ、向こうも終わってるね」


 ごめん、終わってたわ。


 離れた場所でピクリとも動かないワイバーンが倒れている。目には矢が刺さってるな。あれは痛い。


「お疲れさま! アル、ルイン!」

「おう」

「テレーゼもお疲れさま」



 さっさとこっちに合流したテレーゼと労い合っていると、馬車から身なりの良い30代半ばくらいの男性が降りてきた。理知的で優しそうな目をしている。


「まずは助けてもらった礼を。私はガーランド・ダグラム。国王陛下より、伯爵位を賜り、この一帯を預かっている者だ」



 ……うん、そんな気はしてたよ。この状況「あ、これWEB小説で見たやつだ!」って思ったもん。


 てことはこの後は。


「こっちは娘のセレナだ」


 伯爵の服を掴んで後ろに隠れていた女の子が、ひょこっと顔を覗かせた。

 親子揃って黒髪に青い瞳をしている。

 

「せ、セレナ・ダグラムです。助けていただいて、あ、ありがとうございました……!」


 やっぱりな。



やっぱりな

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ