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その転生者はスキルも魔法も【視て盗む】〜異世界転生ものが大好きな男の異世界転生〜  作者: 空茶日
第2章 少女が見た英雄の背中は

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第16話 "フェザーテイル"からの頼み事



 冒険者登録を無事に終える事ができた俺は、足取りも軽く依頼ボードへ向かう。


 ……というか、やはりチンピラ冒険者に絡まれるテンプレは無かったな。


 垂れ目のお姉さんことアンナさんの説明にあったように、上のランクになるためには普段の素行もある程度重要になってくる。


 重要と言っても、普通に日常生活を送る程度で全く問題ないのだが。


 よって、こんな公衆の面前で新人に絡みに行くような奴は、「いぇ〜い! みんな見てるぅ? 自分は低ランクのクソ雑魚ナメクジでーっす!」とダブルピースしながら喧伝しているようなものなのだ。


 自らそんな醜態を晒しに行くような奇特な人間はまずいないだろう。0とは言わないが。



 と、そんなことを考えていたら依頼ボードはもう目の前だ。


「さて、なにか残ってるかな」


 さっき遠くから見た通り、依頼はもういくつも残っていない。Fランクの俺が受けられる依頼は2つしか残っていなかった。


「両方とも街のお手伝いだな。1つは『建設現場のお手伝い 報酬、銀貨1枚』。もう1つは『荷物の配達 報酬、銅貨6枚』か」


 まぁ、Fランクだしね。期待はしてなかったけど、そんなもんですよね。


「しばらくは地道に下積みするかぁ……。討伐依頼はランクがひとつ上がってからだな」


 討伐依頼は最低Dランクからになる。登録したてのFランクが受けられないようにするための措置なので、スライムやゴブリンなどの最弱モンスターもこのランクだ。


 このことからも分かるように、Dランクの討伐依頼は振れ幅が非常に大きい。


 これは『Eランクにいるうちに危機管理能力をしっかり養って、危ない魔物の討伐依頼なんかは自分の判断で避けられるようになろうね』という冒険者ギルド側からのメッセージだと思われる。


 兎にも角にも、『荷物の配達』の依頼用紙を剥がしてカウンターへ持っていく。


 なんで報酬が低い方を受けるのかって?


 この街の地理の把握と、人脈作りだ。こういうことは、ランクが低いうちにやっておかないとね。



 さぁ、初仕事の時間だ!




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




 よし、初仕事が終わった!


 子供がせっせと荷物を運ぶ姿は、依頼人のお年寄り夫婦に大層喜ばれた。心の中で孫認定をされていそうな雰囲気だったよ。


 ご満悦のおじいさん達から依頼完了のサインをもらって、ギルドで報酬を受け取る。ギルドから外に出た時には、もう空は薄暗かった。


 明日は依頼を最低2件は受けたい。じゃなきゃ、宿代で赤字になってしまう。


 Eランクになるまでは、生活がカツカツだな。冒険者人口がそこまで多くないわけだ。


 俺が剣を手に入れる日は、まだ遠い。




「あ、ルイン君! お帰りなさい」

「ただいま」


 『渡り鳥の止まり木』の入り口をくぐると、笑顔のソフィにお出迎えされる。なんかいいな、こういうの。


「はい、お部屋の鍵。あと"フェザーテイル"の3人が、ルイン君に用があるみたいだったよ」

「さんくす。アル達が俺に? なんだろう」


 今日の冒険者登録に関係することかな? 思い当たることは全くない。


「もう食事の準備はできてるから、その時にでも聞いてみたら?」

「そうするよ」


 一旦部屋に戻り、すぐに1階へ引き返し食堂へ。


「よぉ、ルイン」

「こんばんわ!」

「アル、テレーゼ。こんばんわ」


 アルとテレーゼが既に食事していたので、そこに加わる。


「あれ、ガルフは?」

「今日の依頼中に腰をやって、今は部屋で横になってる」


 えぇ……。


「それでお前さんを探してたんだよ」


 あっ(察し)


 なんかギルド関係でテンプレイベントがないな〜と思ったら、こう来たか。


「ガルフが戻るまで、臨時メンバーとして手伝ってくれって? このままだと、今受けている討伐依頼が失敗になってしまうって? 期限は余裕がないから明日にでも出発しなきゃいけないって?」

「頼む俺が言うのもなんだが。さすがにそこまで当てられると引くわ」

「それはそう」


 自分でも言っててちょっと思った。


「それで、手伝ってくれるのかしら?」


 犬耳お姉さんの頼みなら是非もなし! と言いたいが。


「自分登録したてで、言うなれば生まれたての赤さんなんだけど……。Bランクの依頼について行っていいの? 1ランク上までしかダメなんじゃないの?」

「あぁ、あれって半ば公認の抜け道があってな。ルインにはポーター(荷物持ち)としてついてきてもらうことになる。さすがに荷物運びにまで、高ランクは要求されないからな。1パーティーにつき1人は認められている」


 なるほど。


 実はそれ、俺もアンナさんから説明を聞いてる時に、こういう方法で行けたりしないかな? とは思ってた。


 あと問題は。


「ぶっちゃけ大丈夫? (強さ的な意味で)俺死なない?」


「そこも俺たち3人で相談した。7年前の時点で、スノーボアの猛攻を全部避けてたお前なら大丈夫だろう、という結論になった」

「あれ、すごかったわよね!」


 アルとテレーゼからの信頼が厚い。


「それに、お前も手持ちのスキルか魔法が増やせるかもしれないだろ?」

「行く」


 そんなん言われたら、そら行きますわ。


「よし! 決まりだ。とりあえず今回はよろしく頼む」

「よろしくね!」

「全力を尽くすよ」


 こうして俺は冒険者生活を始めて早々、Bランク依頼に同行することが決定した。


「後は明日の出発前に、ギルドにお前がポーターとして参加することを言っておかないとだ」

「黙っていくと、ギルドの評価が悪くなるしね!」

「正式に手続きしておけば、これもちゃんとルインの実績に加算されるしな」

「それは素直にありがたい」


 話はそこでひと段落したので、この後は普通に雑談しながら食事をしていたのだが、ふと大事なことを聞き忘れていたのに気付き、聞いてみる。


「そういえば討伐対象の魔物はどんなやつなの?」


「「ワイバーン」」


 それ、本当に大丈夫なやつなんですかね。



ダメかもしれないですね……。

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