第128話 敵意ゼロで殺してくる奴が一番タチ悪い
※かっぽじるのは耳の穴です。
という事でね、ファランダールダンジョンの20階層までやってきたのだ。
「お久しぶりです、先生」
まずはボス部屋の中心で、黒いモヤからご登場された道場主にご挨拶する。相変わらずドクロヘッドがカッコいいっす。パねぇっす。
「そうかしら?」
『ピュイ?』
カトレアとカグラには、このセンスが理解できないようだ。残念である。海賊の旗とか見てワクワクしないのだろうか。
まぁいいや。まずは先生のステータスをおさらいしておこう。コチラです。
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リーパー
レベル20
魔法
【ダーク】【シャドウボール】【シャドウニードル】
スキル
・パッシブスキル
【鎌術】【不死】
・アクティブスキル
【身体強化】【首刈り】【ドレインタッチ】
称号:なし
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相変わらず書いてある事は強いんだよね。俺との相性が最悪だっただけで。なんて思いながら、これからお世話になる先生へ一礼していよいよ始めることにする。
自信満々な俺の『カグラ、パワーレベリング法』を本邦初公開といこうじゃないか。目ん玉かっぽじってよく見とけよ!
「カグラ。俺に【祝福のブレス】をオナシャス」
『ピュルルァ!』
ここにくる前に試してみたところ【祝福のブレス(微)】とあるように、マジで気のせいかと思うくらい微弱なバフ効果が確認できた。
微弱すぎてよく分からなかったので、レベルが上がったらもう一度検証しようね。
さて、気合の入った鳴き声とは裏腹に、なんとも穏やかで神々しいブレスが俺を包み込む。ほんのちょっぴり体が軽くなったかもしれない。よし、これで戦闘に参加した扱いになるだろう。経験値がもらえるはず。
──カタ……カタ
リーパー先生はまだ動かない。こちらが先に動かなければ(正確に言うと敵意を持って行動しなければ)ボスも動かないのは、以前と変わらないようだ。
…………なら、もう勝ち確である。なぜなら。
「【転移】」
一瞬でリーパー先生の背後へ跳んだ。階層間の転移はできないが、階層内であれば自由に跳べるのは確認済みである。
リーパー先生がこちらを認識する前に、間髪入れず次の魔法を発動。
「【ヒール】」
──パァァァァッ。
先生は身動きひとつ取る事なく、光と共に消え去った。工事完了です……(達成感)。
……こっちには攻撃の意思なんてないからね。ただ全身の骨が剥き出しになるレベルで重傷を負ってしまっている彼(彼女?)を、優しく回復してあげようとしただけだ。
正直【転移】を使う必要はないかもしれないが、念のためというやつである。
【転移】を使わずに歩いて近づいた場合、途中でつい無意識の内に"やる気スイッチ"が入っちゃうかもしれないからね。
先生の遺品であるドロップ魔石を拾ったら、僕達私達を暖かく見守ってくださったカトレアとローグの元へ戻る。2人とも、どうして呆れた表情をしているんだい?
「……まぁ、安全なのは良いことよね」
安全なのと、大きいことはいいことだ。
「これはあんまりじゃねぇか?」
ローグが苦情王みたいなことを言い出した。そんなに何パターンも楽な倒し方は思いつかないから安心してほしい。
その時、俺の頭の上でも異変が起こった。
…………おや? カグラのようすが…………!
『ファー…ブルスコ…ファー…ブルスコ…ファー』
カグラ!? マッサージ機を当てられたファービ◯みたいな鳴き声に……っ!
『モルスァ』
その鳴き声を最後に、俺の頭にもたれかかるようにぐったりしてしまった。この状態は流石に心配なので、優しく抱きかかえて異常をチェックするために【鑑定】をかける。
すると。
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カグラ ブレスドラゴン
レベル8
魔法
なし
スキル
・パッシブスキル
なし
・アクティブスキル
【ヒールブレス】【祝福のブレス】
称号:ルインの従魔
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レベルが7も上がってた。あとスキルの(微)が消えてる。
「ルイン。カグラは大丈夫なの?」
「オイラには、疲労でぶっ倒れてるように見えるぜ」
2人も心配なのか、カグラをそっと覗き込んでいる。
「レベルが一気に7も上がったから、身体の変化に驚いちゃったのかな? まだ赤ちゃんだし」
「言われてみれば、まだ生後いくらも経ってないのよね……うっかりしてたわ」
「1レベル上がっただけでも体感で変化が分かるもんな。7も上がったらしんどいんじゃねぇか?」
そりゃそうだ。俺ですらスノーボアを倒した後に5レベル上がったのが最高記録だしなぁ。
……あの時の俺はどうだったっけ? 強敵を倒してドパガキになってたから、よく覚えてないな。とりあえず、このまま続行するのはやめておいたほうが良さそうだ。
「早いけど今日はもう切り上げようか」
「そうね。それがいいわ」
「無理はよくねぇぜ」
2人も同意してくれる。せっかく付き合ってもらったのに悪いね。
「ごめんなカグラ、俺の考えが甘かった。焦る必要もないのに効率ばっか考えちゃってたよ」
『ピュ……ピュイ〜……』
みんなに心配される中、カグラから「宿に戻ったら晩御飯までギュッてして添い寝してね……」って思念が伝わってきたんだけど。意外と元気なのでは?
『……ピュイ?』
ま、いいか。頑張ってくれたし、今日くらいは甘やかしてあげよう。
「今日くらいは? いつも甘やかしてないかしら」
「こまけぇこたぁいいんだよ」
パワーレベリングは即終了してしまったけど、こんな日もあるだろう。また今度お邪魔しますね、リーパー先生。
──2度と来んな!
そんな彼の心の声が聞こえたような気がするけど、聞こえなかったことにしてダンジョンを後にした。
前回はレベリングのために、みんなで1回ずつ倒す前に殴ってました。
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