第12話 いつかまた会う日のために
あっさりと他人の技をパクれまっせ、と白状した俺に3人とも微妙な表情をした。
「いやいや、隠してたんじゃないのかよ! そんなあっさり認められると、いろいろ気を揉んでた俺たちがバカみたいじゃねぇか」
「そうよそうよ!」
テレーゼがなんか便乗してきた。
「そんなこと言われても」
あれだけ堂々と【氷の盾】使っちゃったんだもん。今更隠せるなんて思ってないよ。
どうせ隠せないんだったら、逆に大体のことは話しちゃって、その上で協力を仰いだ方が賢明だろう。
それに、この3人の人間性は信用しても良いと思う。『言わないでね』って言っておけば、まず言いふらすような真似はしないだろう。
さらに言えばだ。よくよく考えると、もし言いふらされた時にそこまで問題あるか? って言われたら別にない気もするしな。
強いて言えば、変な奴らから変な絡まれ方をすることがあるかもね、程度だ。
「どうせ、いつか分かることですしおすし」
「そりゃそうだけどよ」
「まぁ、一応あんまり言いふらさないでくださいね」
念の為言っておく。
「それは約束する。2人もいいな?」
「えぇ」
「もちろんじゃ。おそらくユニークスキルかの? いらぬ騒動に巻き込まれる可能性も、なくはないからの」
3人が納得してくれたところで、早速協力を仰ぎましょうかね。
「それでですね。そこまで知ってしまったからには、協力してもらわなきゃいけないんですけど」
「いや、そのりくつはおかしい」
なんでそのネタ知ってんだよ。
「ふむ、火力が欲しいんじゃったか? それは剣で、ということかの?」
「それとも弓かしら!」
先ほど、素振りしてたのを見ていたガルフとテレーゼが聞いてくる。
「なんか武器を使うスキルの場合、俺がその武器自体をある程度扱えないとダメっぽいんですよねぇ」
「なら魔法か? 【氷の盾】はあっさり使えるようになってたんだし。てか今思えば【点火】もそうだったのか」
今気づいたようにアルが言う。
「それなら納得だ。その歳で魔法使えるようになるとか、異常にも程があるからな。ガルフなんか腰抜かしてたんだぜ」
「抜かしとらんわ! お主は小便漏らしおったじゃろうが!」
「ふざけんな! そんなわけねーだろ!」
不毛なケンカが始まった。こんなもん誰も得しないだろうが。むさい男とおしいさんじゃ、どこにも需要はないんだよ。
「結局、今は魔法しか選択肢がないってことかしら?」
「そうなりますね」
話の流れを戻してくれた犬耳のお姉さん。
「ならわしの出番じゃな」
しれっと話に戻ってくるおじいさん。
「教えてもらえると助かります。できれば、森で使えて目にも見えない、スノーボアの首なんかもスパッと落とせるような、風の魔法がいいんですけど」
「……お主、どんどん遠慮がなくなってきとるのぅ」
「ふふっ。変に遠慮されるよりはいいんじゃないかしら?」
ということでね。定番の風魔法【ウィンドカッター】を見せてもらえることに。
『1個体につき1つ』という縛りがあるので、本当はもっと威力のある大魔法がよかったんだけど。感覚で『使った瞬間ぶっ倒れるだろう』と思ったので、普段使いに便利なこの魔法に決まった。
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「本当に1回見れば覚えられるんじゃなぁ……」
「制限とか条件もあるんですけどね」
みんな感心したような表情をしている。
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ルイン
レベル6
魔法 :【点火】【氷の盾】【ウィンドカッター】
スキル:【視て盗む】【魔力操作】【突進】
称号:転生者
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無事に習得できたので、その後は他愛のない話を少ししたら、お別れの時間はあっという間にやってきた。
「じゃあ、次に会うのはルインが冒険者になるときか?」
「はい! その時は会いに行きますね」
「おう。待ってるぜ」
冒険者になれるのは12歳からなので、あと大体7年くらい。
彼ら"フェザーテイル"は南東の街道から続く街『ヴォルクス』を拠点にしているので、その街で冒険者登録をする時に会いに行く約束をした。
「元気でね! また会おうね!」
「そちらもお元気で! 短剣、大切に使わせてもらいますね」
テレーゼとも挨拶を済ませ、
「次に会う時を楽しみにしとるぞ。わしがまだ現役でおれば良いがのぅ……」
「返しにくい球を唐突にブッ込んでくるのはやめて差し上げろ」
ガルフによっていきなり投下された微妙な発言に、アルが即ツッコむ。
ほんとだよ。別れの挨拶中になんてことをするんだ。
そのセリフ前半部分だけで良かっただろ。
今日だけでキャラ崩壊しすぎだぞガルフ。出会った時の知性溢れる賢者キャラはどこいった。ガッカリだよ。
最後はなんかグダグダだったが、この村をスノーボアの脅威から守ってくれたCランク冒険者パーティー"フェザーテイル"は、ホームタウン"ヴォルクス"へと帰っていった。
これから7年。
……とにかく地力の底上げに努めよう。
スキルを【視て盗む】のに必要な、土台を整えるのが最優先。
最悪、スキルや魔法そのものは冒険者になってからでも【視て盗む】で習得できる。
この期間で、やらなければいけないことは全部済ませよう。
……よくある異世界転生モノの定番、修行パートの始まりじゃぁ!




